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大人のハイドン。 [2009]

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ヘンデル、ハイドン、メンデルスゾーン...
メモリアルに沸く2009年だが、そんなメモリアルに乗って、あちらこちらのレーベルも、スペシャルな企画を打ち出し、メモリアルはさらに賑わう中、気になるのが、harmonia mundi。
これまでリリースして来た、ヘンデルとハイドンのタイトルを振り返り、新たにまとめ... ハイドンでは、2枚組のダイジェスト、"A Haydn Celebration"とともに、11タイトルを擁するシリーズ、"Haydn THE HARMONIA MUNDI EDITION"を展開。で、そのシリーズなのだが... これまでの同レーベルにおけるハイドンの名盤をセレクションし、廉価盤として再リリース。が、何やら、新録音も含む?ということで、そんな新録音のひとつ、イェルサレム四重奏団によるハイドンの弦楽四重奏曲集vol.2(harmonia mundi/HMX 2962030)を聴いてみることに。

イェルサレム四重奏団というと、昨年のシューベルト、「死と乙女」(harmonia mundi/HMC 901990)が、とにかく強い印象として残っている。透明感と、瑞々しさと、シューベルトの心の奥底までも響き出してしまいそうな、他にはない感触があって。ある種のオリジナル主義とも言えるのか... 30代前後の演奏者と、31歳で逝った作曲家の、時間を超えた、同年代としての深い共感を感じ。そうして紡がれる音楽が、ただならず。当然、ハイドンでも、大きな期待を寄せずにはいられなかったのだが... 思い描いていたイェルサレム四重奏団のイメージを裏切ってくれて、驚かされる。
2つのショスタコーヴィチのアルバムで聴かせてくれた、若さがほとばしるスリリングさ。結晶のようなピュアな輝きを放ったシューベルト。イェルサレム四重奏団の魅力は、弦楽四重奏という、ストイックで、弦人好みな編成に、また違う風を吹かせてしまうフレッシュさにある。そう感じて来たのだが、彼らにとっての2枚目となるハイドンは、しっとりと落ち着き、深みがあり、柔らかで、熟成された品の良さを感じ、時に、渋さすら漂う。彼らも、大人になったということか?特に、1曲目の35番が、印象的で...
何とも言えない憂いを含み、美しく流れていく、始まりの1楽章。それは、こころなしかロマンティックに響き。「ピリオド」ではない、「モダン」だからこその豊かな響きを、丁寧に繰り広げて... 古典派だということに、変に囚われることなく(モダンであっても、時代感に囚われがちな時代だが... )、音楽を膨らませていく。そんな音楽に、ふと、シューベルトあたりの湿度を感じ... 古典派の無邪気な透明感とは一線を画す、影を見出し、ハイドンという作曲家の、「大人」の部分に触れるようでもあり。そこが、また、新鮮なのだけれども。そうしたアプローチに、イェルサレム四重奏団の新たな一面を見るよう。
とはいえ、彼らそのもののフレッシュさが失われたわけでなく。彼らだからこそ生まれる渋さであり、湿度であり、影であり... 研ぎ澄まされ、透明感は増して響き出す、それら表情の裏腹なあたりに、一筋縄ではいかないハイドンがあって。それがまた、無理なく、極自然に成り立っているあたり、見事で。フレッシュであることを下地に、弦楽四重奏のストイックさ、古典派のシンプルさを超えた、心地良い錯綜感(?)が、味わい深い世界を創り、酔わせてくれる。
一方で、39番の終楽章(track.8)、79番の終楽章(track.12)の、浮き立つようなリズミカルなあたりは、イェルサレム四重奏団ならではの真骨頂... 紛うこと無きハイテクニックが生み出す爽快感。切れ味は鋭く、軽やかに踊って見せて。その踊りの中に、ハイドンがスパイスに使うフォークロワなテイストが覗かせて、キャッチーな魅力が炸裂し、楽しませてくれる

HAYDN String Quartets Vol.2 JERUSALEM QUARTET

ハイドン : 弦楽四重奏曲 第35番 ヘ短調 Op.20-5 Hob.III-35
ハイドン : 弦楽四重奏曲 第39番 ハ長調 Op.33-3 「鳥」 Hob.III-39
ハイドン : 弦楽四重奏曲 第79番 ニ長調 Op.76-5 「ラルゴ」 Hob.III-79

イェルサレム四重奏団

harmonia mundi/HMX 2962030




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