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踊らされた?サルタレッロ... 踊りきれて? [2008]

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ハイドンの交響曲のシリーズで、じわりじわりブレイク中... 昨年は、ひっそりと、武蔵野市民文化会館で日本デビュー... という、ファイ率いるハイデルベルク交響楽団の、メンデルスゾーンの交響曲のシリーズ、第二弾(hänssler/98.281)。第一弾がリリースされてから、1年以上が経ち、ハイドンの方は、着々とリリースが重ねられているのに、メンデルスゾーンの方はどうなってしまったのか?と、心配していたところに、メンデルスゾーンの看板、「イタリア」の登場!期待せずにはいられない... のだが...

5つの交響曲を単に録音するのではなく、習作である弦楽のための交響曲(12歳から14歳の間に作曲されたもので、単一楽章のものもあるが、全部で13曲存在... )も丁寧に拾い上げて進められるこのシリーズ。第一弾(hanssler/98.275)では、8番の弦楽のための交響曲を、管楽器も加えたフル・オーケストラ・ヴァージョン(この編曲も、メンデルスゾーン少年によるもの... )で取り上げ、もはや習作とは言い切れない立派な姿で響かせ、驚かされ... 6つ目の交響曲?なんても、言いたくなってしまうほどだったが... この第二弾でも、7番と12番の弦楽のための交響曲を取り上げ、再び、"習作"にして習作以上の輝き、おもしろさを堪能させてくれる。
バッハを掘り起こした作曲家、メンデルスゾーンだけに、弦楽のための交響曲には、どことなく"バロック"が存在している。時折、バッハ調の堅固なフーガが現われ、おもしろいアクセントにもなり。また、バロック後の、ギャラントな時代、多感主義の時代の気分もどことなく漂うようで。さらに時代は下って、モーツァルトのような、センチメンタルでやわらかなメロディも、織り込まれているようで... それらを何気なく聴いていると、自分が、今、誰の作品を聴いているのかがわからなくなる瞬間もあり、この幻惑される感覚が、おもしろい。
巧い具合に、オールド・ファッションを、その当時(メンデルスゾーン少年が、音楽を学んでいた頃... ベートーヴェンらが活躍していた頃... )のサウンドにつないで、"交響曲"というスタイルに、そつなく仕立て、そこには、その後のメンデルスゾーン・サウンドまでが表れていて、この作曲家の早熟さ、天才性を、思い知らされる。何より、作品として、十二分に魅力的。
そうした魅力を、刺激的に増幅してくる、ハイデルベルク響の弦楽セクションの演奏も、断然、魅力的。彼らならではの、ノン・ヴィブラートなサウンドが最大限に活かされ、エッジは鋭く、切れ味は抜群。ブレることなど一切なく、確信を持って引かれていく、ノン・ヴィブラートならではのタイトなラインの力強さ!メンデルスゾーンという名前に漂う、「オボッチャマ」なイメージは完全に払拭され、緩む隙を見せず、走り抜けて行く姿は、若々しく、凛々しく、また壮観ですらあって...
そうしたあたりから、「イタリア」ともなれば、きっと、徒ならないはず... 終楽章、あのサルタレッロを、彼らが演奏したら、どんなことになってしまうのだろう?と、期待せずにはいられないわけだ。
が、期待は大き過ぎたのか?

4番の交響曲、メンデルスゾーンの看板、その「イタリア」である。何か、想像と違う...
勢い余って、スリリングさがぼやけてしまうような瞬間もあるような... おそらくこのシリーズの最大の見せ場となるであろう「イタリア」だけに、意気込みも並々ならぬものがあったのだろう。が、そうしたものだけが先行してしまっている観、無きにしも有らず。終楽章、サルタレッロなどは、想像通り(期待を裏切らない... )の猛スピード。しかし、それが仇となったか、ファイが煽り過ぎているのか、オーケストラはそのスピードについていけない様子。エッジに甘さが聴き取れて、端々綻びも?丁寧に演奏しようという意欲は、あちらこちらで見受けられるのだが、こうなると、ただ勢いだけ、という印象が、勝ってくる(先に収録されている2つの弦楽のための交響曲とは異なり、今一、クリアでない録音もあるのかもしれないが... )。
"習作"ですら、しっかりとした完成度を聴かせるメンデルスゾーンだけに、その代表作では、よりメンデルスゾーン作品の、完成度の魅力を、アピールして欲しかったように思うのだが。もちろん、彼らならではの、刺激的で、スリリングな演奏で。それが適ったなら、凄いことになっていたはず。贅沢か?

Felix Mendelssohn Bartholdy Sinfonie Nr. 4 ・ Streichersinfonien Nr. 7 & 12

メンデルスゾーン : 弦楽のための交響曲 第7番 ニ短調
メンデルスゾーン : 弦楽のための交響曲 第12番 ト短調
メンデルスゾーン : 交響曲 第4番 イ長調 Op.90 「イタリア」

トーマス・ファイ/ハイデルベルク交響楽団

hänssler/98.281


さて、トーマス・ファイ。次は、サリエリのシリーズをスタートさせるとのこと。ハイドン、ベートーヴェン、メンデルスゾーンときての、サリエリ。またまた、凄いチョイス(アンファン・テリヴル、ファイならではか... )。そして、その第1弾(hänssler/98.506)がまもなくリリース。オーケストラは、マンハイム・モーツァルト管弦楽団(ハイデルベルク響のメンバーが、完全にピリオド楽器に持ちかえると、この名前になる?そんな存在... )。ということで、サリエリに限らず、マンハイムの作曲家たちの作品も、取り上げて欲しいところ。
それから、次の来日は、是非、山手線の内側で、あるいは、周辺で、お願いしたところ。それも、一回きり、などと言わずに。




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