SSブログ

レイハ、サロンの大交響曲、ベートーヴェン、七重奏曲。 [2019]

AP211.jpg
音楽史から見て、ベートーヴェンは、どんな時代を生きていたのだろう?ベートーヴェンの音楽があまりに揺ぎ無く存在しているものだから、その時代が過渡期だったなんて、普段、あまり考えない。が、その揺ぎ無いあたりから、ちょっと視点をずらせば、ベートーヴェンの時代が過渡期であったことを思い知らされる。そう、古典主義の時代から、ロマン主義の時代へとうつろう時代... で、そういう史実に触れて、ますます興味深く思うのが、ベートーヴェンのあの揺ぎ無さ... あれは、何なのだろう?新しい時代に前のめりになりながらも、実は、しっかりと伝統の上に立脚するという、意外と頑固な保守性... 19世紀を切り拓いたベートーヴェンの音楽ではあるものの、あくまで18世紀の延長線上に存在していて、まさしく、最後のウィーン古典派。しかし、それは、ただのウィーン古典派ではなくて、ウルトラ古典主義!というのが、ベートーヴェンの際立った個性を形作っているように思う。そんな風に、改めて認識するために、ベートーヴェンの周辺にも注目してみたいなと...
ベートーヴェンの弟子、リースに続いて、同い年で、同級生で、同僚でもあったレイハ。ジュリアン・ショーヴァン率いる、ル・コンセール・ド・ラ・ローグの演奏で、レイハのサロンの大交響曲、第1番と、ベートーヴェンの七重奏曲(APARTE/AP 211)を聴く。

続きを読む...


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

リース、信仰の勝利。 [2013]

7777382.jpg
さて、2020年は、ベートーヴェンの生誕250年のメモリアル!となれば、やっぱりベートーヴェンをいろいろ聴いてみたい... のですが、当blog的には、もう少し視点を広げまして、ベートーヴェンの周辺にも注目してみたいなと... いや、"楽聖"と呼ばれるベートーヴェン、その存在は燦然と輝き、あまりの眩しさに、周辺があまりよく見えて来ない。例えば、モーツァルトの隣には、ハイドンという大きな存在がいて、サリエリというライヴァルもいて、モーツァルトのストーリーを大いに盛り上げる。また、そうした、モーツァルトの周辺にいた作曲家たちの作品に触れることで、モーツァルトが生きた時代を、活き活きと感じ取ることができるように思う。で、ベートーヴェンはどうだろう?いや、ベートーヴェンをよりリアルに感じるためにも、同時代の音楽を聴くことは意義深いように思うのだけれど、なかなか難しいのが現状。ならば、このメモリアルこそ、注目してみたいなと...
ということで、ベートーヴェンと同じボンの出身で、弟子、フェルディナント・リースに注目!ヘルマン・マックス率いる、ダス・クライネ・コンツェルトの演奏、ライニッシェ・カントライのコーラスで、リースのオラトリオ『信仰の勝利』(cpo/777738-2)を聴く。

続きを読む...


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

ル・プランス、ミサ、汚れは御身のうちにあらず。 [2013]

GCD921627.jpg
フランス・バロックというと、とにもかくにもヴェルサイユ!国王を頂点に、音楽官僚たちが織り成した宮廷音楽がそのイメージを形作っている。で、実際、オペラなど、宮廷の作曲家に独占上演権が与えられ、見事な一極集中!が、国中に教会があって、それぞれにオルガニストがいて、聖歌隊があって、ヴェルサイユとはまた違う音楽を歌い、奏でてもいた史実。ヴェルサイユがあまりにも燦然と輝くものだから、なかなか見えて来ない地方の状況なのだけれど... かのラモーは、リヨンやディジョンで活躍した後にパリへとやって来たわけだし、レクイエムの名作(後に、国王の葬儀でも歌われた... )を書いたジルは、トゥールーズの大聖堂の楽長だった。必ずしも、パリやヴェルサイユばかりがフランス・バロックではなかった。というより、地方の充実に支えられてこそのヴェルサイユであり、パリだったようにも思う。そんなフランス・バロックの地方をちょっと覗いてみる。
ということで、17世紀、フランス、ノルマンディー地方、リジューの大聖堂の楽長を務めていた、ル・プランスのミサ... エルヴェ・ニケ率いる、ル・コンセール・スピリチュエルの歌と演奏で、ミサ「汚れは御身のうちにあらず」(GLOSSA/GCD 921627)を聴く。

続きを読む...


