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8月、ハイドン、マーラー、マーラー、ハイドン... [overview]

ハイドン、マーラー、マーラー、ハイドンな、8月...
メモリアル、プレ・メモリアルの充実ぶりを、すっかり楽しんだ一方で、久々にオーケストラ尽くしの一ヵ月でもあって。ハルトマン、マルトゥッチ、スメタナの、普段、あまり耳にすることのない作品に触れれば、"クラシック"の有機的な広がりを感じ、発見もあり、なかなか刺激的。で、次から次へと聴いていたら、いつもより多めの12タイトル... 月の初めに聴いていたものが、随分と遠くに感じられてしまうような、そんな感覚もあったり。また、それぞれが、聴き応え十分で、余計にそんな風に感じてしまうような、いとも濃密なる一ヵ月。そんな、8月に聴いた、12タイトルは...

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ひと月を、ざっくり振り返って、最も印象に残るアルバムは... と、いつも通りに行きたいところが、なかなか難しい8月。どれもが印象的で、迷う。が、まず、ノットゥルノくらいしか聴いたことのなかった、隠れたイタリアの巨匠、マルトゥッチ(1856-1909)を、しっかりと聴けたことが貴重で、極めて新鮮な体験だった。2つの交響曲を聴けば、その充実ぶりに驚かされつつ、しっかり楽しませてくれて、もっともっと聴いてみたくなる、他のオーケストラで... いや、ラ・ヴェッキア+ローマ響も悪くなかったが... 彼らのマルトゥッチのシリーズは、2つのピアノ協奏曲へと続き、その2枚も聴いてみたくなる。それにしても、ヴェルディ、プッチーニだけで、19世紀後半から20世紀初頭のイタリアの音楽を語ってしまうのは、もったいない!
それから、ハルトマン(1905-63)のアルバムの1曲目、ブルレスケ・ムジークのインパクトは大きかった。まさに『キャバレー』の時代=ヴァイマール共和国のサウンドが炸裂して、ヴァイルに負けていないキッチュ感がたまらなく。また、演奏も、"ピリオド"系マエストロ、グッドウィンによる歯切れの良いあたりがぴたりとはまって、"ピリオド"と擬古典主義の抜群の相性を再確認。そうした相性では、パーヴォ・ヤルヴィ+hr響のマーラーもまた絶妙で。ブルックナーのツィクルスをスタートさせている彼らだが、パーヴォの独特の感性は、建築的なブルックナーの交響曲より、ゴブラン織のようなマーラーの交響曲の方が、よりフィットする?ようで、より魅力的に感じられ... 10番、アダージョが、特に印象に残る。
で、マーラーでは、ジンマンの「夜の歌」の、その夜の表情の広がりに惹き込まれ... ケント・ナガノの「大地の歌」では、マーラーでありながら、マーラーとはまた別次元へとジャンプしてしまいそうな不思議な感覚があって、フォークト(テノール)、ゲルハーエル(バリトン)の美しい声も、印象に残り... それにしても、マーラー、生誕150年を来年に、没後100年を再来年に控え、この充実ぶり。これから、マーラーはどれほど盛り上がってしまうのだろうか?ちょっと、恐いくらいだ。

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そして、今年のメモリアル、ハイドン... 大いに迷いながらも、8月、最も印象に残るアルバムを選ぶとするならば、イェルサレム四重奏団の、ハイドンの弦楽四重奏曲集vol.2。やはり、この、次世代クァルテットは、ただならない。若いからこそのフレッシュさ、音楽に向けられるピュアで真摯な姿勢... そうしたあたりから、音楽の深淵を静かに歩むようなところもあって... イェルサレム四重奏団によって紡がれるハイドンは、いつものハイドンと、いつもとは一味違うハイドンが共鳴して、ハイドンという存在、そのものが拡大されていくよう。すると、ハイドンの先に連なるシューベルト... どことなしに、マーラーすら見えてきそうで。弦楽四重奏というストイックな編成から、オーストリアの音楽の系譜が広がっていくような、不思議なスケール感が、印象深かった。やっぱり、このクァルテットからは目が離せない。
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そして、イェルサレム四重奏団の他に、もうひとつ、目の離せない存在... ヴィト+ワルシャワ国立フィル。シマノフスキの1番と4番の交響曲も、すばらしかったが、ワルシャワ国立フィルの合唱団が大活躍の、異色の教会音楽、ペンデレツキの『ウトレーニャ』のインパクトは、凄かった!「前衛」とロシア正教のミクスチャーが織り成す、不思議なプリズムを、きっちりと輝かせてくるヴィト。このマエストロを中心に、コーラス、オーケストラ、ソリスト、結束しての、母国の作曲家に対する並々ならぬ共感が生み出す力強いサウンドには、ペンデレツキへの苦手意識を乗り越えて、ノック・アウト... この、アルバムもまた、やはり、最も印象に残る1枚だった。

のだが... ついつい、後引く8月... ノセダ+BBCフィルによるスメタナの管弦楽曲集vol.2もすばらしく... 彼らの充実ぶりは、リリースのたびに感心させられ、また、取り上げる作曲家、作品の興味深さもピカイチ!次は何をしてくれるのだろうか?と、ワクワクさせられる。で、次は、ラフマニノフのオペラ『けちな騎士』。ラフマニノフの三部作の完成も楽しみ。
そして、オペラで忘れてならないのが、『トラジェディエンヌ2』。グルックからベルリオーズへ... フランス・オペラ史、第2章を綴るジャン(ソプラノ)と、ルセ+レ・タラン・リリクのコラヴォレーション。その丁寧な選曲と、グルック(の前にラモーも含めて... )とベルリオーズを並べてしまう大胆さ!チャレンジングだけれど、きっちりとフランス・オペラ史の流れを踏まえた選曲に、恐れ入る。さらに、ジャンの見事なトラジェディエンヌぶり... vol.1よりもさらにクラッシーでドラマティック!もちろん、ルセ+レ・タラン・リリクの演奏もすばらしく。いや、"ピリオド"という性格から、ラモーからベルリオーズまで弾き切った器用さにも感服。
さて、レ・タラン・リリクも、すっかりベテランになってしまったが、それを如実に物語るのが、新たな「若手」の登場だ。フランスの、新たなピリオド・オーケストラ、ル・セルクル・ドゥ・ラルモニによるハイドンの協奏曲集も、印象的だった... と、書いているとキリがないので、この辺で...

そうそう、ル・セルクル・ドゥ・ラルモニの次のアルバムは、ジャルスキー(カウンターテナー)が歌う、J.C.バッハのアリア集。J.C.?!バッハ家の末っ子のアリア集とは、驚かされる... ハイドン、ヘンデルのメモリアルに送る、ジャルスキーの変化球、かなり、楽しみ。




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