2010年、春... クラシックの多様性を求めて？

ウィーン国立歌劇場が、養蜂を始める？！というから驚いた。

【5月26日 AFP】　オーストリア・ウィーン(Vienna)の世界的に有名なウィーン国立歌劇場(Vienna State Opera)の屋上に、国際生物多様性年を記念して養蜂箱が設置されミツバチ約6万匹が飼育されている。プロジェクト担当者によると、すでにハチミツが収穫され始めたという。

ギリシア発、ユーロ圏、絶不調。で、ハチミツで予算をやり繰りしよう... ではなくて、良かった。国際生物多様性年、ということで、屋上にミツバチ... 何とも、微笑ましいニュース。だが、よくよく考えてみると、「オペラ」そのものが、絶滅危惧種？国際生物多様性年にとっては、象徴的な場所なのかも。
さて、音のタイル張り舗道。となって、まもなく3ヵ月... ここまで20タイトルを聴いてきた。が、どうもマニアック過ぎたか... 振り返ってみれば、さらにさらに絶滅危惧種？いや、クラシックの恐るべき多様性を追った20タイトル！なんても言ってみつつ、2010年、春の、20タイトルを振り返る。

まったくもって、マニアックだった、2010年、春... 20タイトル、改めて並べてみると、余計に感じてしまう。けど、その分、どのアルバムも興味深く、おもしろく、何よりクラシックの多様性を思い知らされる。「現代音楽」といっても、難解ばかりでなく... 「バロック」といっても、南米まで広がりを見せ... コーラスだってたった独りで歌えてしまう... 21世紀のクラシックというのは、意外性に充ちていて、飽きさせない。

そうした中で、特に印象に残るものは何だったろうか？大いに迷うのだが... まず、大きな発見であったカッシアという存在。VocaMeが歌う、9世紀、ビザンツ聖歌のアルバムには、驚かされた。何しろ、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンよりも2世紀も遡る存在であり、そうした作曲家の音楽に触れるというのは、とても刺激的な体験だった。一方で、そういうアカデミックな部分を超越して、美しいことが驚きでもあって... カッシアによる音楽も、VocaMeによる歌も、目が覚めるように美しい！さらには、カッシア自身もビザンツ皇帝のお妃候補になるほど、美しい人だった... というから、また凄い。そんなカッシア... ヒルデガルト・フォン・ビンゲンのように、新たな中世のスターと成り得るのか？今後が、かなり気になるところ。
それにしても、最古の女性作曲家となるらしいのだが... 音楽史を振り返れば、作曲家という仕事は、圧倒的に男性の仕事。しかし、その最も古い部分に目をやれば、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンに、カッシアと、女性の名前が挙がってくるのが、なかなかおもしろい。

もうひとつ、印象に残るのが、フロリレジウムの"Bolivian Baroque"のシリーズ、vol.3。これまでのアルバムも聴いてきたのだが、何か、vol.3にして至る境地というのもあるのか？続編だからといって、だれることなく、より魅力的なサウンドが聴けたことが何よりハッピー。いや、本当にハッピーな気分に充ち満ちた1枚で。それは、まさに「春」のアルバムだったよう。そして、そんな「春」の気分に包まれていたであろう、18世紀、アマゾンの奥地に思いを馳せる。搾取の対象としての植民地ではなく、ヨーロッパ(イエズス会)とインディオの人々の文化が響き合い、育んだ、やわらかなハーモニー。そのあまりの心地良さに、心癒される思い。
また、偶然にも、このアルバムを聴いて、まもなく、今に伝わるボリビアの農村のオーケストラのドキュメンタリーが放送されて... その、貧しくも、素朴に、それでいて18世紀以来の音楽とともに生きるボリビアの人々の姿を目にし、音楽とは何であったか？と、見つめ直すような、衝撃も受けたり。
つづく...

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