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12年目のグローリア。 [2009]

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ブラームスも、ブルックナーも、マーラーも好き(いや、ブラームスは、またちょっと違うか?)。
好きだが、そういうものが続くと、なんとなしに疲れてしまう。そんなところで聴く、久々のヴィヴァルディというのは、もう... なんと軽やかな!いろいろ余計なことを考えることなく、ただただ楽しめる。そのリズムに、ノらずにいられない。で、テンションは、ついつい上がり気味。
そんな、ヴィヴァルディ... リナルド・アレッサンドリーニ率いる、コンチェルト・イタリアーノによる新譜(って、すでにリリースされて時間が経ってしまったか... )、グローリア(naïve/OP 30485)。彼らにとって、2度目のグローリア。2度目だけに、凝ったものに仕上がっていて、興味深く... "VIVALDI EDITION"ならでは...
というアルバムを聴いてみる。

いつものグローリア(RV.589)に、きちっとイントロドゥツィオーネ=導入歌を付けて取り上げる。さらに、いつものグローリアとは違う、初版(と言うべきなのか?)のグローリア(RV.588)まで取り上げる。となれば、ワクワクさせられるアルバムだ。が、やはり気になるのは、アレッサンドリーニ+コンチェルト・イタリアーノによる"2度目"となるグローリアだ。
アレッサンドリーニ+コンチェルト・イタリアーノによる最初のグローリア(OPUS 111/OPS 30-195)は、とにかくセンセーショナルだった。そうでなくとも、ヴィヴァルディだ... バロック・ロックなセンスを、教会にだって持ち込んでくる。例えば1曲目、"Gloria in excelsis Deo"。ラテン語で、ここまでキャッチーに、アグレッシヴに、コーラスを歌わせてしまって、ハイ・テンション。で、さらにさらにハイ・テンションなコンチェルト・イタリアーノのコーラスだ。そのハイ・テンションに驚かされ、中てられるところもありながら、"クラシック"の辛気臭さをバッサリと斬って捨て、圧巻のグローリアだった。
それから12年が過ぎ... 2度目のグローリアは?単にハイ・テンションなだけではない、どこか落ち着きも見せる。けれど、勢いは失わず、かつ、「バロック」ならではの劇場(オペラ)的な色合いを見せ、艶やかで、間違いなく、旨味は増しているように感じる。モンテヴェルディのマドリガーレで、"ピリオド"界の注目株として地位を築いた彼らだが、そこから、ヴィヴァルディはもちろん、幅広い18世紀の作品に挑み、時にはロッシーニまで... そんな歩みが育んだサウンドは、2度目のグローリアで、よりフレキシブルに、より多くの色、表情を見せて、気負うことのない、無理のないハイ・テンションで魅了する。アレッサンドリーニ+コンチェルト・イタリアーノも、しっかりベテランとなってしまい、ベテランならではの音楽を聴かせてくれていることを、再確認させられる。で、センセーショナルに感じた、かつてのグローリアを引っ張り出して聴いてみれば、それは、どこか無機質にすら思え、時間の流れというものを噛み締めてみたり。
さて、2度目のグローリアに、すばらしい効果を与えているのが、モニカ・ピッチニーニ(ソプラノ)が歌う、イントロドゥツィオーネ「深紅に染まり、棘で備えて」(track.1-3)。このグローリアのための導入歌だけに、違和感なくグローリア(track.4-14)へとつながり。アレッサンドリーニも、この2曲をアタッカでつなげてしまうような、おもしろいことをして見せて... ソプラノが歌う、軽やかなイントロドゥツィオーネから、コーラスが歌う、華やかなグローリアへ。劇的なギア・チェンジが実に効果的。こうして、2つの作品をつなげて聴いてみれば、イントロドゥツィオーネというのは、本編とワンセットであり、欠かせないものなのかもしれない。
そして、このアルバムのもうひとつ気になるところ... いつものグローリアとは違う、初版のグローリア(track.15-27)だ。が、初版?というには、別のグローリアを聴くようでもあり。まず、初版には、イントロドゥツィオーネが最初からくっついており(ほぼ一体化している)、サラ・ミンガルド(コントラルト)が歌うそのイントロドゥツィオーネは、レチタティーヴォを挿んで、最後、グローリアのコーラスと重なり(track.17)、いつものグローリアのキャッチーさとは違う、重厚感がある。作品全体の印象としては、より教会に合った雰囲気... とでも言うのか、荘重で、いつものキャッチーさとは違う魅力がある。
いつもの、初版と、2つのグローリアを並べれば、ヴィヴァルディの大胆な裁断で、新たな姿を得たグローリア(いつもの)の、変身ぶりがおもしろく。実用のグローリア(初版)から、コンサート用のグローリア(いつもの)へ、といったところか。最後に借用されるルジェッリの音楽は、いつもの(track.14)、初版(track.27)、ともに、ほぼ同じで。しかし、そのわずかな差に、2つの版の性格の違いが滲み、興味深い。

Vivaldi Gloria

ヴィヴァルディ : グローリア の イントロドゥツィオーネ 「深紅に染まり、棘で備えて」 イ長調 RV.642
ヴィヴァルディ : グローリア ニ長調 RV.589
ヴィヴァルディ : グローリア ニ長調 RV.588

リナルド・アレッサンドリーニ/コンチェルト・イタリアーノ
モニカ・ピッチニーニ(ソプラノ)、アレナ・ダンチェヴァ(ソプラノ)
リア・セラフィニ(ソプラノ)、アンナ・シンボリ(ソプラノ)
サラ・ミンガルド(コントラルト)
ルカ・ドルドロ(テノール)

naïve/OP 30485




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