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さようなら、2018年。 [overview]

2018年が、もうすぐ終わります。それにしても、凄い一年です。オリンピックなど、輝かしい瞬間が訪れる一方で、自然が猛威を振るう!隠されていたドス黒いものが次々に明るみとなる!あっちで、こっちで、エゴがぶつかり合うだけの不毛!良くも悪くも沸き返った一年でありました。いや、そんな一年にまともに向き合っていたら、疲弊してしまう。まさに、混沌の一年... ということで、前回、カオスが逆巻くベリオのシンフォニアを、"今年の音楽"に選んでみたのだけれど、ふと思う。昨年は何を選んだっけ?で、振り返ってみたら、『サロメ』でした。一昨年は?『ル・グラン・マカーブル』。ふぅ~ 自分で選んでおいて何ですが、この3年、本当に酷かったのだなと、つくづく思わされるチョイス。『ル・グラン・マカーブル』は、トンデモ終末論で、『サロメ』は、エゴに溺れての頽廃... からの、カオスが逆巻くわけです。我々は、今、そういう時代を生きているのだなと... いや、2019年は、明るい年であって欲しい!改元もあるし、何か、真新しい音楽を、"今年の音楽"として、選びたい!
という、先の話しはひとまず置きまして、2018年、最後のupは、今年一年の音のタイル張り舗道。を、ざっと振り返ります(えーっと、当blog的にも、酷い一年でありまして... スランプ?だったのか、文章が書けない。考えが深まらない。下手をすると、音楽すら耳に入って来ないという状況に陥り、いろいろ穴開いてます。年号が改まるまでには、穴埋められたいいな... )。

2018年、ざっと振り返って、まず印象に残るのは、メモリアル!誰もが知る作曲家から、マニアックな作曲家まで、本当にたくさんのメモリアルを迎えた作曲家を取り上げたなと... てか、例年にないくらいで、もうメモリアルに追われる一年だった?いやいや、メモリアル尽くしで、お祭りみたいで、楽しかった!生誕350年のクープラン、生誕200年のグノー、没後150年のロッシーニ、没後100年のドビュッシーと、ビッグ・ネームたちがいて... 没後400年のカッチーニ、没後250年のポルポラなど、音楽史に欠かせない人たちがいて... さらに目を凝らせば、没後250年のヴェラチーニネブラ、没後200年のガッツァニーガコジェルフ、没後100年のボーイトリリ・ブーランジェ、生誕100年のツィンマーマンバーンスタイン、没後50年のピツェッティカステルヌウォーヴォ・テデスコリャトシンスキーと、ヴァラエティに富む作曲家たちに注目できたことは、大いなる収穫!例えば、20世紀、ソヴィエトで活躍したリャトシンスキーや、18世紀、ヨーロッパ中で人気を博したガッツァニーガを知ることで、ショスタコーヴィチが生きた時代、モーツァルトが生きた時代が、より立体的に見えて来るようで、おもしろかった。何だろう?マニアックな作曲家たちの音楽に触れると、よりその時代を感じられるのか... メモリアルがあったからこそ注目できた作曲家に、より興味深いものを感じ、そこから、ビッグ・ネームたちを、より深く見出すこともできるように感じた。ウーン、やっぱりメモリアルの意義は大きいなと、ひしひしと感じる2018年だった。

