SSブログ

151年目のメモリアル。 [2007]

BISSACD1519.jpg
メモリアルばかりを気にしているわけではないけれど...
2007年、どんな作曲家がメモリアルなのだろう?と、調べてみたくなってしまう。
グリーグ、没後100年。シベリウス、没後50年。となると、2007年は北欧イヤーか?いや、そればかりでなく、ブクステフーデ、没後300年。ドメニコ・スカルラッティ、没後250年。と、バロックの大家も気になるところ。それから、グリンカ、没後150年。エルガー、生誕150年。レオンカヴァッロ、生誕150年。シャンドール・ヴェレシュ、生誕100年。コルンゴルト、没後50年。と、個性的な面々が続き、なかなか興味深い。
のだが、シューマンの没後151年目の今年。どういうわけか、自身の中で、シューマン・ブームが到来。昨年、ガーディナー盤、オラトリオ『楽園とペリ』(ARCHIV/457 660-2)を見つけ、狂喜し。ル・サージュの弾く、ダヴィッド同盟舞曲集(Alpha/Alpha 098)、2部、5曲目の、ゾクっと来てしまうメローなテイストに、何やらときめき... 今、最も聴きたい作曲家は、間違いなくシューマン!本来は嫌いな作曲家だったはずが、少しズレての"メモリアル"効果か、いろいろ聴いている内に、この作曲家の魅力にはまりつつある?
ということで、デンマークの鬼才、トーマス・ダウスゴー率いる、注目のモダン楽器とピリオド楽器によるハイブリッド編成、気鋭のオーケストラ、スウェーデン室内管弦楽団による、シューマンの2番と4番(原典版)の交響曲(BIS/BIS SACD 1519)を聴く。

SIMAXからの、ベーレンライター版によるベートーヴェンのシリーズで、じわりじわりと話題の人となり。この人、凄いかも... と思ったのは、テツラフが弾く、シベリウスのヴァイオリン協奏曲のアルバム(Virgin CLASSICS/5 45534 2)。首席指揮者を務めるデンマーク国立響を指揮し、テツラフを好サポート。いや、サポートに留まらない、密度の濃いコンチェルトを響かせ、ソロを食いかねない存在感を示した、デンマーク期待のマエストロ、トーマス・ダウスゴー(b.1963)。指揮者の世代交代が、じわりじわりと進む中、このダウスゴーという人物も、隅には置けない逸材のはず。だが、どうも、日本では、今一、目立たない?
が、BISからのシューマンの交響曲... SIMAXからのベートーヴェンに続いて、音楽監督を務めるスウェーデン室内管とのシューマンとあらば、期待せずにはいられない。そして、期待に違わぬクールさ!スタイリッシュだけれども、けしてタイトになり過ぎず、ひとつひとつのアクションに味がある... それは、まさにモードの先端を行くサウンド。ピリオドとモダンによるハイブリットの特性を最大限に引き出して、あっさりと斬新なシューマンを生み出してしまう。そうしたところから喚起されるシューマンは、まるで吹き抜けていく風のようで。しかし、耳触りの良さだけではない、風が通り過ぎた後に残る、わずかにセンチメンタルな不思議な余韻... 作曲家の、ナイーヴな、独特の刹那感のような... そうしたものを、そこはかとなく浮かび上がらせるダウスゴーの腕に、後からジワリ感服させられる。
さて、4番の交響曲なのだが、原典版による演奏で... オリジナル主義が幅を利かせているようなところもある今日この頃、少し前までは極めて珍しいもののはずだった原典版が、今では、よく耳にするような。が、どうも苦手。これまでの改訂版に聴き慣れてしまったから... というだけではない、原典版の、どこかブラッシュ・アップされていない、粗忽さのようなものが耳に煩わしく感じられて。改訂版のスムーズさ、流れの良さを思い返すと、今さら原典版というのも... と、正直、思うところも(オリジナル主義には絶大なシンパシーを感じているのだけれど... )。しかし、ダウスゴーである。このマエストロの手に掛かれば、すんなりと聴けてしまう不思議。やはり、この人のバランス感覚はただならない。そのダウスゴーに、きっちりと付いてゆくスウェーデン室内管!彼らのすばらしいパフォーマンスも忘れるわけにはいかない。「室内」ならではの密度の濃さと、緊張感... 「室内」という規模を超えるパワフルさ、テンションの高さ!シューマンの刺激的な部分を、徹底しておもしろく聴かせてくれる。
ところで、ジャケットの右上に"Opening Doors"と小さな文字が入っている。ジャケットのデザインも、ドアが開いた先に、収穫間際の小麦畑が広がり... ま、単純明快過ぎるデザインに、ちょっとガッカリでもあるのだけれど、これが、ダウスゴー+スウェーデン室内管による新たなシリーズになるようで... シューマンの交響曲に、新たな扉を開けてくれることになるのか?今後の展開が楽しみになる。また、このアルバムには、交響曲の他に、ゲーテの『ファウスト』からの情景の序曲(track.5)、序曲「ジュリアス・シーザー」(track.6)と、普段、ほとんど耳にすることの無いシューマンの序曲が収録されていて、このあたり、ダウスゴーならではのこだわりを感じ。SIMAXからのベートーヴェンのシリーズがそうだったが、単なる交響曲のツィクルスに終わるのでない、マニアックさも期待してみたり。とにかく、次が楽しみになる!

Schumann | Symphones Nos.2&4

シューマン : 交響曲 第2番 ハ長調 Op.61
シューマン : 『ゲーテのファウストからの情景』 序曲
シューマン : 序曲 「ジュリアス・シーザー」 Op.128
シューマン : 交響曲 第4番 ニ短調 Op.120 〔原典版〕

トーマス・ダウスゴー/スウェーデン室内管弦楽団

BIS/BIS SACD-1519




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。