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ザッツ・グレイト! [2010]

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扉は開かれ、広い視野でロマン派の音楽を捉え直したならば...
トマス・ダウスゴー率いるスウェーデン室内管弦楽団による、"Opening Doors"のシリーズ。シューマンの2番、原典版での4番の交響曲(BIS/BIS-SACD-1519)に始まって、ドヴォルザークの6番と、「新世界」、9番の交響曲(BIS/BIS-SACD-1566)。シューマンに戻って、1番(BIS/BIS-SACD-1569)、3番と4番の交響曲(BIS/BIS-SACD-1619)と、これまでにない新鮮な感覚で、お馴染みの交響曲と向き合うことができたわけだが。待ちに待った、シューベルト、「ザ・グレイト」(BIS/BIS-SACD-1656)をリリース。"Opening Doors"がスタートして、一番、楽しみにしていたアルバム。かも。彼らならば、絶対におもしろいはず!と、当初から期待していた1枚を、やっと手に取る。

ということで、ダウスゴー+スウェーデン室内管のシューベルト... 期待に違わずグレイト!なのだけれど、「ザ・グレイト」(track.3-6)の前に、「未完成」(track.1, 2)を収録。で、ここから驚かされることに... シューベルトの交響曲、「未完成」というと、その未完なあたりも含め、どこか神秘的で、独特なトーンがある。仄暗さといい、厭世感も漂い、ある意味、極めてロマンティックなのかも。が、同時代の作品からは少し飛躍してもいるようで、次の時代の予兆を感じさせる部分もあり、ロマン主義前半の交響曲としては、少し異質?で、それこそが魅力。のように認識して来たのだけれど、そうしたイメージを裏切ってくれる演奏。
これまでの「未完成」的雰囲気をすっかり吹き飛ばし、古典派の名残りを感じさせる、ロマン主義前半のモード感を、もう一度、しっかり練り込んで、アグレッシヴに展開する1楽章。まず、その柔軟性に富み、躍動するサウンドに驚く。そこから穏やかな2楽章(track.2)へ... 実質上の終楽章なわけだが、そういう思い入れは無しに、やはり重視されるのは、「未完成」が作曲されていた頃のモード感か。まるでベートーヴェンのように響く。すると、おもしろいのは、意味を含んでの未完ではなく、まさに未完成として響くあたり。しかし、次の「ザ・グレイト」への序奏としては、その未完成なあたりがしっくりくる?
そうして炸裂する「ザ・グレイト」(track.3-6)。シューマンの交響曲を網羅し、思いがけなくドヴォルザークまで聴かせてくれた"Opening Doors"の集大成は、間違いなく、これまで以上に水際立った演奏を展開していて。室内オーケストラという規模からの爆発力は、フル・オーケストラでは得られない瞬発力によって、よりパワフルに感じられるようでもあり... そのあたり、これまでも凄かったが、またさらに凄い。何より、めくるめくリズムの饗宴、ややもするとミニマル・ミュージック的ですらあるような「ザ・グレイト」のパルス(19世紀版、ユーロ・ビートか?)は、スウェーデン室内管の俊敏さにぴったり。特に終楽章(track.6)での、クリアさを極めてのハイテンション!下手にスタイリッシュに仕上げるのではない、ただならない濃密さもあって、そのサウンドはホット!そこから繰り出される、「交響曲」なんていう堅苦しさ抜きのスリリングさは、ただただクール!何より、聴き知った名曲が、また新たな局面を見せてくれて、新鮮。で、鮮烈。ロマン主義の時代の交響曲に、新たな扉を開く... という"Opening Doors"の面目躍如!まさに、それはグレイト!だ。

Schubert ・ Symphonies Nos 8 & 9 ・ SCO

シューベルト : 交響曲 第8(7)番 ロ短調 D.759 「未完成」
シューベルト : 交響曲 第9(8)番 ハ長調 D.944 「ザ・グレイト」

トマス・ダウスゴー/スウェーデン室内管弦楽団

BIS/BIS-SACD-1656




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