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ハイドンを聴く... メモリアルの余韻はまだまだ続く? [2010]

すっかり、ショパンであり、マーラーであり、シューマンな2010年。なのだが、ハイドンを聴く...
2009年、ハイドン没後200年のメモリアルは、すっかり過ぎてしまったが、メモリアルの余韻はまだまだあって、興味深いハイドン関連のリリースは、続いている(というあたりは、以前にも書いたのだけれど... )。となると、つい手が伸びてしまう。で、何だかんだで、ハイドンが好きなのかも?なんて、今頃、気付いてみたり。いや、ハイドンのメモリアルがあって、様々な視点からこの作曲家を見つめる機会があってこそか。
ということで、気になっていたハイドンの2つの新譜...
ハイドンの鍵盤楽器のためのソナタ全集(CAPRICCIO/773444)で評判を呼んだ、クリスティーネ・ショルンスハイムによる、ハイドンの鍵盤楽器のための協奏曲集(CAPRICCIO/5022)と、アカデミア・ビザンティナによる、オッターヴィオ・ダントーネのチェンバロ、ステファノ・モンタナリのヴァイオリンをフィーチャーした、ハイドンの協奏曲集(L'OISEAU-LYRE/478 2243)を聴く。


快活!明快!ショルンスハイムによる、ハイドン。

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ハイドンの鍵盤楽器のための協奏曲というと、終楽章にハンガリー風ロンドのある、最もよく取り上げられるHob.XVIII-11の協奏曲がすぐに思い浮かぶ。のだけれど、他にどんなものがあるのか?どれだけあるのか?ということに関して、これまで、あまり気に留めることはなかった。そこにリリースされた、ショルンスハイムによるハイドンの鍵盤楽器(オルガン、チェンバロ、ピアノ)のための協奏曲集。ホーボーケン番号、鍵盤楽器のための協奏曲にあたるHob.XVIII(1から11まである... )の、1から5と、8、10、11の8つの協奏曲を、2枚組で収録。オルガン(1、8、10)、チェンバロ(2、3、5)、フォルテピアノ(4、11)と、器用に弾き分けて、ハイドンの鍵盤楽器のための協奏曲の、ほぼ全体像を捉える。
ハイドンというと、「交響曲の父」、さらには「弦楽四重奏の父」でもあって... となると、ハイドンの鍵盤楽器のための協奏曲というのは、モーツァルトなどの影に隠れて、どうしても印象が薄い。で、これまであまり知る機会の少なかった部分。それだけに、ショルンスハイムによる2枚組は、とても興味深い。
が、その前に... ドイツのピリオド・オーケストラ、ノイ・デュッセルドルファー・ホフムジークの、快活、極まりない演奏に魅了されて。こういうピリオドならではのサウンドを耳にすると、にわかにテンションも上がってしまう!そこに、腕利きショルンスハイム... 3つの楽器も難なく、さらりとこなし、それぞれで一点の曇りもない明快なサウンドを響かせて、見事!どの作品も、気持ちいいくらいに、パリっと仕上がっている。一方で、Hob.XVIII-11のハンガリー風ロンド(disc.2, track.3)では、大胆に音を外して、鬼才っぷりを発揮?たっぷり遊んで、ハイドンのユーモアでも楽しませてくれる。
しかし、そうした演奏だからこそ、見えてきてしまうのが、それら鍵盤楽器のための協奏曲の、オールド・ファッションなあたり。最も古いHob.XVIII-1の協奏曲が1756年(バッハの死の6年後にして、モーツァルトが生まれた年... )の作品で、他が1760年代の作品(最も有名なHob.XVIII-11の協奏曲は、1782年の作品... )となると、古典派というよりは、前古典派的な印象?まだまだ、これから煮詰める余地が見えてしまう?もちろん、そのあたりこそ味なわけだが、つい流麗なモーツァルトのピアノ協奏曲と比べてしまったり。

