SSブログ

ジェズアルド、聖週間の聖務日課のためのレスポンソリウム集。 [2013]

LPH010.jpg
さて、四旬節に入りました。音楽史の中をフラフラ、フラフラしております当blog... すると、ちょくちょく出くわすのが、この"四旬節"というワード。キリストの復活を祝う復活祭(今年は、4月12日の日曜日!)の前、灰の水曜日(今年は、先日、26日の水曜日... )に始まる、キリストの受難へ思いを寄せる46日間... 肉を絶ち(だから、その前に謝肉祭があるわけよ... )、静かに祈りを捧げるのが、四旬節。となると、オペラなどはもってのほか!けど、聖譚劇=オラトリオならOK。何より、静かに祈るための音楽がいろいろ作曲され、音楽にも大きな影響を与えた四旬節。そんなこんなで、キリスト教徒ではございませんが、いつの間にやら馴染み深くなってしまった?いや、四旬節に、教会音楽を聴くというのもまた、乙?交響曲だ、オペラだと、華やかな音楽を聴くばかりでなく、静かな祈りの音楽を聴く期間があっても良いのかも... そして、何より、今こそ、祈りの音楽かなと...
ということで、四旬節の山場、聖週間のための音楽... フィリップ・ヘレヴェッヘ率いる、コレギウム・ヴォカーレの歌で、ジェズアルドの聖週間の聖務日課のためのレスポンソリウム集(PHI/LPH 010)。肺炎平癒とウィルス退散の祈りを籠めて聴いてみる。

続きを読む...


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

ドビュッシー・ミーツ・ショパン。 [2013]

HMC902164.jpg
突然ですが、マリアージュ... フランス語で、結婚、のことだけれど、仏和辞典を開けば、組み合わせ、という意味も記載されています。だから、料理とワインの絶妙なマッチングとか、マリアージュ、と言ったりしますよね。いや、組み合わせ、なのだから、もっといろいろな場面で用いられるのか?ということで、クラシックではどうかなと思いまして... 思い掛けない組み合わせ、マリアージュが、新しいイメージを引き出す。より魅惑的に感じられる。なんてこと、あるんじゃないかなと... いや、クラシックは、もっと、そういう意識というか、遊び?みたいなものがあっても良いように思うのだよね... 前回、聴いた、トランスクリプションも、ある意味、作曲家とヴィルトゥオーゾの、マリアージュだった気がするし... そうあって輝き出すものがあったし、見えて来るものもあった!
ということで、マリアージュ... ハビエル・ペリアネスが弾く、ドビュッシーがショパンに出会うアルバム、"... les sons et les parfums"(harmonia mundi/HMC 902164)。ショパン、ドビュッシーの聴き馴染んだ作品に、新たな感覚をもたらす1枚。

続きを読む...


nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

ショスタコーヴィチ、7番の交響曲、レニングラード。 [2013]

8573057.jpg
オペラの序曲、シンフォニアが独り立ちして、歩み出した、交響曲の歴史。18世紀、教会交響曲が登場し、協奏交響曲がブームとなって、さらに、「自然に帰れ」の波に乗り、田園交響曲まで誕生。19世紀になると、ロマン主義に刺激され、より自由な交響詩を派生させる。絶対音楽たる交響曲ではあるけれど、その歴史を振り返れば、それぞれの時代を反映したヴァイリエイションが存在していて、なかなか興味深い。で、20世紀は?戦争交響曲... それは、2つの世界大戦のあった世紀を象徴する音楽だったと言えるのかも... もちろん、「戦争交響曲」に、明確な定義はない。けれど、近代戦の衝撃を目の当たりにし、生み出された交響曲には、独特な存在感がある。第一次大戦(1914-18)により国家存亡の危機を経験したデンマークのニールセンによる4番、「滅ぼし得ざるもの」(1914-16)と、5番(1921-22)や、第一次大戦下、ロシア革命(1917)により独立を果たすも、内戦(1918)に突入し、苦難を味わったフィンランドのシベリウスによる5番(1915/21)にも、戦争交響曲的な性格を見出せる気がする。が、20世紀、戦争交響曲と言えば、やっぱりショスタコーヴィチ...
ということで、第二次大戦、レニングラード包囲戦の最中、作曲された戦争交響曲。ヴァシリー・ペトレンコ率いる、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、ショスタコーヴィチの7番の交響曲、「レニングラード」(NAXOS/8.573057)を聴く。

続きを読む...


