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ヴァレーズさんは、ズバリ... [2006]

何となく、クラシックも、散々、聴いてくると、先へ進むか、後に戻るか、どちらかになるような。つまり、現代か、古楽か、のような。やっぱり、未知の音楽に触れることは、スリリング。で、現代ともなれば、完全に未知の音楽あって... 何より、現代を生きる我々と同時代の音楽が、どんなものなのか?現代の作曲家たちは、我々の生きる時代からどういう音楽を生み出しているのか?とても気になる。"ゲンダイオンガク"なんて言うと、「難解」という鎧を着て、アカデミックに浮世離れしたところに住まう人たちのもののようだが、実は、懐古とは違う、我々を取り巻くリアルとの、生々しいやり取りが作品を生み出しているはず。ならば、昔の音楽よりも、今の音楽にこそ共感してしかるべき?にも思えてくるのだけれど... 難しいか... いや、その難しさこそ、現代のリアルか...
という禅問答はさて置き、現代モノを3タイトル。より作曲家の意図したサウンドに近付く、ベーゼンドルファー・プレイヤー・ピアノによる、ナンカロウのプレイヤー・ピアノのためのスタディ、No.1-12(MDG/645 1401-2)。今や、現代音楽の老舗、アルディッティ四重奏団によるメキシコ現代音楽作品集(mode/mode 165)。現代のトランペットのヴィルトゥオーゾ、ホーカン・ハーデンベルガーによる、現代トランペット協奏曲集(Deutsche Grammophon/477 6150)を聴く。


鮮やかなナンカロウ... 新たなプレイヤー・ピアノのためのスタディ。

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WERGOからの5枚組、プレイヤー・ピアノのためのスタディ全集(WERGO/WER 6907 2)があるのに、懲りずに、また... 自動演奏ピアノだから、同じだろ!と、ツッコミも入れつつ、つい引き寄せられてしまうナンカロウ。今、「ナンカロウ」という名前に、それだけでカッコよさを感じてしまうウィルスに感染中。
アメリカ出身で、ジャズ・プレイヤー出身の、まさしくアンファン・テリヴル!コンロン・ナンカロウ(1912-97)。この、キテレツ作曲家との初めての出会いは、ラトルの傑作音楽ドキュメンタリー、『リーヴィング・ホーム、故郷を離れて ― 20世紀音楽への誘い』(Arthaus Musik/102073)。そこで、ラトルに紹介されたナンカロウはというと... 自動演奏ピアノを動かすロールに、パチンパチンとやたらめったら穴を開けて、それを「作曲」として呼んでしまうキテレツさ... 凄過ぎる、何をやってんだ、この人は!と、その行為に衝撃を受ける。その後、アンサンブル・モデルンによる、室内楽版に編曲されたプレイヤー・ピアノのためのスタディ(RCA/09026-61180-2)を聴き、ナンカロウ・ワールドを初体験。何をやってんだ、この人は!が、室内楽版(よく、アレンジできたものだ... )として、音(自動ではなく、人の手でよく演奏できたものだ... )に成り得てしまったものを聴いた時、何て素敵なんだ!と、ウィルスに感染... 以来、ナンカロウに憑かれる。そして、今、MDGから、ナンカロウのシリーズがスタート!
その、記念すべき第1弾。いや、いつもながのナンカロウなのだけれど... フリー・ジャズ?時折、ブルース?何となく流していたら、現代音楽だなんて、耳を疑うようなサウンドが続く。かと思えば、絶対に人間の手では無理な、ジャラジャラジャラジャラ、無秩序にかき鳴らされていくもの。もの凄いスピードで、曲弾きのようなもの。No.3a(track.7)は、プレスリーが踊っていそうで... No.5(track.13)などは、まさしく自動演奏ピアノ!メカニカルでキテレツなサウンドが炸裂!No.9(track.17)などは、これ、絶対にロールの穴開け、楽しんでる... それらみな、「ごきげん」なサウンド。その一言に尽きる。
そんな、MDGからの新たなプレイヤー・ピアノのためのスタディ... WERGOの時より、間違いなくクリアに作品が捉えられている。自動演奏ピアノに、どれほどの違いがあるのだろうか?なんて、高を括っていると驚かされる。より作曲家の意図に近付く、ベーゼンドルファー・プレイヤー・ピアノでの新録音は、これまでに無く、鮮やかにナンカロウの音楽世界を描き出す。

