ディスイズ、ザ、ソウゴウゲイジュツ！

ところで、名前が変わりまして、ひと月が過ぎ... どーなんだろ？と、ふと思う。
名前に限らず、いろいろ変えたつもりで、まだまだ試行錯誤の途上なのだけれど、振り返ってみると、変わったか？なんて、シンプルに自己批判。もっともっと、変わりたい。何と言いますか、ぐちゃーっと、変わりたい(型を崩したい？)。で、ユルユルに展開したい。というのが、理想なのだけれど。コチコチなクラシックを、ラディカルに、ぐちゃーっと、ユルユルに見つめる。そんなことに挑みたい。なんて妄想に耽る。でいいのか？ま、いいか...
さて、先日の夕刊に、トッパンホールが10周年という大きな広告を見つけて、ちょっと驚く。もうそんなにも経つの？！と... まだまだ新しいコンサートホールの気でいたから...

クラシックの世界を知った時、すでにあったコンサートホールと、その後にできたコンサートホールというのは、自身の中で、ちょっと位置付けが変わってくるのかもしれない。
やはり、クラシックというのは敷居が高い(そういうイメージを刷り込まれているから... )。初めてコンサートホールを訪れる時の心地というのは、どこか、恐る恐るだったりする(ま、慣れてしまえば、大した所でもないのだけれど... )。そんな畏怖を味わったコンサートホールと、目新しさにワクワクした経験を持つ、クラシックを知ってからできたコンサートホール。「畏怖」と「ワクワク」では、親近感という点で、多少の距離の違いを生むのか、トッパンホールの10年というのは、まことに勝手ながら... 一緒に歩んで来たような感覚がある。なものだから、いつまで経っても新しいまま... 自身がいつまでも若いまま(いや、まだ若い。つもり... )、というのと同じ感覚か。しかし、10周年。「10周年」という文字に、時の経つ早さを思い知らされて、ちょっとゲンナリ。
21世紀も10年代を迎えているわけだ。
なんて、感傷はさて置き... トッパンホールの一方で、カザルスホールがとうとう閉館。というニュースに、クラクラくる(解体されて、再開発されるみたい... )。何にも増して、「日藝(日本大学藝術学部)」という看板を持つ、日大の手によるから余計にクラクラしてしまう。ま、お茶の水の駅からそう遠くない一等地だけに、虎視眈々と取り壊しを狙っていたのだろう。日大に譲渡された時点で、いずれ消滅するだろうとは思っていたけれど、23年で閉館... これがニッポンにおける藝術の限界か？グッタリさせられる。

一方で、海の向こうからは、刺激的なニュースが...

ニューヨーク、メトロポリタン・オペラにて、プレミエを迎えた、ヴェルディのオペラ『アッティラ』。衣装を手掛けたのは、Prada、MiuMiuのデザイナー、ミウッチャ・プラダ。美術を手掛けたのは、北京オリンピックの看板、「鳥の巣」に、テイト・モダンのリフォーム、そして日本では、青山のガラスのプラダを生み出した建築家ユニット、ヘルツォーグ&ド・ムーロン。と聞いて... ディスイズ、ザ、ソウゴウゲイジュツ！これぞ「オペラ」というコラヴォレーションに、ちょっとゾクゾクきてしまう(ちなみに、指揮台には、ムーティというゴージャスさ！)。もちろん、その舞台、実際に見てみなければ始まらないのだが、それぞれの分野で最先端を走るクリエイターを、「オペラ」という名の下、結集できる力と、チャレンジングなコラヴォレーションに挑もうというMETの勇気に、感服。

METと言えば、3大テノールあたりをふんだんにキャスティングして、オペラにおけるオールド・ファッションを、徹底してゴージャスに展開する大時代的なオペラハウス。オペラにおける保守の牙城... だったはずだが、総裁が変わると、こうも変わるかと、その変身ぶりに感慨。今シーズンは、ウィリアム・ケントリッジ(国立近美での回顧展が話題となった南ア出身の鬼才、映像作家... 現在は、広島市現代美術館に巡回中... )によるショスタコーヴィチ、オペラ『鼻』も新制作(国立近美では、そのスケッチ的インスタレーションが公開... )されたばかり。オペラだけでなく、アート、全方向的に、抜け目なく向けられたMETの視線、その鋭さに、感心させられるばかり。

で、ニッポンはどうなのか？藝術よりも不動産？再開発こそが文化か。