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7月、奇想。 [overview]

あまりにトリッキーだったか?7月...
何となしに選んだ10タイトルだったけれど、思いの外、奇想天外なタイトルが並んで。これぞ"クラシック"!という醍醐味からは、すっかり距離が... 実は、そんなあたりに、薄っすらストレスを感じていたり?いつもいつも、同じようなものを聴かされること(こそが、"クラシック"の宿命... なのだけれど... )が苦手でも、あまりにトリッキーなものが続くと、「いつもの」が聴きたくなってしまう。しかし、リラ・オルガニザータ?ナンジャアソリャア?などと、間違いなく、興味深かったわけで... そんな、7月に聴いた、10タイトルは...

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ということで、7月... 最もトリッキーだったのは、やはり、謎の楽器、リラ・オルガニザータか。コワン+アンサンブル・バロック・ドゥ・リモージュによる"Joseph Haydn - deLirium"は、まさに、ハイドンのメモリアルを飾るに相応しい「デリリウム」で。ハイドンが作曲した、リラ・オルガニザータのための作品を、実際に、リラ・オルガニザータを使って、初録音。ポジティフ・オルガンにハーディ・ガーディを乗っけてしまったような、摩訶不思議な古楽器体験は、間違いなく刺激的なもので。その、ユルめのサウンドは、ちょっと、癖になりそう...
そして、アルバムとしてのトリッキーさで光っていたのが、ホリガーの"ROMANCENDRES"。作曲家としてのホリガーのアルバムで... ホリガー作品を通して、現代からトレースされるシューマン像が、実に興味深く。それは、トリッキーである以上に、すばらしいセンス(ECMならでは!)を感じさせた1枚で。そうしたセンスを支える演奏のすばらしさもあって... リヒターのチェロ、ヴァールヨンのピアノによる、クララ・シューマンの「ロマンス」、ホリガーの「ロマンセンドレス」は、特に印象深い。クララのスウィートさと、ホリガーのビターなあたりを、どちらもナチュラルにサウンドにして、違和感なくつなげつつ、コントラストを付けて、それぞれを引き立たせてくる器用さ... 感服させられる。
もうひとつ、絶妙なセンスを感じさせたアルバム... シャトロンのハープによる"LE SALON DE MUSIQUE DE MARIE-ANTOINETTE"。マリー・アントワネットが愛した楽器、ハープを中心に、マリー・アントワネットのサロンを、音楽で再現するアルバム。そこに集められた、その当時、流行していただろうメロディの、教科書的な音楽史とは違うラインナップに、新鮮な思いをし。また、奏でられる音楽の親密な雰囲気が素敵で。プルナール(ソプラノ)が歌うマリー・アントワネットの歌曲、「それは、私の恋人」のラヴリーさは、とても魅力的。漫画家でもなく、カウンターテナーでもなく、歌うべき人が歌うと、王妃のアンプロフェッショナルも、しっかりと活きてくるのだなと... 何より、ピリオド楽器を用いたシャトロンのハープの、粒立ちのいいサウンドが絶品!時に、力強ささえ聴かせるその演奏は、見事。
で、すばらしい演奏は、他にも... 古楽のフィールドから、トラッドの世界へと踏み込んだサヴァールのアルバム"THE CELTIC VIOL"。このアルバムで聴かせる、サヴァールのヴァイオルの響きは忘れ難く。いつものフィールドとは違う場所でも、揺るぎない、この巨匠ならではの渋く深い世界に、感じ入る... 一方で、スウェーデンのピアニスト、ペンティネンによるシマノフスキのピアノ作品選集は、北欧ならでは?期待通りの、冷えたダンディスムが、ただただクール!彼の抑えたタッチだからこそ露わになるシマノフスキの魅力に、酔い...
そうそう、シマノフスキ付いてもいた7月... ヴィト+ワルシャワ国立フィルによるバレエ『ハルナシェ』の、力強くも鮮烈なサウンドも、忘れ難く... 振り返れば、あれもこれも、聴き入るものばかりだったか。

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そうした中、7月、最も強いインパクトを残したのが、ゲルギエフ+マリインスキー劇場によるショスタコーヴィチのオペラ『鼻』。奇想天外なゴーリキーによる物語に、まだまだ、ロシア・アヴァンギャルド、全開の頃の、若きショスタコーヴィチによる奇妙奇天烈な音楽。そこに、ゲルギエフならではのテンションがあって、その求心力たるや... もう、クラクラ来てしまう。一方で、マリインスキー劇場の歌手たちの的確さ、マリインスキー劇場管弦楽団のクウォリティの高さに、息を呑み... ゲルギエフ+マリインスキー劇場の最良の形が、この全曲盤に展開されていたことが、うれしかった。
かつて、PHILIPSから、膨大なロシア・オペラのタイトルをリリースしていたマリインスキー劇場。見るも無残なPHILIPSの現状を見切ってか、立ち上げられた自主レーベルの第1弾が、『鼻』。この成功が、ゲルギエフ+マリインスキー劇場のこれからを、ますます楽しみにさせる。




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