JOSEPH HAYDN ・ 8 CONCERTI

ハイドン : オルガン協奏曲 ハ長調 Hob.XVIII-1
ハイドン : チェンバロ協奏曲 ニ長調 Hob.XVIII-2
ハイドン : チェンバロ協奏曲 ハ長調 Hob.XVIII-5
ハイドン : ピアノ協奏曲 ト長調 Hob.XVIII-4
ハイドン : ピアノ協奏曲 ニ長調 Hob.XVIII-11
ハイドン : オルガン協奏曲 ハ長調 Hob.XVIII-10
ハイドン : チェンバロ協奏曲 ヘ長調 Hob.XVIII-3
ハイドン : オルガン協奏曲 ハ長調 Hob.XVIII-8

クリスティーネ・ショルンスハイム(オルガン、チェンバロ、フォルテピアノ)
ノイ・デュッセルドルファー・ホフムジーク

CAPRICCIO/5022




軟派?伊達?アカデミア・ビザンティナのハイドン。

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さて、ハイドンの鍵盤楽器のための協奏曲に、オールド・ファッションなあたりを感じてしまった、ショルンスハイムの2枚組。それは、過渡期的作品における隙のようなものをクリアにしてしまった演奏だったか... で、その隙を、如何にして埋めようか?というのが、イタリアのピリオド・オーケストラ、アカデミア・ビザンティナによるハイドンの協奏曲集だったか。音楽監督、オッターヴィオ・ダントーネのチェンバロによるHob.XVIII-11の協奏曲(track.1-3)と、コンサート・マスター、ステファノ・モンタナリのヴァイオリンによるヴァイオリン協奏曲(track.4-6)。そして、2人によるヴァイオリンとチェンバロのための協奏曲(track.7-9)を収録した1枚。
とにかく、イタリア風ハイドン?というのか、何と言うのか、ショルンスハイムのクリアさ、ノイ・デュッセルドルファー・ホフムジークの素直さとはまた違う、独特な演奏が繰り広げられる。端々、ちょっとしたところで、魅せてくる、軟派なダンディズム?それは、隙のない音楽でもあって、ショルンスハイムの後に聴けば、余計におもしろいかもしれない。が、そんなアカデミア・ビザンティナの姿に、驚かされもし...
ダントーネ+アカデミア・ビザンティナというと、過激なイタリア・ピリオド界にあって、比較的、優等生的なアンサンブルで。そうしたあたりに物足りなさを感じることもあったのだが、彼らもまた、少しずつ変化を遂げつつある。アルバムごとに表情を変えて、一概に物足りないなどと、けして言えない充実感をもたらしてくれたわけだが、彼らのハイドンは、また一味違う。繊細さと艶っぽさで、何とも伊達な演奏を繰り広げる。で、独特な流麗さが印象的。そんなハイドンは、モーツァルトの流麗さとも張り合える?
例えばHob.XVIII-11の緩徐楽章(track.2)のダントーネのタッチには、ため息が混じりつつの濃厚さ。チェンバロが、ピアノに引けを取らず雄弁でして... 魅惑的!もちろん、モンタナリのヴァイオリンも見事。たっぷりと歌い上げつつ、彼ならではのアグレッシヴさがたまらない。また、カンデンツァでは、ハイドンという枠を超えて、19世紀的?ヴィルトゥオージティを展開して、存分に楽しませてくれる。となると、エンターテイメントか?そんな、聴かせ所、満載なアカデミア・ビザンティナのハイドンには、グっと来てしまう。で、聴けば聴くほど味わえる。

HAYDN: CONCERTOS FOR HARPSICHORD & VIOLIN
ACCADEMIA BIZANTINA/OTTAVIO DANTONE


ハイドン : チェンバロ協奏曲 二長調 Hob.XVIII-11
ハイドン : ヴァイオリン協奏曲 ト長調 Hob.VIIa-4
ハイドン : チェンバロとヴァイオリンのための協奏曲 へ長調 Hob.XVIII-6

オッターヴィオ・ダントーネ(チェンバロ)
ステファノ・モンタナリ(ヴァイオリン)
オッターヴィオ・ダントーネ/アカデミア・ビザンティナ

L'OISEAU-LYRE/478 2243




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