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マンハイムからウィーンへ... [2011]

間もなく年度が切り替わる。何となく切ない頃でもある。
この間は、『N響アワー』が終わった... 見ていたかどうかはさて置き、物心付いた頃にはあった番組が終わってしまうことに、何だか心許無い思いがする。新たな年度を迎えれば、新しい番組が始まるのだろうけど。ま、テレビ番組が終わるなんてことは、大したことではないけれど、年度が切り替わることで生まれる大なり小なりの様々なインパクトというのは、人生にピリっとした刺激を残して、何とも言えないものがあるのか。で、当blogなのだが... ここで、ひとつ、2011年に区切りを付ける。ま、年も、年度も、無いような、多少、グダグダ気味に、あっちこっち引っ張り出して聴いてもいるのだけれど、最後に取り上げる2011年リリースのアルバム...
ヴェルナー・エールハルト率いるピリオド・オーケストラ、ラルテ・デル・モンドをフィーチャー。何気に、2011年、大活躍?もちろん、その活躍が派手にコマーシャルされることはないので、相変わらずの密やかさなのだけれど。そんな、エールハルト+ラルテ・デル・モンドによる2タイトル、マンハイム楽派の最盛期を彩った作曲家、カール・シュターミッツの交響曲集(cpo/777 526-2)に、イスラエル出身のソプラノ、チェン・レイスが歌う18世紀後半のウィーンのオペラ・アリア集"Liaisons"(onyx/ONYX 4068)を聴く。


古典派を牽引したマンハイムの交響曲、カール・シュターミッツの絶好調!

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ヘンデルとトルコ(deutsche harmonia mundi/88697857492)、ハーレムとヨーロッパ(ludi musici/LM 002)、イスラム教とキリスト教(ludi musici/LM 003)... ピリオドから、ワールド・ミュージックを見渡す特異な視点で、ジャンルの垣根を飛び越えて大胆に異なる音楽を並べ結び付けてしまう。かと思えば、ピリオドで、巨大なブラームスの1番のピアノ協奏曲(MDG/904 1699-6)に挑み、堂々と難なくやってのける。エールハルト+ラルテ・デル・モンドの存在は、今、ピリオド界で、最も刺激的なのではないだろうか?一方で、その姿勢はケレン味が強過ぎるのか、マニアック過ぎるのか、なかなかスポットが当たらない。おもしろければおもしろいほど、きちっとしたクラシックからは受け入れられないジレンマ?そんな彼らが、古典派にきちっと向き合うアルバム... マンハイム楽派の最盛期、その中心にいたカール・シュターミッツの交響曲を演奏するのだけれど、奇抜さではない素の彼らを聴けるようで、かえって新鮮だったりするからおもしろい。
しかし、エールハルトの指揮の下、見事に統制されたアンサンブル... ひとりひとりの技能の高さが結集して輝き出すピリオドの結晶のようなサウンド!クリアで、エッジが効いていて、とにかくカッコいい!改めてラルテ・デル・モンドのすばらしさを噛み締める思い。そんなサウンドが、古典派の交響曲によく合っていて、1曲目のニ短調の交響曲からグイグイと惹き込まれてしまう。古典派の短調の交響曲が持つ疾走感と鮮烈なドラマティシズムは、やっぱりたまらないものがある。また、エールハルト+ラルテ・デル・モンドで聴けば、より際立って... 今となっては、すっかりハイドン、モーツァルトのウィーン勢に隠されてしまっているマンハイム楽派だが、その当時、音楽の都、パリを席巻し、ヨーロッパ中に影響を与え、モーツァルトも憧れた存在。その魅力をしっかりと味合わせてくれる。そうして響き出すのは、「古典派」を牽引したマンハイム楽派の自負というのか、一歩先を行っていたマンハイムの絶好調さが溢れ出すようで。その溌剌とした交響曲は、ウィーンの交響曲が少し重く感じられるような爽快感で、聴く者の気分を上げてくれる!かと思えば、エールハルトのしっかりとした味付けが、カール・シュターミッツからベートーヴェンのような臭いを漂わせ、はっとさせられるところも... 3曲目、ホ短調の交響曲(track.7-10)は、古典派にして少し骨太なものを響かせて、その先にベートーヴェンがいるのだろうなとイメージさせる。そうしたあたりに、優美なウィーンとは違うマンハイムのセンスを見出して興味深い。

Carl Stamitz ・ 4 Symphonies ・ L'arte del mondo ・ Ehrhardt

カール・シュターミッツ : 交響曲 ニ短調 Op.15-3 (Kai24)
カール・シュターミッツ : 交響曲 変ホ長調 (Kai38)
カール・シュターミッツ : 交響曲 ホ短調 Op.15-2 (Kai23)
カール・シュターミッツ : 交響曲 ヘ長調 「狩り」 (Kai34)

