SSブログ

ベルカント王子、驚異の世界! [2008]

4780315.jpg
1010.gif
梅雨が、いつのまにか明けていて... まったく、連日、暑くて... というような今日この頃、暑気払い的?景気のいいサウンドを求めて... ベルカント・スペクタキュラー!ファン・ディエゴ・フローレスが、アリアだけでなく、話題のプリマたち(そして、スペシャルなプリモも... )を招いて、ベルカント・オペラの名場面を綴る、ゴージャスなアルバム(DECCA/4780315)。で、当然、聴かせる!で、テンションが上がる!

ヴェルディ、プッチーニといった、コテコテのイタリア・オペラとは違う、軽やかさと、その軽やかさが生む、ベルカント・オペラならではの華麗さ!フローレスの場合は、それがまた、華麗に舞い上がって、スーパー・アクロバティックな"キング・オブ・ハイD"で、驚かす... なんて言うより、もう、笑ってしまう。あまりに、パキっと決まってしまって。いや、カッコいい。
オペラで、カッコいいと感じることなんて、そうあるものではない。が、フローレスはそれをあっさりと成し遂げてしまう。その様は、どこかアスリートっぽくもあり、恐るべき身体能力と、天性の感性でもって、ベルカントの巨匠たちが仕掛ける困難なエレメンツも、軽々とこなして、まさにスペクタキュラー!だが、それが、パーフェクトなベルカント=美しき声によって成されてしまうという驚き。
フローレスのクリアな声は、磨き抜かれたスチールのワイヤーのようで。その力強さを兼ね備えたスマートさで、繊細かつアクバティックなベルカントのラインを、きっちりと描いて。天井知らずで、どこまでも抜けていくような気持ちよさ!の一方で、独特のやわらかさもあって、これ以上ないほどの"ベルカント"を味わうことに。というのは、いつものことか。でも、毎回、驚かされる。ベルカントの巨匠たちが生み出した音楽というのも凄いが、それをフローレスが具体化していく音楽世界というのは、他のテノールには極めて難しい、驚くべき世界。ちょっと立ち止まって、今まさに活躍しているたくさんのテノールを見回して、振り返れば、ますます、フローレスと他のテノールの間に、距離が開いていくようで...
さて、そのフローレスの相手役には... ネトレプコ?チョーフィ?バルチェッローナ?なんと、なんとゴージャスな!DECCAも、思いきったことをしてくれる... が、フローレスを前にすると、話題のプリマも、多少、霞むようであり。「お手本」というレベルを超えたフローレスのパーフェクトなベルカントの前では、ベルカントであるからこそ、プリマたちに、わずかな緩さや、つめきれていないようなところが見えてしまったり(難しさを考えれば、酷な話しでもあるが... )。一方で、メリベーア侯爵夫人(『ランスへの旅』)を歌うバルチェッローナ(メッゾ・ソプラノ)は、相変わらずのど迫力で、フローレスとはまた違うベクトルで、凄い歌を聴かせてくれる。で、この2人の対決が、なかなかおもしろく... あくまで軽やかなリーベンスコフ伯=フローレスが、重低音を轟かさせるメリベーア侯爵夫人=バルチェッローナに恋を寄せ、かつ軽く嫉妬してみせるのだから... まさに、ロッシーニのブッファ!で、このゴージャスな、ベルカント饗宴、スペクタクルの数々を支える、ダニエル・オーレンの指揮、バレンシア州立管の演奏もすばらしく。オーケストラもなかなかよく歌い、かつキレがあって、盛り上げて、このアルバムの魅力を、さらに上げている。そして、ボーナス・トラックには、なんと、ドミンゴが!
歌えるのだろうか?ベルカントを... それも、今、最も乗っているフローレスの横で... いやいや、ドミンゴも、まだまだ歌える!聴かせてくれる!2人が歌うのは、ロッシーニの『オテロ』からの二重唱で。この、新旧二大テノールが繰り出すベルカントが、またカッコいい!それでいて、大ベテラン、ドミンゴを聴けば、フローレスもまだまだ若いな... なんて感じてしまうからおもしろい。もちろん、その若さが放つ輝きというのは、圧倒的でもあるのだが... 実に、おもしろい共演!ボーナス・トラックというのは、時に蛇足に成りかねないことが多いが、これは、まさにボーナス!

JUAN DIEGO FLOREZ BEL CANTO SPECTACULAR

ドニゼッティ : オペラ 『連隊の娘』 より 「ああ、我が友よ」 *
ベッリーニ : オペラ 『清教徒』 より 二重唱「終わったわ!... あの声が私のこころに」 *
ドニゼッティ : オペラ 『ラ・ファヴォリータ』 より 「王の愛妾?... 優しい魂よ」
ドニゼッティ : オペラ 『愛の妙薬』 より 「20スクードで」 *
ドニゼッティ : オペラ 『愛の妙薬』 より 「人知れぬ涙」
ドニゼッティ : オペラ 『シャモニーのリンダ』 より 二重唱 「君に会ったあの日から』」 *
ドニゼッティ : オペラ 『シャモニーのリンダ』 より 「私たちの愛が周りの人を怒らすなら」
ロッシーニ : オペラ 『ランスへの旅』 より 「私にどんな咎がありまして?... 気高き魂を、おお神よ!」 *
ドニゼッティ : オペラ 『ルクレツィア・ボルジア』 より 「私はあなたを愛しています。人が天使を愛するように」

ロッシーニ : オペラ 『オテロ』 より 「さあ来るがいい、侮辱は君の血で贖ってもらおう」 *

ファン・ディエゴ・フローレス(テノール)

プラシド・ドミンゴ(テノール) *
アンナ・ネトレプコ(ソプラノ) *
パトリツィア・チョーフィ(ソプラノ) *
ダニエラ・バルチェッローナ(メゾ・ソプラノ) *
マリウス・キーチェン(バリトン) *
フェルナンド・ピカレス(バリトン) *
バレンシア自治州合唱団

ダニエル・オーレン/バレンシア州立管弦楽団

DECCA/4780315




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。