SSブログ

HANDEL is back ! [2009]

2166112.jpg09op.gif
1010.gif
ヘンデル、没後250年のメモリアル...
ということで、ヘンデルのオペラも、すでにいくつかリリースされて... そうした中、気になるのが、ディエゴ・ファソリス率いる、イ・バロッキスティによる『ファラモンド』(Virgin CLASSICS/2 16611 2)。
CHANDOSにて、恐ろしくマイナーなオペラ(ガルッピ、ピッチンニ、ゴセック... )を担当し... が、極めてクウォリティの高い仕事ぶりを聴かせ、驚かせてくれたファソリス+イ・バロッキスティ。Virgin CLASSICSから、ヘンデルのオペラをリリース!となれば、期待せずにはいられない。ARTSでは、バッハを中心に、多少地味ながらも着実にタイトルを増やし、Clavesからは個性的な『四季』(Claves/CD 50-2204)をリリースし、今年は、naïveのヴィヴァルディ・エディションにも登場(naïve/OP 30474)。じっくりと階段を昇って、とうとうメジャーに躍り出るか?間違いなく、もっともっと注目されていいピリオド・オーケストラのはず。
で、『ファラモンド』。さすがはVirgin CLASSICS!ツェンチッチ、ジャルスキーと、豪華、カウンターテナーの競演を実現!となると、これは、メモリアルを飾る、かなりの強力盤?

1737年4月13日、ヘンデル、卒中で倒れる...
1720年代、ロンドンの国王劇場を拠点に、イタリア・オペラのブームを牽引したヘンデルだったが、そんなブームも風刺する、庶民派、バラッド・オペラ、ジョン・ゲイによる『乞食オペラ』(1728)に人気をさらわれ... また、ポルポラを招き(1729)、ヘンデルに対抗した貴族オペラの台頭で、イタリア・オペラ自体が共倒れ... そうした心労からか、ヘンデル自身も倒れてしまったわけだ。
そのため、ロンドンを離れ、アーヘン(ドイツの温泉保養地)で半年ほど湯治。再びロンドンで、イタリア・オペラのリベンジに挑んだ作品が、この『ファラモンド』(1738)なのだとか。だからか、全体に、並々ならぬ思いが漲るようで。それでいて、それまでのヘンデルのオペラのイメージとは、若干、違う?印象もあり... そこにあるのは、インターナショナルなセンスなのか?全てのナンバーが、必ずしもヘンデルっぽくまとめられていないあたり、かえって魅力的。ほんのわずか、ロッシーニを予感させる?でもないか... コーラスとともに歌われるファラモンドのアリア・フィナーレ(disc.3, track.15)が、ヘンデルにしては斬新で、印象的。何より、全曲、充実した音楽が繰り広げられる。
そして、この作品の目玉が、メイン・キャストにカストラート(=スター)を3人も擁すこと... 人気作曲家のカムバックを飾る作品だけに、ゴージャスな舞台を念頭にしていたのだろう。が、実際には、タイトルロールにカファレッリ(当時、最も人気を誇ったカストラートの1人... )をキャスティングするのが精一杯な経済状態で、残る2つのロールは女声でカバーされたらしい。そして、公演も、大成功とまではいかなかったらしい。

しかし、21世紀は違った!
マックス・エマヌエル・ツェンチッチ、フィリップ・ジャルスキーに、クサヴィエ・サバータという、強力なカウンターテナーをキャスティング。さらに、ヒロインの兄弟役に、テリー・ウェイ... 全部で4人ものカウンターテナーが揃い、ズボン役が一切いない布陣は、ヘンデルすら驚くのでは?そして、それは、ちょっとしたカウンターテナーのカタログでもあって。艶やかなツェンチッチ、軽やかなジャルスキー、ドスの利いたサバータ。彼らの多彩さに、魅了されずにいられない。
もちろん女性陣もすばらしく、ゾフィー・カルトホイザー(ソプラノ)、マリナ・デ・リゾ(メッゾ・ソプラノ)の2人の歌は、カウンターテナーのスター、実力派たちにまったく引けを取らない。いや、彼らを凌いでしまう?とにかく、そんな歌手陣の充実ぶりに、どのアリアも、二重唱も、緩むところなく、飽きさせない。そして、歌手陣を引き立てるファソリス+イ・バロッキスティのすばらしさは、またさらに!
手堅い技術から繰り出される、地に足の着いたサウンドが、まず印象的。さらに、伸びやかさとキレと、"ピリオド"ならではの魅力もたっぷりと。ドラマがぐっと推進力を増せば、テンションも高まって、1幕、ジェルナンドのアリア(disc.1, track.16)の出だし、そのアグレッシヴさなどは、もう、たまらない!ヘンデルの音楽の充実ぶりと、ファソリス+イ・バロッキスティの演奏の充実ぶりが相まって、想像以上のオペラが繰り広げられ、ちょっと... いや、かなり驚かされる。

ただ、物語の筋は、バロック・オペラ特有の... と言いますか、例の如く... と言いますか、セレヴたちのこじれにこじれた愛憎模様... ゲルマン民族大移動で、親子、恋人、入り乱れて、ナニガナンダカ... というあたりが、大成功に至らなかった理由?

HANDEL Faramondo I Barocchisti Diego Fasolis

ヘンデル : オペラ 『ファラモンド』 HWV 39

フランク族の王、ファラモンド : マックス・エマヌエル・ツェンチッチ(カウンターテナー)
アドルフォ : フィリップ・ジャルスキー(カウンターテナー)
スエヴィ族の王、ジェルナンド : クサヴィエ・サバータ(カウンターテナー)
クロティルデ : ゾフィー・カルトホイザー(ソプラノ)
ロズィモンダ : マリナ・デ・リゾ(メゾ・ソプラノ)
テオバルド : フルヴィオ・ベッティーニ(バス・バリトン)
キンブリ族の王、グスターヴォ : イン・スン・シム(バス)
キルデリコ : テリー・ヴェイ(カウンターテナー)

ルガーノ・ラディオ・スヴィッツェラ合唱団
ディエゴ・ファソリス/イ・バロッキスティ

Virgin CLASSICS/2 16611 2




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。