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

エストニア、ルーン歌謡と民謡聖歌。 [2013]

HMU907488.jpg
冬はピアノ... に、続いて、冬っぽさを求めて、北欧の音楽なんか聴いてみようかなと... で、バルト三国、エストニアに注目!さて、エストニアと言いますと、N響のシェフ、パーヴォの出身国でありまして、つまり、ヤルヴィ家の故国でありまして、そのヤルヴィ家とも親交のある、癒し系の先駆者、ペルトを生んだ国。いやいやいや、それだけじゃない、クレークに、トゥビンに、トルミスに、トゥール、何気に、音楽大国... そんなエストニアの音楽の真骨頂は何かと言いますと、ズバリ、歌!何と、現在のエストニア共和国は、"歌う革命"(ソヴィエトからの独立運動、人々は、デモで歌ってソヴィエトに対抗した!ことからそう呼ばれる... )によって成立しておりまして... というくらいに、歌うことは、エストニアの人々にとって、欠かせないもの。それを象徴するのが、5年に一度、首都、タリンで開かれる、全国歌謡祭(1869年に始まり、紆余曲折ありながらも、昨年、第27回を開催!2003年には、ユネスコの無形文化遺産にも登録... )。国中から集まった様々な合唱団が、民族衣装を着て、練り歩き、歌い、最後はひとつとなって、愛国歌を歌うという民族の祭典。で、その規模、30万人(エストニアの人口が130万人というから... 凄い... )!いや、歌うエストニア、恐るべし... そんなエストニアの、歌のルーツを探る。
エストニアの作曲家、マルゴ・コラルが率いる、エストニアのヴォーカル・アンサンブル、ヘイナヴァンケルが、エストニアの人々が太古の形式を受け継ぐルーン歌謡と、民謡をベースとしたエストニアの聖歌に、そうしたエストニアの歴史と伝統に根差したコラル自身による作品を歌うアルバム、"song of olden times"(harmonia mundi/HMU 907488)を聴く。

続きを読む...


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

シャリーノ、ピアノ作品集。 [2013]

NEOS11124.jpg
大寒、です。改めて、その字面を見つめると、インパクトある!で、この間の土曜日、雪、降りました、関東平野... ほんの少しだけれど、それでも、雪が降る情景に、スペシャル感、感じずはいられないのは、雪降らない圏の住人の性。冬、大いに寒いのはイヤだけれど、冬らしい情景を目の当たりすると、人知れずテンション上がってしまう。もちろん、積もったりすると、目も当てられない状況に陥るのが、雪降らない圏の脆弱さでありまして、テンションなど上げてる場合じゃないのだけれど、それでも、真っ白な冬、降り積もった雪に、世間の音が雪に吸収されて生まれる静寂は、ファンタジー!またそんなファンタジーに包まれたい... とは言え、温暖化が進めば、それは伝説になってしまうのだろう。大いに寒いのは苦手だけれど、ファンタジーが消えうせてしまうのは、やっぱり寂しい。さて、冬はピアノ... ファンタジーではない、クリアな冬の空気感の中、ピアノのクリアな響きを味わおうという今月、再び、"ゲンダイオンガク"の研ぎ澄まされたピアノに触れてみようかなと...
アメリカの戦後「前衛」世代、フェルドマンの抽象に続いて、イタリアの"ゲンダイオンガク"のアウト・ロー、シャリーノ(b.1947)による不思議な音楽世界。フロリアン・ヘルシャーのピアノで、シャリーノのピアノ作品集(NEOS/NEOS 11124)を聴く。

続きを読む...


タグ:ピアノ 現代
nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

フェルドマン、初期ピアノ作品集。 [2013]

