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奇想。 [2005]

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いつも気になりながら、まだ一度もそのCDを手にしていなかった、フランスのレーベル、æon。コンテンポラリーとクラシックの2つのラインを持ちながら、どちらもかなり個性的なアルバムを繰り出す、チャレンジングなレーベル。そのサイトも凝っていて、そんな個性的なサウンドも、いろいろ視聴できて、時折、覗いていて...
そこで、ふと耳にしたオルガンのアルバム。何気に、オルガンを聴いてみたいなと思っていたところに、不思議なテイストの作品と思いがけなく出会う。ルヴェルが弾く、カンポのカプリッチォ。こんなのも、アリなの?と、妙に、目から鱗なオルガン作品。これは、ちゃんと聴いてみたい... と、早速、取り寄せてもうら。そうしたら、これが、ちょっと普通じゃないアルバムで... いとも奇抜なるパイプ・オルガン・ア・ラ・カルト、ルヴェルの"Passions"(æon/AECD 0420)。そんな1枚。

なんとなく、オルガンに馴染めないできた。オルガンというと、どうも、バッハの"トッカータとフーガ"のイメージが強かったりして... いや、未だに強く... そのせいで、全体像がよく見えていないのかもしれない。あるいは、あまり見ようとしていなかったかもしれない。あの壮大な、建築と合体してしまったような、他の楽器ではあり得ない存在感が、スケール感が、馴染めないような。金属のパイプが、キンキン煌びやかに鳴り響く、派手さが苦手だったような。どこかで、「大きい」ことが、大味にも感じていたような。
けど、そう?と、自身の中のイメージにずっと疑問を投げかけていて。遅まきながら、"トッカータとフーガ"を越えてみたいと... そんなところで、不意に出会ったジャン・クリストフ・ルヴェルのアルバム"Passions"。メールロ(1533-1604)、ルイ・クープラン(1626-61)、グリニー(1672-1703)と、ルネサンス、初期バロック、盛期バロックへと続く、オルガン音楽の歴史を追いつつ、カンポ(b.1968)、ドゥ・チジ(b.1950)、ポゼ(b.1964)、プソン(b.1958)、マントヴァーニ(b.1974)という、フランスの現代の作曲家による刺激的な作品を挿み込む、奇抜なアルバム。
メールロの、ジャスト・パイプ・オルガン!な、煌びやかなサウンドから始まって... 自身の中にあった、「典型的」なこの楽器のイメージが、バッハよりもずっと古い時代の音楽からあることを知り、新鮮に驚く(かなりの無知かも... )。逆を言えば、オルガンによる音楽のスタイルというのは、ルネサンスの頃からのポリフォニックな伝統を逸脱することなく、紡がれてきたものなのかも... が、現代ともなれば、そうおとなしくはしていられない?サイトで視聴した、カンポのカプリッチォ(track.3)の、飄々として、楽器の壮大さとはアンバランスな、妙な軽さがおもしろく。どこか、バレル・オルガンのようなものを聴いているようで、刺激的。そんな、"ゲカダイオンガク"から解き放たれた、ラフで、ポップな、現代っ子感覚に共感しみたり。俄然、カンポという存在が気になりだす。またそこに、ルイ・クープランのカリヨン(track.7)が、思いがけなくカンポのカラーと重なるようで、おもしろく。バロックというカテゴリーにあるサウンドながら、これまた、妙にポップで、新鮮。他にも、電子音楽のような雰囲気さえ漂う、ドゥ・チジのヴェガ(track.8)。どこかでサンプリングしてきたような響きも広がる、不思議なテイスト、プソンのオルガンのための練習曲(track.16/17)も興味深く、オルガンという楽器の多様性を思い知らされる。
で、このアルバムの醍醐味は、古いものと現代のものを、強引に編み込んでしまう奇抜さか。そうした構成は、違和感があるようで、他では味わえない独特の刺激があり。ポセのストイックで抽象的な音楽の後で、グリニーの典雅、華麗なるブルボン王家の礼拝堂で鳴り響くような音楽が開けた瞬間の、ギャップの大きさに、感動したりして... 塩を舐め、ライムを口に搾り、テキーラを飲むような... 妙なる意外性のつながり?気がつけば、オルガンという楽器に、かなり酔っていたかも。ルヴェルによる"パッション"、なかなかキキます。

Passions Jean-Christophe Revel

クラウディオ・メールロ : トッカータ
クラウディオ・メールロ : カンツォーネ
レジス・カンポ : カプリッチョ
レジス・カンポ : ソンネリエ
ルイ・クープラン : 二重奏曲
ルイ・クープラン : 幻想曲
ルイ・クープラン : カリヨン
エディト・カナト・ドゥ・チジ : ヴェガ
ブリス・ポセ : オルガンのための6つの小品 から 第1、2、3、4曲
ニコラ・ド・グリニー : 讃歌 「パンジェ・リングァ」
ジェラール・プソン : オルガンのための練習曲
ブリュノ・マントヴァーニ : Aussi...

ジャン・クリストフ・ルヴェル(オルガン)

æon/AECD 0420




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