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西洋音楽史。それは、ひとつのサクセス・ストーリー? [miscellany]

古楽だの、モダンだの、コンテンポラリーだの、挙句、ボーダーだのと言っていると、ふと、久しぶりに聴いてみたくなるコテコテのクラシックが次々に頭に浮かんでくる時がある。えーっと、あれと、これと、そう言えばあれも... で、アラーニャが歌うヴェルディのアリア集を引っ張り出して聴く。アバドの指揮、ベルリン・フィルのバックとは、なんとゴージャスな!久しぶりに理屈無し、イタリアのパッションを楽しむ。それから、バルツァが歌うロッシーニのアリア集。そういえば、オリンピックの開会式で、『泥棒かささぎ』の序曲がチョロっと使われていたっけ... さらに、バルトリの、テアトロ・オリンピコでのリサイタルを収録したアルバム。やはり、イタリアでのオリンピックの影響か...

さて、中公新書、『西洋音楽史』(岡田暁生著)を読む。
朝日新聞の書評を見て、昨年末から探していたものの、どこも品切れで、なかなか手に入らず... が、ようやく、先月末、購入。つまり、ベストセラー?こんなにもお堅いタイトル、ずばり"西洋音楽史"である。驚くべき現象のようにも思われるが、モーツァルト・イヤーに、にわかクラシック・ブームだので、それなりの需要があるのか?

で、一気に読んでしまった。その読みやすさゆえ、一気に。
意外なほど堅くなく、それでいて、しっかりと流れを把握できる、読み応え十分の内容。で、新書だ。つまり、お手頃価格。西洋音楽史という、普段なら身構えてしまうような代物も、財布的にも、頭的にも、驚くほど、すーっと飲み干せてしまう、お得な一冊。しかし、著者の、クラシックへの熱情と愛情は、並々ならない。前書きを読んだだけで、西洋音楽史という過去を綴ったものでありながらも、何か新しいことが始まるような予感すら与えてくれる。だからこそ、一気に読めてしまうのでろあう。1つの音楽ジャンルの歴史を、ドラマティックなサクセス・ストーリーとして綴ってしまったような... これまでの"西洋音楽史"とは、はっきりとした温度差がある。で、もちろん熱い!その熱ゆえに、ところどころ、ピンボケやズレもなくも無いが、時代、時代、聴く者の心をとらえ、時に熱狂させただろう音楽である。そんな歴史を綴るのに、温度はやはり必要だろう。また、現代の読み手も、体温を持っている。クラシックであろうと、冷たい音楽など、欲していない...

しかし、歴史観があまりに古い... 古過ぎる... なぜだ?
それもまた、西洋音楽史をわかりやすくするための方便なのだろうか?
新しい歴史観で、西洋音楽史を振り返ったなら、また新しい、いや、もっともっと新しい一面... というより、近代に汚されていない真の姿が見えたはず... と思うと、なんとも残念な気も。




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