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おお、フォルトゥナ!区切りの時... [2012]

桜が咲いております。何だか、そういう季節です。
ということは、区切りの季節... 卒業に、入学に、って、そういうセレブレイションは、随分と遠い昔になってしまったものの、年度が改まり、終わりにして始まりの、何か、こう、落ち着かない心地は、未だに苦手だったり... 区切りを付けるというのは、結構、パワーがいるように感じる。でもって、当blogも一区切り。メルクルが率いたリヨン国立管による、ドビュッシーのシリーズ、vol.7(NAXOS/8.572675)に始まって、古楽から現代まで、ピリオドもモダンも、まるでごった煮のように節操無く聴いて来たわけだが、今回を以って「2012」を閉じる。
で、その最後は、エサ・ペッカ・サロネンの指揮、ロサンジェルス・フィルハーモニックの演奏による、ショスタコーヴィチの幻のオペラ、『オランゴ』と、4番の交響曲(Deutsche Grammophon/479 0249)。クリスティアン・ヤルヴィ率いる、MDR交響楽団と、MDR放送合唱団らによる、オルフの『カルミナ・ブラーナ』(SONY CLASSICAL/88725446212)の、2タイトルを聴く。

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古典派からロマン主義へ、華麗に踏み出される一歩、フンメル! [2012]

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激動の時代というのは、音楽もテンションが高かったりする?
アントニーニのベートーヴェンの交響曲を聴いて、ふとそんなことを考える(もちろん、アントニーニ自身のテンションも考慮しなくてはならないのだけれど... )。ちょうどベートーヴェンが活躍した頃、フランス革命がカオスに陥り、輝かしき共和制の果てに、ベートーヴェンを幻滅させた帝政が出現。その皇帝によって、ヨーロッパ中が戦争に引き摺り込まれ... そんな、古典派からロマン主義へとうつろう頃、激動の時代の空気感の中、生まれた音楽は、何か、テンションが高いように感じる。音楽もまた、時代の壁を乗り越えるには、テンションが必要だったか... 「過渡期」という言葉には、それが不安定な状態であるがゆえに、弱さのようなものをイメージさせるのだけれど、改めて見つめてみると、新たな時代を手繰り寄せようという力強さに溢れているのかもしれない。
ということで、古典派からロマン主義へとギアを入れた作曲家、ピアニストとしてベートーヴェンと人気を二分したフンメル!アレッサンドロ・コンメラートの弾くピリオドのピアノで、BRILLIANT CLASSICSのフンメル担当、ディディエ・タルパンの指揮、スロヴァキアのピリオド・オーケストラ、ソラメンテ・ナトゥラーリの演奏による、フンメルのピアノ協奏曲集(BRILLIANT CLASSICS/BRL 94338)を聴く。

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呼び覚ます、グレゴリオ聖歌以前... モサラベ聖歌... [2012]

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始まりを辿れば、際限は無いのかもしれない...
ビッグバンは宇宙の始まりだけれど、何がビッグバンを引き起こしたのか?これほどの「始まり」は他に無いものの、その始まりすら、まだ遡れる余地がある。となれば、クラシックの始まり、西洋音楽の"源"としてのグレゴリオ聖歌などは、通過点に過ぎないのかもしれない。かつて、グレゴリオ・パニアグアは、大胆に遡って、古代ギリシアの音楽を再現し、古楽の世界に伝説を残したけれど、西洋文明の揺籃の地、古代ギリシアの音楽とグレゴリオ聖歌も、どこかでつながるのか?古ローマ聖歌の、あのオーガニックな感覚は、間違いなく地中海文化圏に育まれたものであろうから、古代ギリシアも、その要素のひとつとなっているかもしれない。が、グレゴリオ聖歌の直前すら未だはっきりとはわからない。記譜が確立される以前の音楽の難しさ。解決できるのは、タイム・マシーンの開発を待たなくてはいけないのだろう... しかし、どんなだったろう?イマジネーションを掻き立てられる!
そして、古楽界切ってのイマジネーションを持つ?パニアグア家から、弟、エドゥアルド率いる、スペインの古楽アンサンブル、ムジカ・アンティグアによる"CANTO VISIGÓTICO-MOZÁRABE"(PNEUMA/PN-1270)。中世前半のイベリア半島において、グレゴリオ聖歌よりも古い歴史を誇り、またイスラム支配下でも歌い継がれた、モサラベ聖歌にスポットを当てるアルバムを聴く。

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オーガニック・ルネサンス・ポリフォニーな癒しの奇跡! [2012]

