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交差するメヌエット。 [2007]

たかがblogであり、されどblogであって...
blogを書き"続ける"というのは、なかなか大変だったりする。勢い始めた頃は、次から次へと更新できていたはずが、いつの間にやら、放置状態... なんてこと、意外と多いのでは?というより、当blogがそうでした。
『はた迷惑な微罪』として、2006年にスタート!するものの、夏を過ぎたあたりで早速の電池切れ。年が明けて、2007年、思い出したかのようにまた書き始めるが、今度は春を待たずに、沈黙... 長い沈黙... 2008年、春、気合を入れ直して、試運転... 夏を前にギア・チェンジ!3日に1回の更新という、結構、高いハードル(当blog比)を課して、途中、気分転換に現在の名前に変えたりしつつ、今に至る(地震で、再び、2ヶ月の沈黙もあったが... )。のだが、ふと、その沈黙... 長い沈黙の期間が気になった。

HMVのサイトに、「年度別情報」というのがある。文字通り、年度ごとにリリースされたアルバムがリスト・アップ(とはいえ、1年を振り返ると、さすがに膨大な枚数、半端ないページ数... )されるのだけれど... これが、ちょっとおもしろい。おもしろいと言うか、その一覧を辿って、年度ごとに振り返って、ちょっと感慨に耽ったり、近過去と現在のクラシックの勢いの差というか、微妙に違う空気感のようなものを感じ取り、興味深く、また考えること多々あって... そして、当blogの長い沈黙の期間、どんなアルバムがリリースされていたのだろう?と、一覧を辿れば、あぁ、これも... このアルバムもこの年だったのか... と、再発見の連続。ならば、当blogの沈黙の期間を、そうした再発見で埋めてみようかなと...
ということで、新譜を追う合間に、2007年も、さっくり振り返る(ま、新譜ばかりを追っていられないお財布の都合もあって、なのだけれど... )。その最初の1枚が、フランスの気鋭、チェンバリスト、ピエール・アンタイによる、クープランの作品集(MIRARE/MIR 027)。
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ピエール・アンタイ... 近頃は、指揮者にシフト?録音の世界からは距離を置いている?チェンバリストとしての、ソロ・アルバムを見掛けないと思っていたら、クープランの作品集以後、リリースされていない。ということを、この機会に知る。いや、とても残念だ。バッハ、スカルラッティと、彼の演奏に魅了されて来ただけに、クープランのみならず、ラモーなど、彼ならではのタッチで、もっともっといろいろ聴いてみたいのだが。その、ピエール・アンタイならではのタッチ... 2007年のクープランを聴いて、改めて聴き入る。
誰が弾いても同じような響きになる(とは、随分と乱暴な言い方だということは重々承知の上で... )、チェンバロ(ここでは、クラヴサンとなるわけだが... )という楽器の限界(だからこそ、ピアノが発明され... )、というのか、そういう点で、どこかで苦手意識のある楽器だったけれど。ピエール・アンタイによる演奏は、そのあたりを逆手に取るような、徹底して実直に楽器と向き合うようなところがあって、迷いの無い音を紡ぎ出し。その竹を割ったような明確な響きが、作品の新鮮な表情を、改めて探り当てられ。その独特の感覚に、魅了されずにいられなかった。もちろん、それは、このアルバム... クープランにおいても...
どんな細かな音符であっても、全て、神経がゆき届いていて、輪郭をぼやかすようなことはしない。安易な雰囲気には絶対に流されない。となると、ロココの時代の、繊細で、儚げな音楽は、また一味違った存在感を見せるようで。ちょっと硬質かな?と、感じなくも無いが、そのあたりが、ナイーヴなクープランの音楽に、独特な力強さのようなものを感じ。その力で、華麗なロココに抑制を効かせ、わずかに枯れたトーンを滲ませる?ピエール・アンタイならではの明確な響きがある一方で、そこから発せられる気分と言うのは、ちょっと複雑なのかもしれない。となとる、宮廷のサロンを飾った音楽も、聴き流すなんて、安易な姿勢では向き合えない。ピエール・アンタイの両の手が放つ1音1音を、聴く側も丁寧に拾い集めるような感覚になって。クープランという作曲家のミクロコスモスに改めて圧倒される。聴き終えて、弾き手もすばらしいが、今さらながらに、作曲家もまた... なんて思いになる1枚。各方面で絶賛され、多くの賞を受賞していることに納得。改めて聴くことで、その良さを、より噛み締めることができた。いや、最初に聴いたより、間違いなく、深く、クープランの世界に身を沈めることができたような気がする。

Pierre Hantaï François Couperin – Pièces de clavecin

クープラン : 大殿様
クープラン : シャブイの王女、またはモナコのミューズ
クープラン : 軽はずみな女
クープラン : フロール
クープラン : メヌエット
クープラン : 二重生活者
クープラン : 嘆きのほおじろ
クープラン : 芸術家
クープラン : おじけた紅ひわ
クープラン : キタイロンの鐘
クープラン : 勝利者の歓喜
クープラン : プレリュード 第6番
クープラン : 機知
クープラン : フランスのフォリアまたはドミノ
クープラン : 葦
クープラン : プレリュード 第8番
クープラン : そしらぬ顔であざ笑う女
クープラン : うなぎ
クープラン : 交差するメヌエット
クープラン : 手品

ピエール・アンタイ(クラヴサン)

MIRARE/MIR 027




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