SSブログ

2008年、下半期を振り返る。 [overview]

さて、このあたりで2008年を閉じます。そして、さらりと下半期を振り返る。
パーヴォの「運命」に始まって、カッチーニの『エウリディーチェ』で終わるという... クラシックのアイコンから、クラシックの時代の幕開けとも言える作品にまで遡るドラマティックさ!つまり、音楽史とはドラマティックなのだ。そして、メジャーもマイナーもなく、あらゆる場面に息衝く音楽が存在している。それを、クラシックという、ある種のステレオタイプから見てしまうと、何だかデスマスクのように硬質に感じられ、何より表情が消えてしまう。例えば、18世紀、ロンドンにおけるスコットランド・ブームを拾い上げたラウリンの"Airs And Graces"。フォークロワからの影響を活き活きと描き出し、アカデミックなばかりでない、当時のリアルな音楽シーンを再現するのだけれど、そのサウンドに触れると、当時の人々のワクワクとした気分が感じられ、現代人をもワクワクさせる。そういう、活きた音楽史は、本当にドラマティックだ。クラシックという、整えられてしまったイメージに隠さた音楽ほど、実は魅力的だったりするのかもしれない。そんなことを考えさせられる下半期だったかなと...
ということで、上半期と同じ50タイトルを聴いた2008年、下半期。「運命」、『エウリディーチェ』だけでない、メジャーもマイナーも、モダンもピリオドも、交響曲からクラヴサン曲集、古楽から現代音楽まで、その50タイトルをざっと並べつつ、振り返る。

88697338352.jpg88697306022.jpgPE107.jpgBISSACD1573.jpgPE101.jpgPE111.jpgCCAD028.jpgTDKAD025.jpgBISSACD1595.jpgBISSACD1705.jpg
SDG702.jpgCDA67626.jpg8570721.jpgCD80683.jpg9998332.jpg8557527.jpg4780316.jpg88697026202.jpgZZT080502.jpgEL0711.jpg
88697367912.jpg88697367922.jpgZZT080803.jpgEL0815.jpgBISSACD1619.jpgHMC901989.jpg5193102.jpgOC629.jpg88697389972.jpgCDA67625.jpg
5190392.jpg4781087.jpg5193142.jpg88697299642.jpg0012742KAI.jpgHMC901974.jpgOC716.jpgCDA67688.jpgAM151.jpgPE127.jpg
8570759.jpg8570993.jpgHMC902012.jpgHMU907479.jpg4766885.jpg1733930.jpg88697373402.jpg8559359.jpgCCSSA27308.jpgRIC269.jpg

こうして並べてみると、意外とクラシックど真ん中のタイトルが多いのかも... 「運命」第九「ジュピター」ブラームスの1番「四季」、そして、「海」... うん、やっぱりクラシックど真ん中だわ... そんなはずじゃなかったのだけれど... クラシックのステレオタイプに隠されてしまったところにこそ、魅力的な音楽がある。なんて書いておきながら、調子狂うよなァ... いや、パーヴォの「運命」は刺激的なモダン/ピリオドのハイブリットで、ガーディナーのブラームスの1番は大胆なピリオドによるもの、クリストフ・シュペリングの第九は、その初演を再現する意欲的なもの、とすると、それぞれステレオタイプを拭う試みでもあった... そこに、クラシックの刷新の機運を読み取ることもできるのか... 実は、メジャー中のメジャーに、おもしろいものがあった下半期。
もちろん、マイナーも、実に、実に興味深かった!オペラ黎明期に迫ったカッチーニの『エウリディーチェ』(RICERCAR/RIC 269)や、ドイツ・バロックをローカルな視点で捉えた"Beloved & Beautiful"(CHANNEL CLASSICS/CCS SA 27308)は、普段のクラシックではなかなかスポットが当たることがないあたりを、とても新鮮に響かせて、魅力的だった。それから、2008年に没後150年を迎えたボエリ!この知られざる存在を取り上げたショルンスハイムによるソナタとカプリース(PHOENIX Edition/PE 127)は、大いなる発見!ベートーヴェンにインスパイアされた力強い音楽に、すっかり惹き込まれてしまった。それから、ゼフィロ・バロック・オーケストラによる没後250年を迎えたファッシュの協奏曲集(deutsche harmonia mundi/88697367922)も魅惑的で、バロック期に在りながら、次なる時代が聴こえて来るその音楽もまた、新鮮な発見であった。やっぱり、メモリアルというのは、発見を促して刺激的!
さて、古い音楽ばかりではありません。20世紀の音楽もおもしろかった!まずは、大植+NDR放送フィルによるカバレフスキーの交響曲全集(cpo/999 833-2)。この交響曲から漂う、何とも言えないソヴィエト臭!今となっては、社会主義リアリズムもノスタルジーに取り込まれて、新たな魅力となったか... それから、ツェートマイアーがヴァイオリンを弾く、ツィンマーマンのヴァイオリン協奏曲(ECM NEW SERIES/476 6885)。いやはや硬派なモダニズムのビターさ!ウーン、ストイックな演奏から繰り出される、渋いサウンドに痺れてしまう... で、そうしたサウンドを素直に聴き入れることができたのは、20世紀の音楽が音楽史に回収されたからかなと... いい具合に「前衛」の生々しさは薄れ、聴き易くなっていることに、感慨を覚える。

という具合に、語り出すと止まらなくなりそうなので、このあたりであえてストップ!次回から、上半期を合わせて、2008年のベストを選んで行けたらなと... いや、選べるのだろうか?というくらいに、すばらしいタイトルが多過ぎて、今からワクワクです。




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。