何となく、気になって読み始めた本、『叱り叱られ』...
えーっと、クラシックからは離れるのだけれど。サンボマスターのヴォーカル、山口隆氏と、日本の"ロックンロール"を切り拓いて来たマエストロたちの対談集。けして詳しいわけでも、よく聴いているジャンルでもない。それでも気になって読み始めたのは何でだろう?そうして惹き込まれてしまったのは何だろう?クラシック、ロック、ジャズ、ポップス、そういう枠組みは関係なく、音楽そのものにストイックに向き合って、いや格闘してと言うべきか、音楽の魔法を探りつつ、音楽の時代や社会とのつながりを考える、山口君の真摯な姿勢(同世代として、同じ空気感の中、呼吸して来た者として、ただならずシンパシーを感じてしまうのだよね... )。何より、音楽への愛に充ち満ちていて。あー、クラシックは、これができるだろうか?と、考えさせられてしまう。考えさせられつつ、やっぱ音楽は凄いし、凄いということを再確認できたことがすばらしい!そんな、音楽賛歌な一冊に、元気をもらう。というのも、音楽に対して、元気に向き合えていない自分がいるからか。こんな時こそ、音楽と格闘すべきなのかも。
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さて、クラシックに話しを戻しまして、ルネサンス期の音楽を聴くのだけれど、ここでは、ただならず癒された。とはいえ、美しくアンビエントなルネサンス・ポリフォニーに癒されたのではなく、生命感に充ち溢れ、不器用にも力強くルネサンス・ポリフォニーを織り上げてゆく、人間臭いアンサンブルに癒された... そんな力強い一枚、古楽界切っての鬼才、マルセル・ペレス率いる、アンサンブル・オルガヌムによる、ディヴィティスとフェヴァンによるレクイエム(æon/AECD 1216)を聴く。

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これこそが本物の印象主義なのかもしれない... ケクラン... [2012]

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フォーレ、ロパルツと聴いての、ケクラン...
フランス、19世紀末から20世紀初頭に掛けての頃、ロマンティックなあたりから、モダンへと踏み込んでみるのだけれど。ロマン主義のサウンドをしっかりと味わってから聴くケクランは、そのあまりの瑞々しさにびっくりしてしまう。フォーレ、ロパルツが描き出す世界が、豪勢な額縁に収まったアカデミックな油彩ならば、ケクランの描き出す世界は、たっぷりと水を含んで、さらりと描き上げられた水彩だろうな... 絵画の世界も、印象派が契機となって、大きく飛躍した時代、音楽もまた、多様な表現を生み、『春の祭典』の初演を迎えることになるわけだけれど。改めて見つめると、この時代のフランスの芸術の、ビッグ・バンのような進化と拡大は、何だったのだろう?そのパワーがどこから来たのか、とても気になる。のは、今の芸術にパワー不足を感じるからか?
という現代の悩みはさて置き... フランスの金管アンサンブル、アンサンブル・イニシウムと、ちょっと個性的な編成で、個性的なレパートリーを持つ、フランスの個性派アンサンブル、アンサンブル・コントラストによる、ケクランのアンサンブル作品集(timpani/1C1193)を聴く。

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20世紀、際立つフォーレ、2つのピアノ五重奏曲... [2012]

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ル・サージュのフォーレのシリーズに、エベーヌ!
と、ちょっとテンション上がってしまったアルバム。今、何気に、最も関心のある弦楽四重奏団かもしれない、エベーヌ四重奏団... その若さで、フレッシュなサウンドを響かせつつ、クラシカルな気分というのも、見事に漂わせる。で、漂わせ過ぎず... の、絶妙なるバランス感覚!彼らの確かな技術はもちろんのこと、豊かな音楽性にただならず魅了されるばかり。で、驚くべきは、歌まで歌うこと!映画音楽に挑んだ"FICTION"(Virgin CLASSICS/6286680)でのパフォーマンスには、びっくり!!!特に、ヴィオラのエルツォグが歌った、スプリングスティーンの"Streets of Philadelphia"(トム・ハンクス主演の『フィラデルフィア』からの... そして、アカデミー主題歌賞受賞楽曲... )は、もう... 本業は何?!ってくらいなもので... しかし、今、改めて振り返ってみると、彼らの、歌える... というあたりが、その音楽性をより高い次元へと持って行っているように感じる。あるいは、「歌う」、ということの重要さを、改めて考えさせられたりもする。のだけれど、そのあたりはともかく...
Virgin CLASSICS、注目のクァルテット、エベーヌ四重奏団が、レーベルの枠を越えて、今やAlphaで大活躍のピアニスト、エリック・ル・サージュと共演した、フォーレの2つのピアノ五重奏曲(Alpha/Alpha 602)を聴く。しかし、ル・サージュのフォーレのシリーズ、豪華!