Player Piano 1: Conlon Nancarrow Vol. 1

ナンカロウ : プレイヤー・ピアノのためのスタディ No.1-12

ベーゼンドルファー・プレイヤー・ピアノ

MDG/645 1401-2




ビリっとくる!アルディッティ四重奏団によるメキシコ現代音楽。

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アボガド、大好き!で、ジャケットの輪切りのアボガドに惹かれ... って、ジャケ買いとも少し違うのか?それは、ちょっとシュールでもあり、ポップでもあり、このジャケットを開いて流れ出すサウンドに、期待させるところがあって... 何より、"アルディッティ"というブランド... これは間違いない。ということで、メキシコ現代音楽へと飛び込んでみる。のだが、のっけから鋭く厳しい音楽に慄くことに...
1曲目、アーヴィン・アルディッティ(ヴァイオリン)のソロによる、ワレルの"De jaque, sal, gala y luna"の、峻厳なサウンドに聴き入ってしまう。それは、バルトークやショスタコーヴィチの厳しい側面を受け継ぐような、独特のテイスト。もちろん、アーヴィンのすばらしい演奏もあるけれど、ひとつの楽器から並々ならぬ深さと緊張感を引き出し、圧倒される。続く、バスケスの1番の弦楽四重奏曲(track.2, 3)は、音が蠢く感覚がおもしろく、密やかにして緊張感漲る音楽が鮮烈。そして、再び、アーヴィンのソロによる、ロメロの"Ramas"(track.4)。ススススッ... ギギギギィ... 本当にヴァイオリンが鳴ってるの?という、特殊奏法が炸裂!何より、それを可能とし得ているアーヴィンの恐るべきテクニック!いや、テクニックと言えるのだろうか?楽器を知り尽くした先に、まったく異なるヴァイオリンの地平を切り拓く集中力?精神力?想像力?に舌を巻く。そして、最も印象に残るのは、ソーサの"Espasmo fulgor"(track.6)。やはりアーヴィンのソロと、エレクトロニクスによる作品で... いや、エレクトロニクスが絡むと、まさにSFワールド... 次元を超えた広大な世界が、広がってゆくようであり。エレクトロニクスの鮮烈な音響の中に、アーヴィンのスゴ技がきらめき、クールなサウンドが展開されてゆく。
メキシコの作曲家といえば、チャベス(1899-1978)に、レブエルタス(1899-1940)... そのあたりの名前を挙げるのが精一杯。そこに、メキシコの現代の作曲家となれば、まったくわからない状況がある。だからこそ、どんな個性がそこにはあるのかと、大いに興味を持ったこの1枚。メキシコだからといって、当然、マリアッチのようなサウンドが流れてくるはずもなく、そこには、グローバルな"ゲンダイオンガク"の作法、モードに則ったクウォリティの高いサウンドが、鋭く輝いている。けれども、どこかでラテンの熱さが滲み出てくるような気も... 赤くはない、青い炎が、ボっと燃え上がるのを感じるホットな室内楽作品ばかり。アルディッティ四重奏団が、また、鮮度100%で、そうした作品を料理し、カッコ良し!そんな、ビリっとくるハラペーニョ・サウンドは、夏バテ気味の耳に、大いに刺激を与えてくれる。ところで、アボガドって、中南米原産なんだ...

ARDITTI QUARTET: MEXICO New Music for Strings
Works by Naranjo, Paredes, Romero, Sosa, Vazquez, Waller


ファン・フェリーペ・ワレル : 独奏ヴァイオリンのための "De jaque, sal, gala y luna"
エルベルト・バスケス : 弦楽四重奏曲 第1番
ヘルマン・ロメロ : 増幅独奏ヴァイオリンのための "Ramas"
イバン・ナランホ : 弦楽四重奏のための "Uno"
ロへリオ・ソーサ : 独奏ヴァイオリンとエレクトロニクスのための "Espasmo fulgor"
イルダ・パレデス : 弦楽四重奏のための "Uy utan"