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

クープラン、ルソン・ド・テネブル。 [2014]

Alpha957.jpg
音楽室に居並ぶ肖像画に、女性はひとりもいなかった。クラシックは、やっぱり、男の世界なのだ。という固定概念が、数こそ少ないものの、音楽史上における女性たちの活躍を、隠してしまってはいないだろうか?前回、聴いた、17世紀、イタリアのシスターたちの作品に触れると、ふとそんなことを思う。いや、音楽史における女子修道院の存在が気になってしまう。中世には、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンという伝説的なシスターもおりました。教会での祈りに音楽が欠かせなかったことを鑑みれば、シスターたちによる独自の音楽文化は脈々と紡がれていたはず... また、そこから生まれた音楽が、出版という形で広く世に知らされていた史実もあって、今年、生誕400年を迎えたシスター、イザベッラ・ベルナルダの、1693年に出版されたソナタなどに触れれば、女子修道院における音楽環境の充実を窺い知ることができる。ということで、イタリアからフランスへ... フランスの女子修道院、さらに、女子寄宿学校で歌われた、聖週間のための音楽を聴いてみる。
ということで、女声による美しい音楽... ヴァンサン・デュメストル率いる、ル・ポエム・アルモニークの歌と演奏で、クレランボーのミゼレーレと、クープランのルソン・ド・テネブル(Alpha/Alpha 957)。この四旬節、美しい祈りの音楽で乗り越えましょう。

続きを読む...


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

"O dulcis amor"、17世紀、イタリアの女性作曲家たち... [2005]

RAM0401.jpg
3月に入りました。そして、すっかり春めいております。分厚いコートを着なくてもよくなると、足取りも軽くなります。が、今年の春は、キリスト教徒でなくとも、四旬節。家で静かにしていることを余儀なくされ... また、そうなったことで、大混乱!ではありますが、事ここに至っては、そうせざるを得ない事態。しかし、悲嘆に暮れてばかりでは、明日は来ない... この大混乱を前にして、今こそ、我々の日頃の在り方(働き方やら、子育て支援やら、ありとあらゆること... CDCは日本にも必要だし、政治家含め、今、本物のプロフェッショナルが求められている!)を見直す時が来たのだと思います。てか、見直しの絶好の機会!ある意味、このウィルスによる試練は、新時代の春を呼ぶ嵐なのかも... 何より、四旬節の後には、必ず復活祭がやって来る!未だ20世紀に引き摺られている我々の社会が、21世紀のリアルと向き合い、真に21世紀的な在り方を模索し始めれば、間違いなくスマートな時代がやって来るはず。恐れずに前に進む。これこそが、福音!は、ともかく、音楽です。
明日、桃の節句!祝います。女性古楽アンサンブル、ラ・ヴィラネッラ・バーゼルの歌と演奏で、17世紀、イタリアの女性作曲家たちによる作品を集めたアルバム、"O dulcis amor"(RAMÉE/RAM 0401)を聴く。外に行かなくたって、春は、ここに、ある...

続きを読む...


nice!(3)  コメント(1) 
共通テーマ:音楽

ジェズアルド、聖週間の聖務日課のためのレスポンソリウム集。 [2013]

LPH010.jpg
さて、四旬節に入りました。音楽史の中をフラフラ、フラフラしております当blog... すると、ちょくちょく出くわすのが、この"四旬節"というワード。キリストの復活を祝う復活祭(今年は、4月12日の日曜日!)の前、灰の水曜日(今年は、先日、26日の水曜日... )に始まる、キリストの受難へ思いを寄せる46日間... 肉を絶ち(だから、その前に謝肉祭があるわけよ... )、静かに祈りを捧げるのが、四旬節。となると、オペラなどはもってのほか!けど、聖譚劇=オラトリオならOK。何より、静かに祈るための音楽がいろいろ作曲され、音楽にも大きな影響を与えた四旬節。そんなこんなで、キリスト教徒ではございませんが、いつの間にやら馴染み深くなってしまった?いや、四旬節に、教会音楽を聴くというのもまた、乙?交響曲だ、オペラだと、華やかな音楽を聴くばかりでなく、静かな祈りの音楽を聴く期間があっても良いのかも... そして、何より、今こそ、祈りの音楽かなと...
ということで、四旬節の山場、聖週間のための音楽... フィリップ・ヘレヴェッヘ率いる、コレギウム・ヴォカーレの歌で、ジェズアルドの聖週間の聖務日課のためのレスポンソリウム集(PHI/LPH 010)。肺炎平癒とウィルス退散の祈りを籠めて聴いてみる。

続きを読む...


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

バンキエーリ、マドリガル・コメディ。 [before 2005]

OPS30137.jpg
さて、本日、謝肉祭=カーニヴァルの最終日(よって、明日から四旬節... )。本来ならば、お祭り騒ぎのはずが、ヴェネツィアのカーニヴァルは、すでに打ち切りになったとのこと、東アジアのみならず、ヨーロッパでも切迫した状況となって参りました。一方、こうした事態を前に、批判先行、どうもにも建設的な論議が始まらないことがもどかしい!今こそ、しっかりと連携して、対処する時だよね?いや、それらを待っているばかりでは埒が明かないので、とにもかくにも、手洗い、マスク、人が密集する場所は避ける。で、テレワーク、時差出勤、できることはどんどんやろう!結果、我々の社会は、よりスマートなものに脱却できるんじゃない?そう、ピンチをチャンスに!ウィルスにやられっぱなしじゃつまらない。そして、カーニヴァルは家の中で!楽しい音楽を聴いて、免疫力を上げるよ!ということで、カーニヴァルのドタバタを歌う、バンキエーリのマドリガル・コメディ!
リナルド・アレッサンドリーニ率いるコンチェルト・イタリアーノの歌で、バンキエーリの『肥沃な木曜日の晩餐前夕べの小宴』と、ストリッジョの『狩』、『洗濯女の井戸端会議』(Opus111/OPS 30137)も一緒に... 大いに笑って、ウィルスに対抗したる!