WER67472.jpg
スキー場の雪不足のニュースに、温暖化の影響をひしひしと感じる今日この頃ではありますが、陽が落ちれば、やっぱり、寒い。夜、足元からの冷え込みをジーンと感じれば、やっぱり冬だなと... という中、ピアノをフューチャーしております。冬はピアノ... そのクリアな響きを、冬の空気感と重ね合わせて、この冬に、集中的にピアノを聴く。で、前回、ピリオドのピアノで、淡々と、シューベルトのピアノ・ソナタを聴いたのだけれど、今回は、さらなる気温の低下を招く?現代音楽のピアノ。いわゆる"ゲンダイオンガク"の抽象を、ピアノというマシーンで奏でると、より研ぎ澄まされた世界が広がるようで、それは、どこか、冬の景色に似ているのかなと... いや、振り返ってみると、ここのところ、イカニモな"ゲンダイオンガク"(戦後「前衛」的な... )を聴いていない気がして... 避けているわけではないのだけれど、広過ぎて、浅過ぎる、当blogの関心の散漫さゆえに、ディープな"ゲンダイオンガク"に、なかなか迫れない?ならばと、聴きます。冬はピアノ... で、戦後「前衛」。
アメリカの戦後世代を代表する作曲家のひとり、フェルドマンの、静かに研ぎ澄まされたピアノによる抽象... 現代音楽のスペシャリスト、ドイツのサビーネ・リープナーによる、フェルドマンの初期ピアノ作品集、2枚組(WERGO/WER 6747 2)を聴く。

続きを読む...


nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

"spaces & spheres"、直観の音楽。 [2013]

WER67642.jpg
フリー・ジャズって、"ゲンダイオンガク"みたいな印象を受けるのだけれど、それっておもしろいなと思う。ジャズたらしめて来た型枠からフリーになると、"ゲンダイオンガク"っぽく響くというね... そもそも、現代音楽が、難解な"ゲンダイオンガク"の様相(もちろん、一概には言えない... )を呈するのは、音楽史が積み上げて来たロジックをひっくり返したり、何したり、より高度に複雑怪奇になったがためであって、つまり、フリーの対極にあるわけで... それが、フリーとなったジャズに似ているとは、一周回って、極めて近い場所に音楽が成立しているということか?改めて、フリー・ジャズと現代音楽を並べてみれば、ロジックを極めることと、フリーであることの表裏一体感が、もの凄く刺激的に感じられる。それでいて、その表裏一体に、音楽の本質が窺えるようで、感慨すら覚えてしまう。だったら、この際、フリー現代音楽をやってみたら、どうなるだろう?ロジックを介さず、フリーに、インプロヴィゼーションで、現代音楽というフィールドで、新たな音楽を創出する。てか、ロジックを手放した現代音楽は、もはやフリー・ジャズか?いや、もはや何物でもないのかもしれない... そう、現代音楽の、その先にあるサウンドは、突き抜けたニュートラル。そんなアルバムを聴いて、お正月気分を浄化してみようかなと...
マルクス・シュトックハウゼン(トランペット/フリューゲル・ホルン)、タラ・ボウマン(クラリネット)、ステファノ・スコダニッビオ(コントラバス)、ファブリツィオ・オッタヴィウッチ(ピアノ)、マーク・ナウシーフ(パーカッション)によるインプロヴィゼーションを、ワルター・クインタスが編集したアルバム、"spaces & spheres intuitive music"(WERGO/WER 67642)を聴く。

続きを読む...


タグ:室内楽 現代
nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

ベートーヴェン、ミサ・ソレムニス。 [2013]

LPH007.jpg
2020年は、ベートーヴェン・イヤー!ということで、"新発見"とか、"世界初録音"とか、今からいろいろ期待してしまうのだけれど... そうした矢先、昨年末、ベートーヴェンが、10番目の交響曲として構想し残したスケッチを基に、AIによって"第10番"を作曲する、というニュースがありました(完成は、春の予定... )。いや、ひばりさんに負けられない... てか、合唱付きを越えてゆく交響曲(否が応でもハードルは上がる!)として、どんな音楽に仕上がるのか、興味津々。聴力がどんどん失われて行く晩年の楽聖は、誰も辿り着けないような、独特な音世界の中に在ったわけで、最後の3つのピアノ・ソナタなどを聴けば、その突き抜けた音楽の在り様に、どこか作曲という行為さえ越えてしまったような印象すら受ける(なればこその"楽聖"なのだと思う... )。AIは、この独特さをどう学習するのだろう?18世紀、ウィーン古典派の伝統を、しっかりと受け継いでいるベートーヴェンの音楽(初期)。ここまでならば、学習は容易。18世紀から19世紀への激動の時代(フランス革命からのナポレオン戦争からの保守反動... )をサヴァイヴし、ロマン主義的な方向性に個性を見出したベートーヴェン(中期)。これもまた、学習するのは、そう難しいものではないと思う。が、ロマン主義そのものへと向かうことはなかった晩年(後期)... 外からの音と断ち切られて至った境地は、学習して辿り着けるだろうか?いや、理論や様式を越えた地平を、AIが見つけることができたならば、楽聖、ベートーヴェンの真髄が、詳らかになるのかもしれない。
ということで、これもまた真髄、と思う作品... フィリップ・ヘレヴェッヘ率いるシャンゼリゼ管弦楽団の演奏、コレギウム・ヴォカーレの合唱、マーリス・ペーターゼン(ソプラノ)、ゲルヒルト・ロンベルガー(メッゾ・ソプラノ)、ベンジャミン・ヒューレット(テノール)、デイヴィッド・ウィルソン・ジョンソン(バリトン)のソロで、ベートーヴェンのミサ・ソレムニス(PHI/LPH 007)を聴く。