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2018年の音のタイル張り舗道。最もビックリした出来事!秋、藤枝守の『植物文様』(ALM RECORDS/ALCD 52)を取り上げて、何と、藤枝氏ご自身からリアクションをいただけたこと。いやー、こんなこと初めてだったから、焦った... で、嬉しかった。何より、取り上げて良かった!というのは、リアクションをいただけたばかりでなく、植物の歌(葉表面における電位変化とのこと... )を採譜するという、『植物文様』のシリーズの特異さが迫る、音楽の本質について、今一度、考えさせてくれること... それでいて、植物の歌の無垢な様に深く癒されて... そのやさしい響きに触れると、浄化されるようで、今、改めて、『植物文様』を聴けて、本当に良かった。
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もちろん、他にも印象深いタイトルはいろいろありまして... やはり、音楽とは何であるか?を、考えさせられる1枚だったかなと... クロノス・クァルテットが、言葉を用いたアメリカの実験音楽を取り上げる"HOWL, U.S.A." (NONESUCH/7559-79372-2)のインパクトが凄かった!音楽の凄いところは、ある時代、ある国の本質を、躊躇することなく、白日の下に晒してしまうこと... HOWL、叫ぶ、アメリカの音楽に、取り繕われたアメリカとは違う、生々しくもパワフルな姿を見せ付けられ、今改めて圧倒された。
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現代音楽から離れまして、ウラディーミル・ユロフスキ+ロンドン・フィルによるホルストの『惑星』(London Philharmonic Orchestra/LPO 0047)が衝撃的だった。いや、ユロフスキは、才能を持った次世代マエストロであることはしっかり認識していたのだけれど、お馴染みの音楽で聴くと、その突き抜けたセンス、統率力に、ただただ驚かされた... いや、『惑星』という名作を、まったく新しい作品として向き合えるほどの新鮮さを生み出していて、今さらながらに、こういう音楽だったのかと目から鱗。おもしろかった。
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もうひとつ、衝撃的だったのが、ヴィンテージのエラールのピアノで聴く、ドビュッシーのピアノ作品集(ARCANA/A 445)。スタニー・デイヴィッド・ラスリーが弾くドビュッシーの、あまりの瑞々しさに息を呑み、その澄んだ音楽観にただただ魅了され... 徹底してピリオドでありながら、ピリオド=時代を超越して、何か違う次元でまったく新しい音楽が響き出す感覚が凄かった。のだけれど、そんなドビュッシーを体験させてくれたスタニー・デイヴィッド・ラスリーという存在が謎めいていて... この人は、どういう人なの?

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2018年の音のタイル張り舗道。最も心に残る1枚は、ダウスゴーの指揮、デンマーク国立響による、ランゴーの『天体の音楽』(DACAPO/6.220535)。まず、20世紀の激動の中を、小国、デンマークで、楚々と生きたランゴーという存在に惹かれるものあり... そうしたところから生み出された、天体を響かせる音楽の壮大さのギャップに、切なくもなる。いや、宇宙というと、前述の『惑星』のイメージが強くあるのだけれど... ホルストが、どこか絵画的なロマンティシズムに彩られるのに対して、ランゴーは、ハッブル宇宙望遠鏡で覗いた圧倒的に鮮やかな、本物の宇宙を見せてくれる。そのスペイシーさは圧巻で、あらゆるシガラミを超越するかのよう...

てか、5タイトルだけじゃ語り尽くせない、2018年。生誕350年、クープランのメモリアルに改めて聴く、ルセによる名盤、クラヴサン曲集。没後250年、ロッシーニのメモリアルに聴く、ディドナート(メッゾ・ソプラノ)が歌う、ロッシーニ夫人、伝説のプリマ、コルブランをフィーチャーした "Colbran, the Muse"。生誕200年、グノーのメモリアル、なればこその再発見、プロセッダが弾く、 グノーのピアノ作品集。ガイヨー率いるフランスの名手たちによる、キレッキレのストラヴィンスキーの『兵士の物語』。グリーグの幻に終わったオペラ『オーラヴ・トリグヴァソン』。ダウスゴー+スウェーデン室内管による"Opening Doors"延長戦、メンデルスゾーンの『真夏の夜の夢』。まだ聴いたばかりだから、どうしても印象が強くなってしまうところもあるけれど、味わい深いことが新鮮だった、ハーゼルベックの第九に、ポンスのベリオ、シンフォニア。没後100年のボーイトの、初演150周年のオペラ『メフィストフェレ』でタイトルロールを歌ったフルラネット(バス)の強烈な存在感... どれも、これも、驚きがあり、魅惑的で、惹き付けられるものばかり!いや、こうして振り返ってみると、2018年は良い年だった。なんても思えて来る。やっぱり、音楽は、すばらしい。ということに尽きるのかも... 月並みだけどね。

しかし、話しは尽きない。ので、このあたりで、2018年を締めたいと思います。
そして、2019年が、本当に良い年になることを願いながら、

それでは、みなさん、良いお年を!




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