続きを読む...


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

"EXPLORING TIME WITH MY PIANO"、バロックをピアノで探検。 [2014]

Alpha606.jpg
さて、2020年は、ポーランド出身(とはなっているものの、生まれはリトアニアというね、東欧の歴史の複雑さ... )で、やがてアメリカに渡り活躍するピアノのヴィルトゥオーゾ、ゴドフスキー(1870-1938)の生誕150年のメモリアル!インドネシア、ジャワ島を旅して生み出されたジャワ組曲(1925)、その究極的な超絶技巧が、一昔前(?)、マニアックな界隈で話題となったこともありましたが、普段、なかなか注目されることの少ないコンポーザー・ピアニスト... ショパンに、オペラに、ウィンナー・ワルツなどなど、多くのトランスクリプションを残し、やはりその超絶技巧で以って驚かせてくれるのだけれど、一方で、その超絶技巧から生み出される繊細さを持った響きに触れると、ゴドフスキーのピアノに対する鋭敏な感性が感じられ、魅了されずにいられない。それは、美しい響きへの強いこだわりに裏打ちされたもの... いや、ゴドフスキーのピアノは美しい!超絶技巧にして、そこに留まらない、その美しさ、このメモリアルで注目されたらなと、隠れゴドフスキー・ファンは願います。
そんなゴドフスキーによるトランスクリプションも含めての、ピアノから見つめるバロック... セルゲイ・カスパロフが、ピアノで弾く、ルイエ、ラモー、ドメニコ・スカルラッティ、バッハ、"EXPLORING TIME WITH MY PIANO"(Alpha/Alpha 606)を聴く。

続きを読む...


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

ドビュッシー・ミーツ・ショパン。 [2013]

HMC902164.jpg
突然ですが、マリアージュ... フランス語で、結婚、のことだけれど、仏和辞典を開けば、組み合わせ、という意味も記載されています。だから、料理とワインの絶妙なマッチングとか、マリアージュ、と言ったりしますよね。いや、組み合わせ、なのだから、もっといろいろな場面で用いられるのか?ということで、クラシックではどうかなと思いまして... 思い掛けない組み合わせ、マリアージュが、新しいイメージを引き出す。より魅惑的に感じられる。なんてこと、あるんじゃないかなと... いや、クラシックは、もっと、そういう意識というか、遊び?みたいなものがあっても良いように思うのだよね... 前回、聴いた、トランスクリプションも、ある意味、作曲家とヴィルトゥオーゾの、マリアージュだった気がするし... そうあって輝き出すものがあったし、見えて来るものもあった!
ということで、マリアージュ... ハビエル・ペリアネスが弾く、ドビュッシーがショパンに出会うアルバム、"... les sons et les parfums"(harmonia mundi/HMC 902164)。ショパン、ドビュッシーの聴き馴染んだ作品に、新たな感覚をもたらす1枚。

続きを読む...


nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

リスト、ノルマの回想。 [2009]

502905.jpg
何だか、世の中そのものが肺炎になってしまったような、そんな息苦しさを感じてしまう今日この頃... ニュースに登場する専門家たちの見解は、それぞれに違うようで、話しを聞けば聞くほど、現在の状況がクリアに見えて来ない(裏を返せば、"新型"に対して、みんな、憶測で語っているのだろう... )。だから、不安ばかりが掻き立てられる。そんな不安に煽られて、噂は蔓延し、疑心暗鬼に覆われる。それをチャンスとばかりに、煽り、炎上させるメディア、ネット... そして、まあ見事な足の引っ張り合いを始めた政治家たち... 我々が欲しているのは、説明と対処!新型コロナ・ウィルスは、まるで、社会そのものにも感染するかのよう。そして、現代社会の脆弱さを思い知らされる。なんて言っていると、免疫力が下がりそうなので、何か、キラキラとした音楽を聴いて、気分を上げる!陽気も春めいて来たし(温暖化の時代の春の訪れは、早い!てか、これも、問題... )、ふわふわふわっと、あえて、花々しいサウンドを!いや、暗くなってばかりでは、新型コロナ・ウィルスに負けそうなので...
その選曲にお洒落を感じさせるピアニスト、ヨーゼフ・モークの、音楽史を飾ったヴィルトゥオーゾたち、リスト、フリードマン、ゴドフスキー、ブゾーニ、モシュコフスキによるトランスクリプション集、"metamorphose(n)"(claves/50-2905)で、気分を変えるよ。

続きを読む...


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。