ヴェルナー・エールハルト/ラルテ・デル・モンド

cpo/777 526-2




古典派の時代、ウィーンのオペラ・シーンを俯瞰する、チェン・レイス、"Liaisons"。

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映画『パフューム』のサントラで話題になった... とのことらしいのだけれど、覚えていない、チェン・レイスの歌声。歌声云々より、物議を醸した物語のインパクトばかりが残っていて(あの人って、結局、食べられちゃったの?)。今、改めて、話題のソプラノ、チェン・レイスを認識するアルバム、"Liaisons"。エールハルト+ラルテ・デル・モンドのサポートを得て、実に興味深いアリア集となっている。
まず、ウィーンの宮廷楽長、サリエリに始まり、そのポストを得られなかったモーツァルト、そして、サリエリの後任にとなったチマローザ、さらにハイドンと、18世紀も押し迫った頃、古典派が爛熟期を迎えようとしていたウィーンのオペラ・シーンにスポットを当てる。で、これがとても新鮮!聴き知った『フィガロ... 』のスザンナのアリア(track.2)や、『コジ... 』のデスピーナのアリア(track.10)と一緒に、あまり聴く機会の無いアリアが並び... それこそが、その当時、ウィーンのオペラハウスを彩っていたアリアの数々であって。さらに、オペラのアリアばかりでなく、コンサート・アリアも歌われるのだけれど、それらがまた、ウィーンのオペラ・シーンを垣間見せるもので... ハイドンならば、アンフォッシのオペラを上演するための差替え用のアリアであったり、モーツァルトは、ガルッピ、マルティン・イ・ソレールらのオペラのために新たに加えたアリアだったり。よくよく見れば、取り上げられる作曲家ばかりでなく、当時のウィーンの流行作曲家たちの様子も窺えるようで、おもしろい。そういった、18世紀、ウィーンの状況を俯瞰する斬新さが光る"Liaisons"。引いた視点から見つめることで、作曲家たちのつながり=リエゾンを捉えながら、モーツァルトばかりが突出するのではない、古典派の時代のリアルなウィーンを楽しませてくれる。
そんなウィーンを歌うチェン・レイス... 1曲目、サリエリのアリアから、軽やかにコロラトゥーラを紡ぎ出し、伸びやかでクラッシーな歌声がとにかく印象的。また、ブッファ全盛の時代のコミカルさも、けしてやり過ぎることなく瑞々しく歌い、やはり印象的。そうして、ウィーンのオペラの愛らしさを丁寧にすくい上げ、何とも言えないあまやかさで包み、魅惑的。そこに活き活きとした背景を描き出す、エールハルト+ラルテ・デル・モンド。チェン・レイスの美しい歌声をきちっと支えつつ、彼らならではのエッジの効いた演奏が、オペラの何気ないワン・シーンをカラフルに染め、より楽しいものとするかのよう。そして、チマローザ(track.5)と、サリエリ(track.9)の序曲では、心浮き立つような演奏を展開して、魅了してくる。

LIAISONS CHEN REISS ・ L'arte del mondo ・ Werner Ehrhardt

サリエリ : オペラ 『アルミーダ』 から アリア 「震えるほど、私の愛しい人」
モーツァルト : オペラ 『フィガロの結婚』 K.492 から アリア 「とうとうこの時が来た... 恋人よ早くここへ」
モーツァルト : コンサート・アリア 「あなたの心は今は私に」 K.217
チマローザ : オペラ 『秘密の結婚』 序曲
チマローザ : オペラ 『秘密の結婚』 から アリア 「お許しください」
ハイドン : アリア 「ばらに刺がなくなったら」 Hob.XXIVb-3 〔アンフォッシのオペラ 『メティルデの再会』 のための〕
ハイドン : アリア 「あなたはご存じでいらっしゃる」 Hob.XXIVb-7 〔アンフォッシのオペラ 『偽りの結婚』 のための〕
ハイドン : アリア 「お嬢さん、ゆっくりお行きなさい」 Hob.XXIVb-12
   〔グリエルミのオペラ 『機知に富むクェーカー教徒の女』 のための〕
サリエリ : オペラ 『焼きもち焼きの学校』 序曲
モーツァルト : オペラ 『コジ・ファン・トゥッテ』 K.588 から アリア 「女も15になったら」
モーツァルト : コンサート・アリア 「誰かわが恋人の苦しみを知らん」 K.582
モーツァルト : コンサート・アリア 「私の胸は喜びに高鳴る」 K.579
モーツァルト : コンサート・アリア 「ああ、もし空に星々の恵みあれば」 K.538

チェン・レイス(ソプラノ)
ヴェルナー・エールハルト/ラルテ・デル・モンド

onyx/ONYX 4068




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