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クラシックだって、これからだと思う。 [overview]

さて、12月に入り、2010年を振り返る... そういう気分が高まる中、毎年恒例、レコード・アカデミー賞が発表されました。とはいえ、あっそー、くらいのスタンスでして... 国内盤を中心に、メジャー・レーベルで賞を分け合うような、そんなユルさに、いい加減、嫌気。ご高名な先生方によって、その年のベストが選ばれているわけだけれど、21世紀、クラシックのリアルとは乖離して見えるそのチョイスに、なんか、毎回、ガッカリ... の、はずだったが、今年の賞の行方は、ちょっと刺激的?いや、びっくり!æonからのアルバムが3つも受賞?!一方で、DGは特別賞に2つほど引っ掛かる程度という結果に、21世紀、クラシックのリアルを見る思い... けど、Æonからの3タイトル、今年の新譜と言えるのか?と、疑問もあるのだけれど... いや、クラシックの権威も、クラシックのリアルへと、歩み寄ろうとしている?のかなぁ。いや、興味深い。
それはともかく、当blog的には、未だ秋を振り返っている最中... ということで、2010年、秋に聴いた22タイトルを振り返る... の続き... で、この秋、どうも凝ったアルバムが多かった?

そういうアルバムを好んで聴いたからかもしれないけれど、どうも近頃のクラシックというのは、凝ったアルバムが多いように感じる。これまで通りのクラシックが、どうもワンパターンに陥ってしまって、何とかそうしたところから抜け出そうと、あれやこれや試行錯誤中... そんな感じだろうか?で、おかげで、これまでとは違った視点でクラシックと向き合う機会が増えているように思うのだけれど。
例えば、シュフのピアノによる『憧れのワルツ』(OEHMS/OC 754)。シューベルトにインスパアされたシューマンの姿を、ワルツから紐解く、実に興味深い構成。シューベルトのフレーズが、シューマンの作品の中で花開いてゆく姿が、とても印象的だった。それから、ガーディナー+ORRによるブラームスの交響曲のツィクルス、完結編、4番の交響曲(Soli Deo Gloria/SDG 705)を収録したアルバムでは、古典へと回帰してゆくブラームスの姿を、ガブリエリ、シュッツまで遡って描き出す、その大胆さに驚かされるわけだが、ただブラームスを聴くのではない、その取り合わせの妙は、見事!一見、マニアックのようでいて、そういう狭量な仕上がりに終わらないすばらしい演奏は説得力を生み、新たな作曲家像を切り拓くよう。そんなアルバムが、増えてゆくと、クラシックはもっともっとおもしろくなる?のかも...

さて、最後に、この秋、最も印象に残るアルバムは?
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サヴァール+ル・コンセール・デ・ナシオンによる"LE CONCERT SPIRITUEL"(Alia Vox/AVSA 9877)。ルイ15世(在位 : 1715-74)の時代、パリの音楽シーンをリードした伝説のオーケストラ、ル・コンセール・スピリチュエルをフィーチャーしたその内容は、とても興味深い。が、このアルバムの魅力、何と言ってもサヴァール!古楽モノにシフトしていたサヴァール、久々のバロックということで、古楽のレパートリーが持つ灰汁の強さではなく、サヴァールそのものの音楽性こそが活き、改めてこの巨匠の紡ぎ出すサウンドに感服。けして力むことの無い流麗さと、ピリオド・アプローチなればこその古色蒼然としたトーンを、抑えたセンチメンタルに変えて... バロック・ロック、ヴィヴィッドなピリオドとは距離を取る、サヴァールならではのバロックが薫り立つ!
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それから、モーツァルト、ハイドンに続いての、ピリオドのピアノによる、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ、全曲録音という偉業を達成したブラウティハム!vol.8(BIS/BIS-SACD-1613)となる、28番と、最後の3つのソナタを収録したアルバムも、深く印象に残る1枚。リリースを重ねるごとに、深化してゆくブラウティハムのベートーヴェンは、本当にすばらしいものだったが、vol.8では、さらに達観したようなベートーヴェンを響かせて。そのあまりにナチュラルなタッチに触れていると、ピリオド云々、堅苦しいことは頭からすっかり消えて、音楽そのものが浮かび上がるような、そんな感覚を味わうことに... 肩に力の入らない自由な気分を楽しみつつ、ただならず感動してしまう懐の深い音楽。その境地が、凄い!で、ソナタ完遂となれば、次なる変奏曲が楽しみ!
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2010年、老舗、DGのダメっぷり(てか、ユニヴァーサルそのものの迷走っぷり)、さらに加速?そんな状況、クラシック・ファンとして、ただただガックリ... なのだけれど、落ちるところまで落ちれば、後はおもしろいことをするしかない?!とばかりに、これまでのDGにはない、おもしろアルバムをリリース... というのが、パーカッションの新鋭、グルビンガーによる"DRUMS 'N' CAHNT"(Deutsche Grammophon/477 8797)。かつて録音されたグレゴリオ聖歌に、グルビンガーのパーカッションが自由に乗っかって... フュージョン、コンテンポラリー、ワールド・ミュージック、ジャズ... グレゴリオ聖歌が、こうもクールに変身するか?!と舌を巻きつつ、それを成し遂げたグルビンガーのセンスに感服。この、何物にも囚われない現代っ子感覚こそ、クラシックの未来を予感させる?

クラシックだって、これからだと思う。




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