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ハイドン、メモリアル、デリリウム! [2009]

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リラ・オルガニザータとバリトン。
ちなみに、バリトンは、男声ではなくて、楽器の方の... と言っても、すぐに思いつかない。リラ・オルガニザータもだ(こちらは、さらに!だ... )。が、かつてはよく使われた楽器だったのか?普段、聴く、"クラシック"とは、その名の通り「古典」ではあっても、意外に近代寄りの音楽だったりする。そんな"クラシック"、時代を少し遡って、よくよく眼を凝らして見ると、知らない楽器がまだまだいろいろありそうで... そんな楽器が活躍するアルバム、クリストフ・コワン率いるフランスのピリオド・アンサンブル、アンサンブル・バロック・ドゥ・リモージュによるハイドンの新しいアルバムは、リラ・オルガニザータとバリトンをフィーチャーした大胆なもの。メモリアルなればこそか... で、そのタイトル、"Joseph Haydn - deLirium"(La Borie/LC 03)。メモリアルも折り返しを過ぎ、さらに、盛り上がっている?ヨーゼフ・ハイドン、無我夢中?

まずは、リラ・オルガニザータ。
この楽器を、ちゃんと使っての録音は、このアルバムが初めて(これまでは、他の楽器に置き換えて演奏... )のよう。となれば、これは貴重な体験!だが、それはそれは不思議な楽器で... ポジティフ・オルガン?に、ハーディ・ガーディ?が乗っかったような?妙な構造。とでも言うのか... その音も、ポジティフ・オルガンのかわいらしい音に、ハーディ・ガーディの素朴な風合いがふんわりと漂うような、ゆるめのラヴリーさが魅力的。それにしても、ピポピポと、パイプに風が送られて鳴る音と、擦られている弦が押さえられて響く音が、不思議な兼ね合いで... その不思議な兼ね合いのせいで、あくまでもラヴリー... 一方で、アグレッシヴな音楽には耐えられない?そんなあたりが、ロマン派の時代を超えて現代に至らなかったのだろうなと... しかし、現代ならば、このラヴリーさは、大いにあり!
そして、1曲目。1番の2台のリラ・オルガニザータのための協奏曲。
その出だしは、まさしくハイドン!古典派のフォーマルな気分で彩られた、しっかりとした音楽... なのだけれど、リラ・オルガニザータの奏でる、ラヴリーでゆるめのサウンドは、オーケストラに対して、なんとなくチグハグ?いや、そのチグハグさも味?しかし、3楽章(track.3)の、田園風?な、キャッチーなメロディ(中間部の牧歌的なあたりも、なかなか... )ならば、この楽器の魅力は活きてくる。
もうひとつ、このアルバムに収録された、リラ・オルガニザータを聴ける作品。8つのノットゥルノから、3番(track.13-15)。少年モーツァルトが作曲したような、あんまりにもシンプルなメロディの出だしに、多少、たじろぎつつ... なのだが、やはり3楽章(track.15)が魅力的。快活な音楽に、ゆるめのはずのリラ・オルガニザータが、軽やかに弾んで、2つのホルンも加わる力強いアンサンブルとも相まって、聴き応え十分。
そんな、一連のリラ・オルガニザータ作品は、リラ・オルガニザータの大ファン(?)、ナポリ王、フェルディナント4世からの委嘱で誕生したとのこと。そんなリクエストにきっちり応え、リラ・オルガニザータが活きる絶妙の音楽が生み出すハイドンの職人気質に、感じ入る。何より、ハイドンらしさと、この楽器のゆるさによる絶妙のハーモニーは、間違いなく魅力的。他の作品も聴いてみたい。

さて、このアルバムのもうひとつの主役、バリトンだ...
ヴィオール属に属し、形もそうした形(とはいえ、おばけヴィオールというのか、ちょっと異様な形ではあるのだけれど... )で、その音もやはりヴィオール属な音で... リラ・オルガニザータに比べれば、実に地に足のついた音を響かせてくれる。また、こちらは、エステルハージ候が好んだ楽器。ハイドンは、膨大な作品を残しているわけだが。バリトンを含む8重奏による2つのディヴェルティメント(track.4-6, 10-12)は、リラ・オルガニザータの作品に比べ、ハイドンならではの充実した音楽を聴かせてくれる。
何より、ガンバ/ヴィオールの名手、コワンによるバリトンはもちろん、モザイク四重奏団(Hob X-3のディヴェルティメント)、アンサンブル・バロック・ドゥ・リモージュによるアンサンブルが見事で。珍しい楽器にどうしても目が行きがちだが、彼らの瑞々しい演奏は忘れ難い。
が、やはり、メモリアル!こういうアルバムがリリースされることに、"Joseph Haydn - deLirium"だ。

Joseph HAYDN - deLirium

ハイドン : 2台のリラ・オルガニザータのための協奏曲 第1番 ハ長調 Hob VIIh-1 *
ハイドン : ディヴェルティメント イ調 Hob X-3 **
ハイドン : ノットゥルノ 第8番 ト長調 Hob Ⅱ-27 〔リラ・オルガニザータを、フルートとオーボエに置き換えての演奏〕
ハイドン : ディヴェルティメント ト長調 Hob X-12 *
ハイドン : ノットゥルノ 第3番 ハ長調 Hob Ⅱ-32 *

マティアス・ロイプナー、ティエリー・ヌア(リラ・オルガニザータ) *
クリストフ・コワン(バリトン) *
モザイク四重奏団 *
クリストフ・コワン/アンサンブル・バロック・ドゥ・リモージュ

La Borie/LC 03




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