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アコーディオンで、ゴルトベルク変奏曲を... [2005]

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いやー、とうとう40度越え!もう、言葉がありません。
街中を歩いていると、それは、まさにサウナの中を歩いているみたいで... 変な話し、そういうリミットを越えてしまった状況に、暑さが苦になるというより、笑ってしまうような有り様。すると、妙にテンションも上がって来たり... って、そういう事態がすでに熱中症?やっぱり頭に来てしまっている?けど、天然サウナで血の巡りが良くなっているのか、この間までより元気。かも。夏バテすら吹き飛ばす酷暑か... いやいや、気を付けないと...
さて、音楽で涼む。北欧のコーラスに続いて、北欧のアコーディオン?!2005年にリリースされた、フィンランドのアコーディオン奏者、ミカ・ヴァユリネンのチャレンジングな1枚、アコーディオンによるバッハのゴルトベルク変奏曲(ALBA/ABCD 191)を聴き直す。

バッハを代表する作品のひとつ、ゴルトベルク変奏曲... チェンバロの時代に作曲され、今ではピアノで弾くのが一般的... だけれど、パイプオルガンに、弦楽三重奏、弦楽オーケストラなど、最近は、様々な形で取り上げられるゴルトベルク変奏曲。それだけ、演奏家たちのイマジネーションを掻き立てる作品なのだと思う。そして、この作品を、アコーディオンで弾いてしまったヴァユリネン。アコーディオンでゴルトベルク変奏曲?!と、最初はとにかく驚かされた。バッハの小品ではなく、ゴルトベルク変奏曲をまるまる弾いてしまおうというのだから... そもそも、アコーディオンとバッハという組合せが、何だか珍妙な気もして...
そんなあたりから聴いた、ヴァユリネンのゴルトベルク変奏曲。始まりのアリアの、何とも言えない、素朴で、懐かしい響き... アコーディオンのイメージをそのままに、また、そのイメージが、冒頭のアリアの素朴な雰囲気に思い掛けなくはまり、チェンバロやピアノでは聴こえて来ない、独特のセンチメンタルを醸し出す。すると、アリアは、よりアリアらしさを際立たせ、鍵盤楽器ではなかなか得難い「歌う」という感覚がナチュラルに現れ、新鮮。ゴルトベルク変奏曲をアコーディオンで弾く意義というものを、早速、見出し、感心させられる。が、本当の驚きは、その後、やって来る!アコーディオンでバッハは珍妙?そんなイメージはすっかり吹き飛ばされてしまう、第1変奏(track.2)... まさにそれは風!アコーディオンのイメージばかりでなく、あの重苦しいバッハのカツラすら吹き飛ばされてゆくような、圧巻の爽快感!伝統に生きるドイツの片田舎から、夏のアルプスにでもやって来たような解放感に包まれて、目が覚める。弦を弾くチェンバロ、弦を叩くピアノとはまったく異なる、蛇腹が生み出す風が奏でるサウンドは、風そのものなのかもしれない。そして、アコーディオンは風なのだなと、颯爽と繰り出される30の変奏を聴いて、感じ入る。それがまた、ただならず心地良い!チェンバロやピアノでは味わえない心地良さがある。
それにしても、饒舌なヴァユリネンのアコーディオン。まず、変奏の隅々まで、軽やかに鳴らし切る、圧倒的なテクニック!アコーディオンでここまで音符を拾い上げられるものかと、舌を巻く。それでいて、その音符、ひとつひとつが、まるで伝統から解き放たれるように、風となって宙に舞い、一音一音が聴く者に幸せに微笑みかけるかのよう。ひとひとつの変奏が、これまでになく瑞々しく存在感を際立たせ、それぞれに魅惑的な音楽として輝き出し、飽きさせるところが一切無い。で、そのひとつひとつの表情の豊かさときたら、まったく驚くもので... 変奏の、変奏だからこその万華鏡を覗くようなワクワク感は、これまでに経験したことがない。もちろん、ゴルトベルク変奏曲は名曲だと思う。すばらしい作品で、様々にすばらしい演奏に触れて、魅了されて来た。が、ヴァユリネンによるアコーディオンでの演奏は、何か次元の違うものすら感じてしまう。今、改めて聴いてみて、さらにそう感じてしまう。バッハがスコアに刻んだ音符が、音として紙面の2次元から解き放たれ、より自由な姿を現す。
やっぱりバッハは凄い... 「バロック」とか、「18世紀」とか、そういうスタイルやスケールを超越している... いや、宇宙そのものかもしれない... めくるめく変奏は、特に、そんなイメージを掻き立てる。いや、アコーディオンという、バッハにしては思い掛けない楽器と、ヴァユリネンのただならないテクニックを以ってして、バッハの真髄に迫ってしまったか?また、アコーディオンだろうが何だろうが、とにかく許容してしまうバッハ芸術の底知れなさ!これは、ゴルトベルク変奏曲だけに限ったことではないけれど、「バロック」とか、「18世紀」とか、そういう枠組みでバッハを捉えれば、何とも時代遅れで、田舎臭さすら感じるのだけれど、そういう時代感覚の箍を外してしまうと... 例えば、アコーディオンで演奏してしまうとか、そういうちょっと意外な手に出てみると、バッハがなぜクラシックという銀河を代表するのか、わかるような気がする。

Bach: The Goldberg Variations | Mika Väyrynen accordion

バッハ : ゴルトベルク変奏曲 BWV 988

ミカ・ヴァユリネン(アコーディオン)

ALBA/ABCD 191




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