アルディッティ四重奏団
アーヴィン・アルディッティ(ヴァイオリン)
グレイム・ジェニングス(ヴァイオリン)
ドフ・シャインドリン(ヴィオラ)
ロハン・デ・サラム(チェロ)

mode/mode 165




ハーデンベルガーが吹く、ジャジーな現代トランペット協奏曲集。

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今、何となく、気になっている現代の作曲家たち... HKグルーバー(b.1943)、エトヴェシュ(b.1944)、ターネイジ(b.1960)。いわゆる"ゲンダイオンガク"からは脱した存在といっていいだろうか、それぞれに個性を極める気になる3人なのだけれど... そんな3人のトランペット協奏曲を取り上げる、クラシックを代表するトランペッターのひとり、ホーカン・ハーデンベルガー。まず、この3人を選んだ彼のセンスにグっときてしまう。
1曲目、"Aerial"のHKグルーバーは、ジャンルの壁をブチ壊すトンデモ系の人... というか、真面目に音楽をやっている?くらいのイメージがある。一方で、アンサンブル・モデルンの『三文オペラ』(RCA/74321-66133-2)では、指揮のみならず、ニナ・ハーゲンとともに、大騒ぎのピーチャム夫妻を歌って度肝を抜かれつつ、その器用さにも舌を巻く。歌もイケてしまう作曲家って、いったい... というHKグルーバーの"Aerial"(track.1)は、彼のイメージを覆すようなところがあって、少しびっくりしてみる。その前半、"Done with the compass-Done with the chart !"は、意外にしっとり、ジャジーなテイストが実に魅惑的。ノワールで、都会的で、安易にクラシックというレッテルを貼ってしまうのが可哀想なくらい。また、後半、"Gone Dancing"(track.2)は、一転、音楽がアグレッシヴに動き、フィナーレへと向かって盛り上がってゆくのがカッコ良く。"ゲンダイオンガク"とは一線を画す、現代人にフィットする現代感覚が盛り込まれ、「難解」というハードル無しに、無理せず、すっかり楽しめてしまう。
ということで、ジャズ色濃厚なこのアルバム。これもまた、現代音楽の流行りの形なのか?2曲目、エトヴェシュの"Jet Stream"(track.3)は、コンテンポラリー・ジャズ?気だるい気分の中を、ハーデンベルガーのトランペットが、影を帯びながらハードボイルドなサウンドを響かせる。そして3曲目、"From The Wreckage"(track.4)のターネイジ。イギリス現代音楽界のジャズの申し子?といった存在なわけだが、イギリス近代音楽のDNAと、ジャズのハイブリットを、巧みに聴かせて、さながら21世紀のガーシュウィンだろうか?おもしろい。
当然ながら、ラプソディー・イン・ブルーとはまったく違ったやり方で、三者三様にジャジーなサウンドを繰り広げ、クラシックというよりは、オーケストラを用いてのジャズのもうひとつの形、のよう。で、なかなか興味深いアルバム。何より、ホーカン・ハーデンベルガーのトランペットがクール!ジャンルの枠組みを取っ払ったところで、トランペットの魅力が、空間に際限なく広がっていく、この感覚。魅了されずにいられない。

GRUBER / EÖTVÖS / TURNAGE
HARDENBERGER / GOTHENBURG SYMPHONY ORCHESTRA


HK グルーバー : トランペットとオーケストラのための協奏曲 "Aerial"
エトヴェシュ : トランペットとオーケストラのための "Jet Stream"
ターネイジ : トランペットとオーケストラのための協奏曲 "From The Wreckage"

ホーカン・ハーデンベルガー(トランペット)
ペーテル・エトヴェシュ/イェーテボリ交響楽団

Deutsche Grammophon/477 6150



ところで、現代音楽占いというのを見つけました。
てか、現代音楽って占いになるの?と、首を傾げつつ、ふと考えてみれば、易の音楽とか?意外と現代音楽と占いは相性がいいのかも... さて、その、結果は、ヴァレーズ。でした。

ヴァレーズさんは、ズバリ先見の明があるタイプです。人よりも一歩進んだ考え方を持ち、なおかつ何事に対しても計画的。予想外のトラブルに見舞われても、スムーズに対処できてしまうので、物事はあなたの思い通りに進んでいくことでしょう。特に仕事面などでは、先を見通す力があるので、自然とみんなのまとめ役になりそう。また、時代の波に敏感なので、おしゃれも上手です。しかも最新のファッションに自分なりのアレンジを効かせられるので、周囲からはとてもセンスの良い人として、一種の憧れを抱かれているようです。そのせいか、身なりのだらしない人に対する態度は結構冷ややか。時にはその人の服装に、細かい口出しをしてしまいそうです。

当たっているような... 当たっていないような...
当たっていたら良いような... 当たっていたらやなヤツのような... 微妙...
で、何か良いこと、アルカナ?




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