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さようなら、2016年。 [overview]

近年、稀に見る、大騒ぎの一年が終わろうとしています。終わろうとしているのだけれど、気は抜けない... 年の瀬、押し迫っても、大火事に、地震と、なぜにここまで!というくらいに、何かが起きる。まさに波乱の一年。振り返ってみると、その事実が信じられないほど。何なのだろう?この異様さ... まるで、地球そのものが興奮状態にあるかのよう。が、そこに今年も第九が流れ出す。年末、クラシックの世界は、どこもかしこも第九となり、つられて聴いてしまうのだけれど、嗚呼、年末に聴くものなんだなと、奇妙に腑に落ちるものを感じる。今年は、余計に感じる。紆余曲折あって辿り着いたベートーヴェンの集大成、生半可の音楽ではない。今、改めて聴いてみれば、全てを包み込むようで、不思議な癒しとともに、聴く者を叱咤するところもあるのか、何だか勇気付けられる。だから、みんな引き寄せられるのだろうな... だから、年の瀬に取り上げられるのだろうな... そんな第九が、この年末に、何度も何度も奏で歌われるのであるならば、地球の興奮も収まるのでは?ふと、考えてしまう。
さて、今年、最後の更新です。例年通り、2016年に聴いたアルバムを振り返る。で、生誕150年のサティに始まり、リゲティの『ル・グラン・マカーブル』まで、143タイトルを聴いた2016年。近頃、ひとつひとつの音楽を丁寧に見つめることで、見えてくる風景が変わってきた気がする。いや、ますます音楽って深いなと、おもしろいなと感じた2016年を、振り返ります。

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相変わらず節操の無い143タイトル。けど、何だかんだで、壮観!
最も古いのはヒルデガルト・フォン・ビンゲン(12世紀)の女声による美しい聖歌、最も新しいのはライヴ・エレクトロニクスを用いたブーレーズのレポン(1981)、ジャズ界のマエストロ、ガルバレクに、ユネスコ無形文化遺産に指定されているクロアチア、フヴァル島の聖歌と、ジャンルも越境しつつ、レオンハルトの弾くチェンバロから、ブルックナーの交響曲まで、何でも聴いた2016年。一方で、没後400年のシェイクスピアにインスパイアされた様々な作品を聴き、あるいは、日伊修好150年、というのは後付けだったのだけれど、改めてイタリアの音楽をいろいろ聴いて、20世紀、第1次大戦中第2次大戦中に生まれた作品、両大戦間の時代を見つめ、18世紀、バロックから古典主義へうつろう時代を追い、ロマン主義について考え、今さらながらに学ぶことの多かった143タイトルでもありました。そして、今、それらを振り返ると、感慨深く、音楽って凄いなとつくづく感じてしまう。音楽というのは、その時代の空気が籠められたタイム・カプセルのようなものなのかも...

さて、その143タイトルから、特に印象に残るものを挙げてみようと思うのだけれど、まずは、今年、この世を去った2人のマエストロ、ブーレーズとアーノンクールを避けて通るわけには行かないだろう。それぞれに我が道を極めた異才、鬼才であり、現代音楽にピリオド・アプローチと、ともにクラシックの際に身を置き、当初はキワモノにすら見られながらも、両極から常にクラシックに揺さぶりを掛け、やがてメインストリームを牽引するに至る。その功績は大きく、何よりスノッブなクラシックを、おもしろくした2人だったと思う。
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ということで、まずは、現代音楽の異才... ブーレーズが、改稿を重ね、じっくりと練り上げた作品、『プリ・スロン・プリ』を改めて聴いて、作曲家の曲折に思いを馳せる。総音列音楽を確立した人物、数学者でもあった芸術界切ってのエリートの音楽は、極めてロジカルで冷徹なものに感じられるのだけれど、『プリ・スロン・プリ』には、ブーレーズにして、最前衛の波に翻弄される姿が刻まれ、そうしたあたりに、思い掛けなく人間臭く感じてしまう。が、試行錯誤を経て至った形は洗練の極み。"ゲンダイオンガク"にして、得も言えず美しいのだよね...
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そして、ピリオド・アプローチの鬼才... 改めてアーノンクールの音楽と向き合ってみると、"ピリオド"は手段に過ぎないように感じられる。鬼才は、ピリオドを用いたから鬼才なのではなく、強い個性に裏打ちされて鬼才なのだなと... そう感じた、ウィーン・フィルとのブルックナーの9番の交響曲。希代のシンフォニストの最後の交響曲を、ウィーンの交響曲として、味わい深くも感動的に綴るアーノンクール。作曲家の拠点、ウィーンのローカル性を巧みに引き込んで、より豊かな音楽を響かせてしまう鬼才の個性に、今さらながらに魅了されるばかり...
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さて、ブーレーズ、アーノンクールから離れまして、印象に残るのが、ハイドンの『十字架上のキリストの最後の7つの言葉』。スペイン、カディスのサンタ・クエバ祈祷室、聖金曜日の礼拝で、瞑想を促すために作曲された音楽... となると、機会音楽なのだろう。が、ハイドンは、自身も驚くほど、枠にはまることなく、希有な音楽を紡ぎ出していて、それは、18世紀とか、古典主義とか、時代を超越してしまうような不思議な音楽を響かせる。サヴァール+ル・コンセール・デ・ナシオンの演奏で改めて聴いてみれば、ハイドンの最高傑作に思えて来る。
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もうひとつ傑作の発見!ベルリオーズのオペラというと、『トロイアの人々』というイメージがあるのだけれど、その最後のオペラ、『ベアトリスとベネディクト』を改めて聴いてみて、びっくりした... あれ?こんなにもナチュラルな音楽だった?!このナチュラルさは、ベルリオーズに限らず、フランス・オペラ限らず、19世紀のどのオペラよりも抜きん出ている!ジェットコースターのような人生を経て、晩年のベルリオーズが至った境地に感じ入り、愛おしさすら感じてしまう。それを、颯爽と繰り出すデイヴィス、ロンドン響の演奏も瑞々しく素敵。
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最後に、ロト+レ・シエクルの驚くべきピリオドによるストラヴィンスキー『春の祭典』!近代音楽の金字塔をピリオドで... って、あり得るのか?!けど、やっちまったロト+レ・シエクル。そうして響き出す、19世紀、ロシア音楽の集大成としての『春の祭典』の思い掛けない姿。センセーショナリズムに捉われない新鮮なその姿はファンタジックで、『春の祭典』へと至る道程が聴こえ印象的。それはピリオドなればこそ、だろうけれど、ことさらピリオドであることを意識させず、不思議。いや、突き抜けている!

それから、ベッリーニの『ノルマ』に、ショスタコーヴィチの『ムツェンスク郡のマクベス夫人』に、ウルマンの『アトランティスの皇帝、あるいは死の拒絶』に、グルックのパリ版『オルフェオとエウリディーチェ』ラモーの『ゾロアストル』ベルリオーズの劇的交響曲「ロメオとジュリエット」1920年代のベルリンのキャバレー・ソングストラヴィンスキーの『プルチネッラ』ブゾーニのピアノ協奏曲、嗚呼、ダメだ、挙げだしたら止まらなくってしまう。どれもこれも、おもしろかった!そして、来年もまたすばらしい音楽に出会えますように...

ということで、本年はこれにて。
良いお年を!




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