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明けました、2016年。 [selection]

明けました。おめでとうございます。
本年も、どうぞ、よろしくお願いします。さて、今年はどんな年になるのでしょうか。良い年になればいいのですが... クラシックでは、サティの生誕150年のメモリアルを迎えます。クラシックという枠組みを越えて、大いに盛り上がりそう!な一方で、クラシックとしては意外と盛り上がらない気もするサティ... オペラや交響曲といった、クラシックならではのフォーマットで作品を残していない分、扱い難い?真面目なクラシックからすると、どう向き合うべきか戸惑うようなところも... 改めて考えてみると、音楽史において極めて希有な存在でありながら、ちょっと不可解で、掴みかねるイメージもあるサティ。いや、だからこそ、生誕150年のメモリアルが掘り起こす、新たなサティ像はあるはず。そんなことを期待したい2016年。で、メモリアルはサティばかりではなく...
ということで、今年、メモリアルを迎える作曲家に注目。大看板、サティはもちろん、メモリアルを切っ掛けに、スポットが当たることを期待したいマニアックな存在まで、幅広く俯瞰しつつ、そこから、6タイトルをセレクション。そうして、2016年を始めたいと思います。

遡れば、スペイン・ルネサンスの巨匠、カベソン(1510-66)が、没後450年。ルネサンス末の鬼才、ジェズアルド(1566-1613)が、生誕450年。それから、ドイツの初期バロック、鍵盤楽器奏者として活躍したフローベルガー(1616-67)が、生誕400年を迎える。で、こうしたあたりが少しでもクローズ・アップされると、音楽史はグっと息衝いて来るように思うのだけれど... ま、何はともあれ、2016年はサティ(1866-1925)!生誕150年のメモリアルということで、まず、150年という年数に驚いてしまう。そんなにも古い人だった?映画音楽の試みや、ミュージック・コンクレートの先駆けとも言えるバレエ『パラード』、ヴェクサシオンは最初のミニマル・ミュージックとも言われ、環境音楽の始まりである家具の音楽があり、新しいイメージがあったのだけれど... いや、あの飄々とした風情が、極めて先進的であったことを、改めて思い知らされる。
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で、ここで取り上げるのは、フランスのピアニスト、タローが、ソロとデュオという2つの視点からサティを俯瞰する興味深い2枚組、"Avant-dernières pensées"。まず、ソロに関しては、定番をきっちりと押さえ、タローらしいニュートラルなタッチで、サティのモダニスティックさをすっきりと響かせる。一方のデュオは、ルサージュ(ピアノ)、ファウスト(ヴァイオリン)らを招いて、ヴァラエティに富むサティ・ワールドを繰り広げ... そうした中で、いい味を醸すのが、シャンソニエール、ジュリエット!古き良きシャンソン、彼女の歌声の朗らかさ、人懐っこさに、すっかり魅了されてしまう。
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もうひとり、生誕150年のメモリアルを迎えるのが、イタリア出身にしてドイツ語圏で活躍した異才、ブゾーニ(1866-1924)。サティからは一転、その音楽は晦渋ですらあるのだけれど、古典を追求した果てに、独特の世界を生み出したブゾーニの音楽には、唸らされる。で、シラー&ハンフリーズのデュオによる、2台のピアノための作品集... バッハの『フーガの技法』の未完のフーガを基に繰り広げられる、ブゾーニの代表作、対位法的幻想曲が取り上げられるのだけれど、ブゾーニならではの仰々しさを、軽やかに捉えるシラー&ハンフリーズ。ブゾーニの頭の中を、鮮やかに響かせるようで、おもしろい。
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そして、没後100年のメモリアルを迎える、最後のロマン主義者、レーガー(1873-1916)。この人もまた、古典を研究し、過去へと還ることで、行き詰りつつあったロマン主義に打開策を見出そうとした人物。そうしたあたりを象徴的に聴かせてくれるのが、庄司紗矢香による、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータと、レーガーの無伴奏ヴァイオリンのための前奏曲とフーガを並べる意欲作。レーガーの頑なな復古主義に圧倒されつつ、バッハが思い掛けなくロマンティックに響き出すおもしろさ!庄司紗矢香のブレない音楽性が、興味深いケミストリーを生む。

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ブゾーニにレーガーと、ちょっと渋くなったので、このあたりで華やかに切り返しまして、ドイツ・ロマン主義が最も瑞々しかった時代へ!没後150年のメモリアルを迎える、カリヴォダ(1801-66)。いや、極めてマニアックな存在なのだけれど、この人は侮れない... ということで、クリストフ・シュペリング+ダス・ノイエ・オーケスターによる5番と7番の交響曲。まず、同時代のシューマンら、有名どころにまったく引けを取らない音楽を展開し、誰よりもキャッチーな魅力を放つ。5番の終楽章のカッコ良さなんて、最高!それをまた、大いに盛り上げるクリストフ・シュペリング+ダス・ノイエ・オーケスターの妙演!
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ロマン主義から古典主義へと遡って... ナポリ楽派、最後の巨匠、パイジェッロ(1740-1816)が、没後200年を迎える。モーツァルトの影に隠れてしまっているけれど、素敵なオペラ・ブッファをいろいろ書いていて... その結晶とも言えそうな作品、『奥様女中』。同名のオペラは、ペルゴレージのものが有名だが、パイジェッロはより活き活きとしたドラマを繰り出し... それはもう、モーツァルトよりもチャキチャキの音楽を響かせて、理屈抜きの楽しさ!そんな、ナポリ楽派ならではの魅力を引き出す、クレモナージ+ラ・チェトラの演奏に、フォルテ、アベーテの表情豊かなパフォーマンスが最高!
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さらに時代を遡りまして、バロックへ... フランス・バロックの奇作、トーン・クラスターのような衝撃的なサウンドで幕を開ける、バレエ『四大元素』を生み出したルベル(1666-1747)が、生誕350年を迎える。で、その『四大元素』と、ヴィヴァルディの『四季』を並べるという、ベルリン古楽アカデミーのアルバムが、なかなかおもしろい。"4"という数字にまつわるバロック作品... そこに、根源的な何か見出すのか?コンテンポラリー・ダンスとして企画され、そこから派生した録音は、より身体感覚に迫るサウンドを響かせて、これまでとは一味違うのか... その不思議な魅力に惹き付けられる。

という6人の作曲家、6タイトルを取り上げてみましたが、他にも、まだまだ、メモリアルを迎える作曲家はおりまして... そのあたりは、追々、紹介できたならと思っております。ということで、2016年は、よりアグレッシヴに動いてみたい!とか、密かなる抱負を抱きながら、スタートです。つたない当blogではありますが、本年も、どうぞ、よろしくお願いいたします。




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