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アルビノーニ。バンキーニ。 [2009]

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「アルビノーニのアダージォ」が、アルビノーニの作品ではないと、最近、知った...
遅過ぎた?のかもしれいない... でもって、ショックだった。特別、思い入れのある作品でもないのだけれど、「アルビノーニのアダージォ」が、アルビノーニでなかったなんて...
振り返ってみると、アルビノーニについて、あまり知らない。

今や、バロックというカテゴリーは、次から次へと、新たな存在が、新たな作品が、フツフツと沸き上がってくる、沸騰する鍋のよう。ちょっと中を覗いてみると、濛々と湯気が立ち込めて、どこを見ていいのやら困ってしまう。かつては、バロックという鍋は、蓋を開ければ、いつも同じ面々が、わかり易い姿で並んでいたわけだが... ふと気がつくと、その、いつもの面々は、"ピリオド"熱(?)の火に掛けられて、まったく違う表情を見せ出して。あるいは、存在感、すかっり薄くなってしまったものも。アルビノーニもまた、そうしたひとりかもしれない。
そんな21世紀、アルビノーニを、改めて聴いてみたい衝動に駆られて... 本物のアルビノーニ作品、キアラ・バンキーニ(ヴァイオリン)と、彼女が率いるピリオド・アンサンブル、アンサンブル415 による、『5声による6つのシンフォニアと6つの協奏曲』 Op.2 から、6つのソナタ(Zig-Zag Territoires/ZZT 090202)を聴く。

激しさを売りにするでもなく、歌モノでもないバロック... というのは、古き良きバロックのイメージか?バンキーニ+アンサンブル415 によるアルビノーニのアルバムは、どこか懐かしさでいっぱいのような感覚がある。それでいて、その懐かしさは、激情型バロック、歌モノ・バロックをしっかり聴いた耳には、とても新鮮だったり。そして、その新鮮さ、1曲目、2番のソナタの最初の音から、不思議なインパクトをもたらしてくれる。ただならず、やさしさに、満ち満ちているのだ。それは、耳にやさしいのではなく、心にやさしい響きというのか... 「やさしさ」に体温を感じるような、不思議な感触。
キアラ・バンキーニの前作、タルティーニのソナタ(Zig-Zag Territoires/ZZT 090202)で聴かせた、"ピリオド"云々という次元を越えて奏でられる、圧倒的なヴァイオリン... 忘れ難いのだが、アルビノーニの新作でも、同じような感覚がある。一音一音が、ソウルフルに響いて、力強くすらある。いわゆるバロック・ロックなパワフルさとは違う、地に足の着いた... さらには大地に根差した力強さというのか、まさにオーガニック!そうして紡がれる6つのソナタは、"ピリオド"によって掘り起こされた新たなバロック像とも、"ピリオド"以前の上品なフェイク・バロックとも違う場所にある。ような。
さて、アルビノーニについて...
トマゾ・ジョヴァンニ・アルビノーニ(1671-1751)。ヴェネツィアの人だということは、なんとなく知っていたが、ヴェネツィアの貴族の生まれだったと知り、ちょっと驚く。その恵まれた出自からか、就職先(宮廷)に翻弄されることなく、モード(売れ筋)に流されることなく、独自の道を歩んだとのこと... また、ヴェネツィア楽派というほど、多くの作曲家を生んだ街にあって、交流を持ったヴェネツィアの音楽家は、アントニーノ・ビッフィ(1666-1733)だけだったとか... この時代のヴェネツィアを代表する作曲家、ヴィヴァルディ(1678-1741)とは、明らかに違うバロックが、そこにあるのだなと、このアルバムに触れ、再認識する。
また、そうした独立独歩が、バンキーニ+アンサンブル415 の音楽性とも共鳴するようで... もちろん、バロックであることは違いないのだけれど、一味違う感性が、活き活きと立ち上がってくる。「時代」にこだわるばかりでなく、音楽そのものと向き合うような、真摯な眼差しが、作品からも、演奏からも感じられて。そうしたサウンドに包まれるていると、ジンワリ、聴く側の身体の芯まで、温かくなってくるような、不思議な感触がある。

キアラ・バンキーニ... タルティーニもそうだったが、この人の音楽というのは、ここに来て、ますます興味深い。モードとはまったく違う場所から、バロックに光を当てようとするスタンス... 他では味わえない音楽の懐の深さに、感動せずにはいられない。

Albinoni ・ Sinfonia a cinque ・ Ensemble 415 | Chiara Banchini

アルビノーニ : 『5声による 6つのシンフォニア と 6つの協奏曲』 Op.2 から ソナタ 第2番 ハ長調
アルビノーニ : 『5声による 6つのシンフォニア と 6つの協奏曲』 Op.2 から ソナタ 第6番 ト短調
アルビノーニ : 『5声による 6つのシンフォニア と 6つの協奏曲』 Op.2 から ソナタ 第4番 ハ短調
アルビノーニ : 『5声による 6つのシンフォニア と 6つの協奏曲』 Op.2 から ソナタ 第5番 変ロ長調
アルビノーニ : 『5声による 6つのシンフォニア と 6つの協奏曲』 Op.2 から ソナタ 第1番 ト長調
アルビノーニ : 『5声による 6つのシンフォニア と 6つの協奏曲』 Op.2 から ソナタ 第3番 イ長調

キアラ・バンキーニ(ヴァイオリン)/アンサンブル 415

Zig-Zag Territoires/ZZT 090202




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