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11月、ロマン主義の奔流を下りつつ... [overview]

12月を目前にし、なんとなしに回顧モード?いや、聴きそびれていたものを片付ける11月...
で、夏から秋にかけてリリースされた交響曲を中心に聴く。何気に交響曲月間。それも、メンデルスゾーン、ブラームス、ブルックナー、マーラーと、"クラシック"の核たる、19世紀、ロマン主義の系譜をたっぷりと聴いて、充実した11月... だったが... 疲労感も... やっぱり、"クラシック"の核というのは、ヘヴィーだなと。一方で、そのヘヴィーさから自由になろうとする20世紀の作品も聴いた11月。"クラシック"の核からは、大分、外れた場所にある作品だけれど、外れた分、より刺激的でもあり。いや、"クラシック"というのは、やはり広い。広過ぎて、クラクラしてくる。ということで、11月に聴いた、12タイトルは...

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11月、メモリアルのメンデルスゾーンから、プレ・メモリアルのマーラーまで、19世紀、ロマン主義の奔流を、いつになく、じっくり、たっぷりと味わう。それは、まさに、"クラシック"のメインストーム。そうした音楽と、これほど向き合ったのは、久々かもしれない。で、いつになく感慨に浸ってみたり... 「ヨーロッパ」とは、実にヘヴィーだ。なんて。で、疲れてしまったのだが... その合間に聴いた、"クラシック"にして、アウトロー的な作品を集めたアルバムも印象に残る11月。
バイエルン放送響、首席オーボエ奏者、シーリによる、20世紀、オーボエ協奏曲集は、マルティヌー、ツィンマーマン、リヒャルト・シュトラウスと、20世紀の音楽進化のメインストリームから外れて、三者三様の個性溢れる音楽に魅了される。そして、ギターを伴奏に歌ってしまう、コロ・セルバンテスによる、20世紀、ラテン世界の合唱作品集、『ヤノマミ』も、魅力的... 見事にメインストリームから外れて、スペインから南米へ、そしてアマゾン川の奥の奥へと遡る、ロード・ムービー的構成が、クール!他ではあり得ないそのセンス、かなりのインパクト。それから、聴き馴染んだ「いつもの」だけではなく、初版も取り上げてしまった、アレッサンドリーニ+コンチェルト・イタリアーノによる、ヴィヴァルディのグローリアも、おもしろかった!魅力的な演奏もさることながら、ヴィヴァルディの有名作品の変貌を見つめ、なかなか興味深く... こうしたアルバムが、ヘヴィーだった11月に、魅力的なスパイスとなる。

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さて、メインストリーム... まずは、ゲルネルのピアノによるショパンの協奏的作品集。ポーランド、国立ショパン協会が、来年の、ショパン、生誕200年のメモリアルに向けて、挑む、"ピリオド"によるショパンの全集プロジェクトからの1枚。だが、有名な、ショパンの2つのピアノ協奏曲ならばともかく、それ以外の協奏的作品だけを集めて、"ピリオド"で取り上げるとは... 取り上げられるのも珍しい作品を、"ピリオド"で聴くことになるとは... まったく予想もしていなかった。いや、全集なのだから、当然ではあるのだけれど... これぞ「メモリアル」の魔法。いや、奇跡?こうなってくると、来年のショパン・メモリアルは、どれほど充実したものになるのかと、今からワクワクさせられる。で、何より、ゲルネルのピアノがすばらしい!"ピリオド"の大御所、ブリュッヘン+18世紀管の演奏すら霞むほど... いや、この人の音楽性は、ただならない...
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さらに、ただならないのが、ヤング+ハンブルク・フィルによる、ブルックナーの8番の交響曲。シモーネ・ヤングは、恐るべきマエストラ... そういう認識はすでにあったが、この8番を聴いてしまうと、さらにさらに恐るべしだ。女性指揮者というと、妙に男装... 響くサウンドも、どこかマッシヴ... で、変に荒(粗)く、大味?そんな印象を抱いてしまう。無理してジェンダーを乗り越えようとする、そんなイメージ?だが、いい加減、21世紀である。指揮者は「男」でなくても構わないわけで... そうしたあたりを、ナチュラルに処理してくるのが、マエストラ・ヤング。結果として、ただならない音楽を生み出してしまう。それは、もちろん、この8番でも... 初稿にこだわるシモーネのチョイスも、ブルックナーにおける「ただならなさ」を、より深めているようで。シモーネによる初稿のブルックナー・ツィクルス、それが完成された時に見えてくる新たなブルックナー像とは、どんなものになってしまうのだろうか?末恐ろしくも感じる。で、次は何番になるのだろうか?大いに気になる。
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ただならなさ... では、ノット+バンベルク響による、マーラーの9番の交響曲も忘れ難い。晩年のマーラーの、複雑な感情が渦巻く交響曲... その独特さに、取っ付きにくさすら感じていたのだけれど、ノットのただならないセンス、バランス感覚を以ってすれば、驚くほど、スルスルっと、音楽が編み直されてゆく。こんがらがったマーラーの複雑な感情を、さらりと解きほぐして、マーラーのピュアな姿を露わにしてしまう。それでいて、独特の感触があるのが、ノットならではか。そういうサウンドに触れていると、単に音楽を聴く... という以上の感覚が沸いてくるようで、刺激的。というより、これこそが、本来の音楽体験なのかもしれない。耳にではなく、心に呼び掛ける音楽... そして、その向こうには、マーラーを徹底的に読み込んだノットがいるのだろう。その「ただならなさ」は、けして感覚的なものではなく、ある種の解析から発するものなのかもしれない。




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