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それで、序曲の後はどうなる?売られた花嫁。 [2012]

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『メドンテ』『棄てられたアルミーダ』『パリーデとエレナ』
ひどくマニアックなオペラが続いております。が、ダメ押し的に、もうひとつマニアックなオペラを聴いてしまう!序曲は有名、舞曲も序曲とセットで取り上げられること、多々あり... けれど、本編を聴くことはほとんどない、スメタナのオペラ『売られた花嫁』。で、どんなオペラ?と、ずっと気になっていたのだけれど、とうとう聴いた!何でも、30年ぶりの新録音だとか... えっ?!そんなにも?と、なるのだけれど、チェコ語のオペラのマニアックさ... その壁は、思いの外、厚かったか... しかし、とうとう乗り越えられたその壁。新録音への期待は高まる!
ということで、チェコを代表するマエストロのひとり、イエジ・ビエロフラーヴェクと、彼が率いるBBC交響楽団の演奏で、生粋のチェコの歌手たちが歌い上げる、チェコ・オペラの名作、スメタナのオペラ『売られた花嫁』(harmonia mundi/HMC 902119)を聴く。

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ミスリヴェチェク、神々しきオペラ・セリア職人! [2012]

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とにかく、クラシックというのは、その隅々までを知ろうとすれば、際限は無い...
「ミスリヴェチェク」という名前を知ったのは、コジェナーのアリア集(Deutsche Grammophon/471 334-2)だったと思う。モーツァルトとグルックのアリアとともに、その同時代のチェコの作曲家、ミスリヴェチェクを取り上げるアルバムは、チェコを代表する歌手なればこそ... と、漠然と思っていた。その後、クリストフ・シュペリング+ダス・ノイエ・オーケスターが、ミスリヴェチェクの『イエス・キリストの受難』(CAPRICCIO/71025)を取り上げて... 彼らならではと言うのか、彼らしかあり得ない、極まるマニアックに、ただただ脱帽。すると、コンチェルト・ケルンによるミスリヴェチェクのシンフォニア集、"il divino boemo"(ARCHIV/477 6418)がリリース。メジャー・レーベルにも登場した「ミスリヴェチェク」という存在に、にわかに興味を持ち始める。で、ちらりと調べてみれば、18世紀後半のヨーロッパで、大成功したオペラ作曲家だったことを知る。下手をすると、モーツァルトなどよりずっとその名は知れ渡っていたようで... また、モーツァルトがリスペクトする存在でもあったらしく、ますます興味深く感じたのだけれど、そのオペラを聴くにはなかなか至らなかった。が、とうとうその機会がやって来た!
コンチェルト・ケルンで、そのシンフォニアを取り上げたヴェルナー・エールハルトが、彼が率いるラルテ・デル・モンドの演奏、ピリオドの世界で活躍する手堅いキャスティンで挑む、ミスリヴェチェクのオペラ『メドンテ』(deutsche harmonia mundi/88697861242)を聴く。

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花咲けるバロック、ドレスデン! [2012]

バロック期、ドレスデンの音楽シーンが凄かった!
少し前に、そのあたりについて、さらりと本を読んだのだけれど、その贅を極めたゴージャスさに、とにかく驚かされた。バロック期のビッグネームが次々に招かれ、教会音楽からオペラまで、ありとあらゆる音楽が絶え間なく供されていたという史実。バッハが足繁く通ったのも頷ける。ということで、そんなバロック期のドレスデンへ... ドレスデンのコンサート・マスター、ピゼンデルと、ドレスデンのプリマ、ボルドーニを巡って...
ピリオドで活躍するヴァイオリニスト、ヨハネス・プラムゾーラーと、彼が率いるピリオド・オーケストラ、インターナショナル・バロック・プレイヤーズの演奏による、ドレスデンのヴァイオリン協奏曲集、"PISENDEL"(RAUMKLANG/RK 3105)。Virgin CLASSICSで活躍して来たメッゾ・ソプラノのスター、ヴィヴィカ・ジュノーが、deutsche harmonia mundiへ移っての第1弾、アンドレス・ガベッタ率いる、ピリオド・オーケストラ、カペラ・ガベッタのサポートで歌う、"A TRIBUTE TO Faustina Bordoni"(deutsche harmonia mundi/88691944592)。ドレスデンを華やかに彩った音楽を聴く。

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熱の後で、無言歌集。 [2012]

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風邪と、インフルエンザの差って、何?
これまで漠然と思っていたのだけれど、インフルエンザになってみて、明確にわかった。風邪が雨ならば、インフルエンザは大型台風... そして、台風が去った後の惨状というか、かなりの消耗にぐったり来ている、今... 熱は、ほぼ下がっているのだけれど、ただ、ぼーっとするのが精一杯のままならなさ。そうした中で聴く音楽。熱に浮かされて聴いたレーガーからは一転、熱が引いた後で、静かにピアノを聴いてみる。
今や、古典派の大家... ハイドン、モーツァルト、そしてベートーヴェンと、フォルテピアノで徹底した全集を作り上げているピリオド界の異才、ロナルド・ブラウティハムが、時代を少し下って、ロマン主義へと踏み込む?1830年製、プレイエルのピアノ(レプリカ)で弾く、メンデルスゾーンの無言歌集。その第1巻から第4巻までを収めた1枚(BIS/BIS-1982)を聴く。

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