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二〇〇六、12タイトル/100タイトル。 [overview]

2006年を振り返っての3回目、とうとうベストを選ぶ!
のだけれど、その前に、そもそも2006年ってどんな年だった?という思いに駆られる。それは、7年前... ともなれば、記憶は曖昧。というより、具体的に何があったか、思い出すことすら覚束ない。から、情けない。で、ちらっと調べてみれば。そう、トリノ・オリンピックがあった!唯一の金メダルは、「誰も寝てはならぬ」によって、日本にもたらされたのだった。そして、口パクだったとは言え、パヴァロッティの最後の雄姿を目にしたことも忘れるわけにはいかない。それから、2006年といえば、第一次安倍内閣が始動した年。そして、今、日本は、その頃のことをほとんど覚えていない。それほど、遠くになってしまった7年前... 「美しい国、ニッポン」を、改めて口に出して言ってみると、もの凄くノスタルジックな気分になるからおもしろい。まるで、アンシャン・レジームの優雅な気分だ。何より、「KY」という言葉が、完全に死語となっている。もう空気を読む必要はなくなったか?なんて、いろいろ思いを巡らせば、やっぱり時が経つのは早い... なんて言うと、老け込みそうでいやだけれど...
と、ボソボソこぼすのはここまでにして、本題の、2006年のリリース、100タイトルを振り返っての、最も印象に残るベストを選んでみたいと思う。

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まずは、100タイトル(2006年時点で取り上げていた35タイトル昨年、夏前までに聴き直した30タイトル昨年、夏以後に聴き直した35タイトル)を聴いての、12タイトル。バランスを取ったつもりはないのだけれど、何となくバランス良く感じてしまう。メジャー・レーベルに、マイナー・レーベルに、クラシックの王道から、マニアックなケモノ道まで、自分で選んでおいて、何だけど、改めて12タイトルを並べてみると、妙に納得させられる。2006年、クラシックというジャンルはバランスが良かったのだなと... クラシックが元気であるということは、こういうことなのかもしれないと... が、モーツァルト生誕250年のメモリアルに、モーツァルトは選ばなかった... モーツァルトもすばらしかったのだけれど、それ以外もまたすばらしかった2006年。モーツァルト一色のようでいて、そればかりでなかったクラシックの気骨?みたいなものを感じたりする。

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とはいうものの、2006年、最も驚かせてくれた1枚は、モーツァルト!マルゴワール+ラ・グラン・エキュリ・エ・ラ・シャンブル・デュ・ロワによる、モーツァルトのレクイエム、リオ版(K617/K617 180)。2006年の12タイトルからは外れたのだけれど、「リオ版」というインパクトは、本当に凄かった... モーツァルトの弟子という立場によるジュスマイヤー版、ピリオドのスペシャリストによるレヴィン版、などなど、様々な補筆がなされた未完のレクイエムが、モーツァルトの死から四半世紀後のロマン主義の時代に、ヨーロッパからブラジルへと渡り、モーツァルトの同郷、ノイコムによって補筆され、演奏されていたということに驚かされた。またそうした歴史を掘り起こす、メモリアルならではのチャレンジングな姿勢にも感服。これこそ、メモリアルの醍醐味!
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さて、2006年、最も印象に残るパフォーマンス... いや、どれもすばらしかったのだけれど、その中でも特に印象に残るのが、"Hamburg 1734"(harmonia mundi FRANCE/HMC 901898)での、1734年製、ハースによるチェンバロを再現したモデルを鳴らしまくったシュタイアー!チェンバロの繊細なイメージを覆す、チェンバロとは思えないスケール感で鳴り響く、ハースのチェンバロも凄いのだけれど、その楽器を鳴らし尽くしたシュタイアーの大胆さ!鳴らし尽くすために、チェンバロ用のアレンジも自らやってのけ... 2台のチェンバロのためにアレンジされたテレマンの『アルスター川』の、バロックならではの描写音楽の、ブっ飛んだ表情、どうやって鳴らしているんだ?!というサウンドには、度肝を抜かれる。シュタイアー、恐るべし...
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それから、2006年、最も心を鷲掴みにされた1曲... アルバムとしてではなく(もちろん、アルバムとしてもすばらしかった!のだけれど... )、その"1曲"として、最も印象に残ったのが、ル・サージュが弾いたシューマンのアルバム、"An Clara"(Alpha/Alpha 098)の、ダーヴィト同盟舞曲集、第2部から、「優雅に歌いながら」。言葉を失います。そのひたすらに甘く、まるで夢を見ているような、1曲。その瞬間、ポンと違う次元に魂が迷い込んでしまったような、そんな思いにすらなる美しさ。そして、不思議な心地良さ。そんなサウンドを、さらりと引き出すル・サージュのタッチも得も言えぬもので... シューマンも、ロマン主義も、クラシックですらも、もはやどうでもよくなり、ただ美しい音の連なりに、ため息をもらすので精一杯...

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そして、2006年、最も印象に残るアルバムは?パーヴォ・ヤルヴィ+ドイツ・カンマーフィルによる、ベートーヴェンの3番、「英雄」と、8番の交響曲(RCA RED SEAL/88697 00655 2)。2006年にスタートし、2009年に完結した、ベートーヴェンの交響曲のツィクルスの第1弾となったアルバム... そして、この第1弾こそ、パーヴォの哲学がピュアに反映されて、伝統はもちろん、最新のモードにも、一切、影響されることなく、徹底して我が道を走り切って、圧倒的なパーヴォ・ワールドを展開。それがあまりに我が道を行き過ぎていて、最初に耳にした時は戸惑いすら感じたものの、それだけの真新しさを、演奏し尽くされたベートーヴェンで見せてくれたことはとにかく驚きだった。また、今、改めて聴き直しても、その衝撃的な新鮮さは失われておらず、ちょっと怖くなるほど... 何なのだろう?この感覚... 超高性能の室内オーケストラの、緻密さを最大限に活かし、スコアの一音、一音を徹底して磨き上げて響かせるベートーヴェン。音楽史の重みや、クラシックの勿体ぶった態度とは無縁の、何物にも捉われない、まるで無重力の中に、ベートーヴェンが書き記した音符のひとつひとつが、ふわふわと浮いているような、奇妙な感覚。けれど、その、ピュアな状態に、ユニヴァーサルな広がりを見て、ヒューマン・スケールを越えた壮大さを感じるのか... まったく希有なベートーヴェンだった。
ということで、終了!

さて、次回からは通常運転に戻りまして、2012年のアルバムを取り上げます(それと、2005年も聴き直し中... )。って、すでに2013年。本日、鏡開きとのことで、正月も、お終い。となると、2012年も早いとこケリをつけねば... ウーン、ちょっと頭を抱えつつ、焦る...

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