SSブログ

ラヴリー、ポジティフ・オルガン。で、エンターテイメント。 [2009]

4781465.jpg
1010.gif
さすがはヘンデル・イヤー... というのか、今年になって、ヘンデル、3タイトル目。
イル・ジャルディーノ・アルモニコによる合奏協奏曲集 Op.6、イ・バロッキスティによるオペラ『ファラモンド』に続いての、オッタヴィオ・ダントーネが弾くオルガン、彼が率いるイタリアのピリオド・オーケストラ、アカデミア・ビザンティナによる、ヘンデルのオルガン協奏曲集 Op.4(L'OISEAU-LYRE/478 1465)を聴いてみる。

ヘンデルのオルガン協奏曲は、けしてマイナーではないが、ふと振り返ると、聴く機会は意外に少ない気もする。録音も、"ピリオド"興隆期を担った巨匠たちによるものが、一通りあるにはあるが、新たな録音が出て来ないような... やはり、21世紀に入って、ますます、ヘンデルのイメージは、オペラ、オラトリオへと、シフトしている?が、メモリアルも盛り上がってくれば、歌モノばかりでないヘンデルのアルバムも、続々とリリースされ、改めて、バロックの大家の全体像を把握するような、そんな雰囲気もあって、まさにメモリアル!そうした中、久々に聴く、ヘンデルのオルガン協奏曲は、なんとなく印象が変わるようで...
ヘンデルのオルガン協奏曲というと、ポジティフ・オルガンのピポピポ... という、かわいい音もあって、ぼんやりとユルいイメージがあったが(そのユルさが好き!)、ダントーネ+アカデミア・ビザンティナによる演奏で聴くと、必ずしもそういうイメージばかりではなく。作品4のオルガン協奏曲集(全6曲)が作曲された1730年代後半というのは、ヘンデルにとって、苦境に立たされた時期だったわけだが、6つの協奏曲は、ヴァラエティに富み、どれも充実した音楽を聴かせてくれる。
バッハのようなオールド・ファッションなバロックや、ヴィヴァルディのようなイタリアン・ドラマティックなバロック。時には、バロックからはみ出すようなところも... 後にハープ協奏曲に転用される6番の協奏曲、有名な1楽章(track.17)の、スウィートで上品なメロディ... そうしたあたり、バロックにしては、ちょっと突飛に感じていたのだけれど、改めて聴いてみると、これはすでにバロックではなく、ギャラントな音楽なのかもしれない?久々に聴くからこそなのか、そうしたあたりがより気になって、妙に新鮮に感じたりして。
それにしても、"ピリオド"興隆期を担った巨匠たちによるヘンデル像、あるいは、そのオルガン協奏曲のイメージは、古いものになりつつあることを感じる、ダントーネ+アカデミア・ビザンティナの演奏だ。"ピリオド"全盛が一息ついた印象すらある21世紀... だからこそ、その解釈も深まっているというか、より広がりを持ってかつての時代に向き合えるというのか、"ピリオド"であることの肩の力が抜けて、奏でられる"ピリオド"の手堅さが印象的。十分にキレはあるし、アグレッシヴだし、艶っぽくも歌い上げるし、"ピリオド"の魅力はまったく損なわれないのだが、アカデミア・ビザンティナならでは、どこかどっしりと構え、ソロもオーケストラも、響きに重厚さを漂わせる。それがまた、エンターテイメント性に結び付けられて... ヘンデルのオルガン協奏曲は、オラトリオを演奏する時に、一緒に取り上げられたとのことだが、そうしたあたり、納得の演奏。ユルいイメージを超えて、しっかりとした聴き応えで、魅了してくる。
もちろん、ポジティフ・オルガンのラヴリーさも失わず...
この楽器のポップな魅力は、まったく希有だ。

HANDEL: ORGAN CONCERTOS, OP.4
ACCADEMIA BIZANTINA/OTTAVIO DANTONE


ヘンデル : オルガン協奏曲 第3番 ト短調 Op.4-3 HWV.291
ヘンデル : オルガン協奏曲 第2番 変ロ長調 Op.4-2 HWV.290
ヘンデル : オルガン協奏曲 第1番 ト短調 Op.4-1 HWV.289
ヘンデル : オルガン協奏曲 第5番 ヘ長調 Op.4-5 HWV.293
ヘンデル : オルガン協奏曲 第6番 変ロ長調 Op.4-6 HWV.294
ヘンデル : オルガン協奏曲 第4番 ヘ長調 Op.4-4 HWV.292

オッタヴィオ・ダントーネ(オルガン)/アカデミア・ビザンティナ

L'OISEAU-LYRE/478 1465




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。