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コセンコ、アルテ・デイ・スオナトーリ、そしてカール・フィリップ・エマヌエル... [2009]

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待ってました!
コセンコによる、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハのフルート協奏曲集vol.2。
ポーランドのピリオド・オーケストラ、アルテ・デイ・スオナトーリを率いての、エッジの効いたスリリングな演奏... ソロ、オーケストラ、ともに、"ピリオド"ならではの魅力を炸裂させて、圧倒されたvol.1(Alpha/Alpha 093)。アルバムの最後、Wq.22のフルート協奏曲、終楽章の衝撃は、未だ、強烈なインパクトとして残っている。"クラシック"だって、カッコいいサウンドは、あり得る!そんな快刀乱麻をそのままに... いや、さらにパワーアップしている?vol.2(Alpha/Alpha 146)を聴く。

フランス発、フラウト・トラヴェルソの、次世代マエストロ、アレクシス・コセンコ(b.1977)。
先日、ル・セルクル・ドゥ・ラルモニでの、ホフマンのフルート協奏曲(ELOQUENTIA/EL 0917)を聴いたばかり... レザンヴァンションでの、トゥシェムランのフルート協奏曲(RAMÉE/RAM 0807)も気になって... ピリオド界における彼の存在感は、ますます大きくなりつつあるよう。となれば、もはや、ベテランと言うべきか。その演奏も、フレッシュさばかりではなく、フレッシュさを大切にしながらも、確かな音楽性をベースに、深みと、豊かな表情を紡ぎ出していて。カール・フィリップ・エマヌエルのフルート協奏曲は、vol.1から3年空いてのvol.2だが、一回り大きくなって戻って来てくれたようにも感じられる。
そのコセンコが弾き(吹き)振りで率いるアルテ・デイ・スオナトーリ... 相変わらずのテクニック、そしてアンサンブル。とにかく、隙がない... 全ての音が存在感を以って輝く!"ピリオド"ならではのキレと、漲る生命感...そこに、風格すら漂わす堂々としたサウンド。そして、コセンコとの相性は抜群で、よりアグレッシヴに挑んで来るよう。またコセンコも、よりその才能を発揮できるのか、ル・セルクル・ドゥ・ラルモニとのホフマンのフルート協奏曲よりも、テンションは高め。そこには、そう成らざるを得ない、カール・フィリップ・エマヌエルならではの、独特のスタイルもあるのだが...
バロックを脱したギャラントさ、ロココの優雅さ、物憂げな気分がありつつ、「疾風怒濤」の激しさ、多感主義のころころと変わる表情。それは、まるで、ジェットコースターに乗るかのようでもあり、飽きさせることはない。そうした中で、6つのフルート協奏曲(vol.1、vol.2で、それぞれ3曲ずつ... )は、カール・フィリップ・エマヌエルが長年仕えた、フルートの名手、フリードリヒ大王のために書かれたもの。だが、保守的な大王(音楽以外では開明的なのだが... )に対して、ジェットコースターを走らせたがる作曲家は、互いに、受け入れることのできない部分も、多々あったようで(カール・フィリップ・エマヌエルは、やがてハンブルクへと転出... )。フルートの名手=大王に臆せず、自身の道を貫いた... いや、時として、当てつけ?とすら思わせる、当時のアヴァンギャルドは、21世紀の今なお刺激的。バロックと古典派に挟まれながらも、ピリリとスパイスを効かせて、また違う味を楽しませてくれる。
それにしても、コセンコが繰り出す、カール・フィリップ・エマヌエル特有の、細かなパッセージ... その超絶技巧は、圧巻の一言で。vol.1も凄かったが、vol.2では、さらに凄いのかもしれない。また、その凄いあたりを、素知らぬ顔で、さらり吹かれてしまえば、そのスカシ具合が、たまらなくカッコ良く。もの凄いことをやってのけて、ソフト。フラウト・トラヴェルソの温かな音色もあるけれど、こういう感触を出して来る技術的余裕って、いったい... ただただ、舌を巻く!一方で、丁寧に情感が紡がれて、疾走しながらも、カール・フィリップ・エマヌエルならではのうつろう表情をヴィヴィットに捉え、大バッハとも、モーツァルトとも違う、スタイリッシュなドラマ性を引き出し。そこに、今に通じるセンスを見出して、この作曲家の存在に、改めて魅了される。
コセンコ、アルテ・デイ・スオナトーリ、そしてカール・フィリップ・エマヌエル...
この組合せは、21世紀における、18世紀音楽の、黄金トリオなのかもしれない。それぞれに、この組合せだからこその輝きがありつつ、その輝きが重なって生まれる、さらなる輝きもあって。その輝きは、時として、大バッハも、モーツァルトも、霞む、おもしろさを放つ。「過渡期」なんて言葉で片付けられない存在感を、しっかりと味合わせてくれた、コセンコ+アルテ・デイ・スオナトーリのカール・フィリップ・エマヌエル・バッハ、フルート協奏曲集。vol.1も含めて、エキサイティングかつ、エクセレント!

BACH (CPE) Concerti a flauto traverso - II
Alexis Kossenko - Arte dei Suonatori


カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ : フルート協奏曲 イ短調 Wq.166, H.431
カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ : フルート協奏曲 ニ長調 Wq.13, H.416
カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ : フルート協奏曲 イ長調 Wq.168, H.438

アレクシス・コセンコ(フラウト・トラヴェルソ)/アルテ・デイ・スオナトーリ

Alpha/Alpha 146




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