続きを読む...


nice!(3)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

クリスマスに聴くドイツ・バロックの素朴、ハスラーの微笑ましさ。 [2013]

83396.jpg
さて、クリスマス・イヴです。でもって、日本のクラシックにとっては、やっぱり、第九の季節... いや、毎年、思うのだけれど、「第九の季節」って、なかなか感慨深いものがあります(すでに季語だよね... 日本の文化に融け込んでいる... )。が、クラシック的に、あまりに"クリスマス"がスルーされてしまうのはもったいない気がする。何しろ、西洋音楽の発展には、教会の存在が欠かせなかったわけで... その教会にとっての最大のお祭りのひとつ、イエス様のお誕生日を祝う"クリスマス"は、教会音楽にとっても、力が入いるわけで... グレゴリオ聖歌の整備以来、長い教会音楽の歩みの中には、多くのクリスマスのための作品、つまり、いつもよりスペシャルな、クリスマスのための音楽が作曲されて来たわけです。バッハのクリスマス・オラトリオ、ヘンデルのオラトリオ『メサイア』だけじゃありません。そうしたあたり、もうちょい取り上げられたならいいのになァ。
ということで、ルネサンス末、ドイツのクリスマスの音楽... ヴォーカル・クァルテット、ペニャローサ・アンサンブルが歌う、バッハ、ヘンデルの源流、ハスラーによる、待降節とクリスマスのための作品集、"In Dulci Jubilo"(Carus/83.396)を聴く。

続きを読む...


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

年の瀬に聴く『展覧会の絵』、アリス・沙良・オット、大器! [2013]

4790088.jpg
何となしに、いつもの年より、いろいろ思うことが多いような今年の年の瀬... それだけ、いろいろなことがあった2019年ということなのだろう。そんな2019年を振り返って、頭に浮かぶのは、「分断」の二文字。世界で、日本で、あらゆる場所で、「分断」が強調される一年だったなと... ニュースには、日々、分断された向こう側を罵る人々が登場し、そんな場面を繰り返し流されれば、不安ばかりが募る一年でもあったなと... また、そうした不安をエネルギーに、「分断」は、ますます勢い付いて... しかし、少し冷静になって、少し距離を取って、分断のあちら側とそちら側を見つめてみると、何だか滑稽にも思えて来る一年でもあった。分断の右側を見れば、何だか呑んだくれのオヤジのように見えるし、左側を見れば、過保護のママみたいだし... ママが過保護だから、オヤジはますます呑んだくれて、オヤジが呑んだくれて、ワケがわからなくなるから、ママはヒステリーを起こし... 見事な悪循環!一方で、そこには、ある種のコミュニケーションが成立していたようにも思う。てか、20世紀の昭和の典型的なバッドな家庭の風景のよう?で、21世紀のリアルに生きる、オヤジとママのこどもたち、私たちは、そんな両親が、はっきり言って、うざい... 呑まずに現実を見ろ!ヒステリー起こす前に現実に対処しろ!サイレント・マジョリティーたるこどもたちの本音は、そういうものではないだろうか?今、本当にある「分断」は、親子間のもの。つまり、20世紀的な志向と、21世紀に生まれつつある指向の対立。かなと... 過渡期なればこその対立なのだよね、これも歴史に回収されれば、興味深い。となるのだろうけれど、まだ先だァ。は、さて置き、音楽。
前回、ダ・ヴィンチの名作を音楽で構成する大胆な企画を聴いたので、本家、『展覧会の絵』、どうかなと... いや、年末感ない?この組曲... ということで、アリス・沙良・オットが弾く、ムソルグスキーの『展覧会の絵』と、シューベルトの17番のピアノ・ソナタによるライヴ盤(Deutsche Grammophon/4790088)。を、聴きながら、2019年を振り返る年の瀬。みたいな...

続きを読む...


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。